今回も萩尾望都ですが、「ポーの一族」のその後を・・・・
時代が変わるに従ってエドガーたちの服装がそれなりい変わっていく楽しみもあります。
「メリーベルと銀のばら」
(1972年 少女コミック)
登場人物・・・エドガー
メリーベル
オズワルド
ユーシス
ストーリー・・・エドガーとメリーベルはエヴァンズ伯爵の愛人だったメリーウェザーの子供達。
小さい頃に捨てられてポーの村で拾われ、育てられる。
ある日、ポーツネル男爵がシーラを連れて来て、彼女がバンパネラになるシーンを
目撃してしまったエドガーは成人後にバンパネラいなる約束をする。
メリーベルはよそへ養女に出される。
ポーの村が魔女狩りに合い、老ハンナが死に、エドガーは長老によって少年で
ありながらバンパネラになる。
一方、メリーベルは成長し、そうとは知らず、エヴァンズ家のオズワルドとユーシスに
出会い、やがてそれはエバンズ夫人の知る所になり・・・・
迎えに来たエドガーに連れられてメリーベルは旅立つ。
「ポーの一族」シリーズの中でも名作の誉れ高い作品です。
特にメリーベルがユーシスに髪にからみついて沈丁花の枝をとってもらうシーンは
後に、河原泉の「笑う大天使」に使われていますね
第一話におけるメリーベルは非常に病弱で意志も弱いように描かれていますが
この「メリーベルと銀のばら」「エヴァンズの遺書」では元気な彼女を見る事が出来ます。
メリーベルにとってオズワルドは兄。という事はエドガーにとっても兄だったわけで。
そのエヴァンズ家の行く末をエドガーは見守る事になるのです。
「エヴァンズの遺書」(1974年 少女コミック)
登場人物・・・エドガー
メリーベル
ヘンリー・エバンズ
ロジャー・エバンズ
エレン
ストーリー・・・嵐の夜に馬車が転落して怪我おしたエドガーは、通りかかったヘンリー・エバンズに
拾われる。ヘンリーはオズワルドの孫で、オズワルドが残した遺書、
「エドガーという少年が現れたら全財産を彼に譲る」を大切に保管している。
エドガーと出会った事は運命と思い、ヘンリーは毎日記憶を失ったエドガーの
世話を楽しむ。
そんな兄を心配し、メリーベルは貴族の娘としてエバンズ家に滞在。エドガーの
記憶が戻るのを待つ。
そしてある日、エドガーは本能を発揮してしまい・・・・
個人的にはこのお話に出てくるメリーベルが一番好きです。
明るいし元気だし、いつも兄に庇護されていた彼女が逆に守る立場になる。
バンパネラになって、ある意味ずぶとくなった彼女を見るのは非常に楽しかったです。
「アロイス」(1975年 花とゆめ)
登場人物・・・ルカス・キップハルト(表紙右)
アロイス (表紙左)
ハーゲンハインツ
リースベルト
ストーリー・・・ドイツの田舎、シュワーベンの夏休み。寄宿学校から帰ったルカスと友人達。
作家のハーゲンハインツも一緒になる。
ルカスの中には「アロイス」という別人格がいて、ルカスはそれを信じているが
ハーゲンハイツ他、両親もそれはルカスの「心の病」であると決めつける。
母が臨月で転んでしまい、双子のルカスは助かり、アロイスは死んでしまった。
その罪悪感がルカスの中にアロイスを生んでいるのだと・・・・
まだまだ精神医学が発達していない70年代。
二重人格の原因をどこに求めるか・・・という研究はまだ、なされていない時代の話です。
ルカスの中のアロイスの存在理由は、母の思いとルカスの思い。そこから抜け出た時に
アロイスとルカスが同化するだろうとハーゲンハインツは言うのですが。
その事に怒ったアロイスは暴走。そしてルカスの人格を取り込んでいまうのです。
非常に怖い話だし、今なら色々な意味で納得できるなあと思う作品。
名作だと思います。