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Channel: ふぶきの部屋
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さよなら凰稀かなめ

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 下級生頃から見て来たスターさんを見送るというのは

ファンでなくても寂しいなあと思います。

朝海ひかるがトップになるかならないか・・・の頃、

お友達から一通のメールを受け取りました。

「素敵な男役をみつけました」・・・・それが凰稀かなめでした。

素敵な男役ってどんな子なんだろう?

興味津々で見に行った朝海ひかるのお披露目。

「Joyful!」で何と、綺麗な足を出してピアノの鍵盤になってたーー

という印象でした

確かに86期の中ではダントツで見眼麗しい男役でした。

技術的な事はさておき、目立ち、綺麗で、かっこいい・・・・・というイメージ。

以後、退団の今日に至るまでずっと見続けてきたわけですが

彼女を一言で表すと

「蒼氷色の瞳(ICE BULUE)」でしょうか。

 ♪ 透き通る蒼さは どんな湖より深く

氷のような冷たさは 胸の奥深くに突き刺さる ♪

まさにこの歌詞通り・・・決してうちとける事のない孤高の瞳を持った

稀有なトップスターでした。

朝海ひかる時代は、その長い足をよく披露していたイメージ。

何が得意なのかよくわからず、ひたすら「成長」を待つ日々。

それが水夏希時代に入ると、アクア5に選ばれ、上級生をなぎ倒す程の

活躍を見せるようになります

当時の私のイメージ(あくまで個人的な)は「生意気な下級生」だったんですけど。

何と言うか、どこまでも「オレ様」で絶対に媚びない感じ。

本当に心を許す人というのは一握りなんだろうなあ。

さぱさぱして我が道を行く。回りがどう受け止めるか・・・・と言う事にかんしては

頓着しないって感じ?

アクア5のコンサートで、足を負傷した為にビデオ出演になったんですけど

その時に「ありがとうございます」じゃなくて「ありがとう」と敬語を使わなかった事に

ちょっとイラっとした記憶が

それでも人気はあるし、新人公演卒業まで主役張りまくりだし、

目立つし。

しかも、ほぼ挫折なしに星組の2番手にあっという間に昇格したと思ったら

あれよあれよと言う間に宙組のトップスターですよ。

小池先生が「蒼氷色の瞳」を書いた理由がよくわかる。

銀色の髪に、深い深い青い瞳が持つ冷たさと孤独感は凰稀かなめに

ぴったりだったのですわ。

 

時間は戻って・・・

確か樹里咲穂の「JUBILLLIE-S」に出てたよね?

テリーという役名で。この時から妙に綺麗な男役だなあとは思ってました。

「シルバーローズ・クロニクル」では吸血鬼のお兄さんで、

主役の彩吹を食ってしまう程のビジュアル。

「エリザベート」のルドルフ。孤独感がよく出ていて我が家の姫は

舞台を見ながら大泣きしておりました。

「マリポーサの花」あたりから、ちょっとひねた役もやるようになり

それが持ち味なのかなーーと。

まあ、「シルバーローズ」のクリストファーも結構ひねてナルシストだったけど

要するにそういう「色」を持っていたという事ですね。

「ソロモンの指輪」の白天使は本当に美しく、緒月遠麻の黒天使とよい対比でした。

「わすれ雪」の鳴海はかなりハマリ役だったような気がします。

 

でも本領発揮したのは星組「太王四神記Ⅱ」のヨン・ホゲ。

大空祐飛の大人で包容力のあるホゲは本当に最高だったんだけど

柚希礼音と同年代のホゲとしてみたら凰稀の方が合ってたと思います。

母や友情にもろかった。そういう部分がよく出ていたなあ。

「愛と青春の旅立ち」の軍曹をやると聞いた時は驚いたけど

これがまた非常に似合っていて、星組でのベストだったと思います。

要するに二枚目ではなく、ちょっと意地悪ないじめっ子がはまっていたんですよね。

2010年「ロミオとジュリエット」で演じたティボルトは、星組時代の代表作でしょう。

喧嘩に至るまでの、あの氷のような目・・・後にもさきにも凰稀程

ティボルトにふさわしい役者はいません。

宙組に配属されて「ロバート・キャパ」を見ましたが、こてはイマイチだった。

凰稀が・・というよりストーリー自体が破たんしていたので。

凰稀の小劇場作品は「凍てついた明日」もそうだけど、暗すぎたんじゃないでしょうか。

思い切って怪盗〇〇とか、そういうコメディタッチのものを見たかったと思います。

やたら演技力が求められる重厚な作品をやると、凰稀の欠点が浮き出てしまうので。

宙組トップになってからの

「銀河英雄伝説」のラインハルトは、凰稀かなめ宝塚生活のビジュアルベストでしょう。

このビジュアルだけは100年の歴史に残ると思います。

 

そして「モンテ・クリスト伯」に至るのですが、私の中では

凰稀かなめベスト1はモンテクリスト伯だと思っています。

似合うんだなあ・・・・こういう役が。

白の王子様ではない、世の中をななめから見ているような感じが。

思えば「風と共に去りぬ」のバトラーもそんな雰囲気でしたよね。

当たり役と呼ばれるものには全て「孤独」「ななめの目線」がついてまわる。

それが個性だったのかなと思います。

 

最後の公演の主題歌の中に

♪ 孤独だっていいじゃない

 自分が赤くもえていれば

 涙だっていいじゃない

 自分が熱く生きていれば ♪

これまた非常に凰稀をよく表現している歌詞だと思います。

人間は一人なんだと自分に言い聞かせて狭い道を歩んできた・・・と

歌うように、凰稀かなめはどこまでも一人で歩こうとする人です。

これからどのような人生が待っているのかわかりませんが

多分、苦労せずに全うするんじゃないかなあ。

何千人かに一人はそういう強運の人がいる。

凰稀かなめはそんな人だと思います。

 

そして。

緒月遠麻。

ある時からずっと凰稀かなめと一緒だった。

凰稀が白なら緒月は黒。いつも正反対色。

決して器用ではなかったし、技術的に秀でていたとも思わないですが

とにかく温かい人でした。

凰稀かなめの冷たさに緒月の温かさが加わって一つの色を形成するかのように。

「翼ある人々」のシューマンが大好きでした。

どんなに不器用でも、そのひたむきさがあれば、外の世界でもやっていける筈。

頑張って欲しいと思います。

 


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