Quantcast
Channel: ふぶきの部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5842

黒豹の如く

$
0
0

いやーー久しぶりの宝塚でした

あれ?階段の踊り場にあった・・・・あのプレートはどこに?

4階の売店にサングリア?飲んでみたかったわーー

 黒豹の如く 

 脚本について

最初、何でさよなら公演に柴田先生?って思いました。

あまり接点を感じなかったし。

しつこいけど、さよならなら小池修一郎じゃないかと

とはいえ、柴田先生は歌劇団の重鎮であるし、柚希礼音が「やりたい」と

言って実現した「激情」の作者であるし。

妥当なのかなと思ったり。

柴田・謝コンビと言えば、真琴つばさの「黒い瞳」や

香寿たつきさよなら公演「ガラスの風景」を思い出します。

今回の作品はオープニングから一貫した雰囲気の統一などに

「ガラスの風景」っぽさを感じましたが。

ストーリーだけみると、どうって事のないお話なんですよね。

アントニオはスペイン海軍の大佐。

そのスペイン海軍は斜陽・・・ドイツとイタリアが勢力を伸ばし

アントニオはそっちへ勧誘されるけど断る。

っていうだけの話です。

そこに元婚約者のカテリーナが未亡人として登場し、再び二人の恋心が

燃え上がり、それに目をつけたアラルコンが利用し、奪おうとし

最終的にカテリーナを守りきったアントニオは強くていい男!的な話。

凰稀かなめのさよなら公演「グスタフ三世」がやたら場面をあっちこっちに

転換し、過去と現在がどう繋がるのかわからず、だらだらと見せられたのに

対し、こちらはさすが柴田先生。

きっちり見せてくれます。

 オープニングで黒豹を出す。

 先祖がそうでしたーーっていうだけで、本筋には関係ない話を持ってくる。

  だけど「かっこいいコスチューム礼音」を見る事が出来るからやったあ

 軍服&コート

 背広を着せてみる

 最後はお祭りのコスチューム

 柚希礼音おしゃれの見本市のようになってますが、とにかくそれだけの

  服を着せる為だけにストーリーを持って行った・・・・というようなお芝居。

 

現代演劇はストーリーがどう変わっていくか、どう進んでいくか・・・という部分を

楽しむものですが、今回の「黒豹の如く」はそうではなく、最後のピストルでバーン

という結末へ持って行く為に、時間稼ぎをした?

場面場面にどれだけ多くの人を配置し、少しでもセリフを与え・・ゆっくりゆっくり

伏線を引いていくという「一点豪華主義」的なお芝居ですよね。

ラストのアルヴィラの行動は、彼女が登場した時から予想されるものであり

(「アルジェの男」とか「霧のミラノ」とか)

わかっててそうしたのなら、どんでん返しの面白さを狙ったというよりは

アントニオとカテリーナの一時的な別れのシーンを描きたかっただけ

なんだろうなあと思います。

ゆえに、見る側からするとちょっと単調に見えるし、寝ちゃうかも。

まあ、そもそもストーリーがあってないようなものだし、英真元組長

と組ませたいとか、柚長と会話させたいとか、同期の十輝いりすと

絡むシーンが欲しいとか・・・・全てがそういう動機で作られているわけですから。

それでもここまでまとめた事にやっぱり並々ならぬ手腕を感じます。

・・・・こいつめーー

に代表されるセリフのように、男性じゃないと書けない、戦前戦後を生きた人間で

ないと書けないセリフが満載。

特に斜陽にあるスペイン海軍において、一体これからどうしたらいいかとか

軍人とはどういうものか・・・など、経験者で男性でなければ

書けないセリフだなあと感じました。

 

ただ、基本的にこの手の芝居は登場人物を絞って、じっくりとセリフを

味わうタイプのものだと思います。

それをやたら登場人物を増やして、何かあればすぐ歌わせる・・・としたので

散漫な印象になった事は確かでしょう。

 

謝先生の演出は、芝居全体を一つの空気で印象づける。

今回は波を表現したのでしょうか?ダンスと音楽の融合が素敵でした。

またラストも、単純に銀橋を渡るのではなく、セットをぐるっと後方に

動かして幕・・・というのが何とも後味がよかったなと思いました。

 

 出演者について

柚希礼音・・・アントニオ。非の打ち所のない役だったと思います。

        常々柚希の努力には頭が下がりますけど、今ここで

        さらにそれを感じます。

        ラブシーンのかっこよさは麻路さきの次くらいかも

        というか、時々似ているなーーと思うんですけどね。

        本当に退団が惜しまれます。

夢咲ねね・・・出番が少なくてちょっとかわいそうだなと思いましたけど

        カテリーナとしては満点を上げたいです。

        そもそもそんなに裏がある役柄ではないし、ぶりっこする必要もないし

        肩に力が入らずよかったのではないでしょうか。

        退団後、どんな活躍をするのか楽しみです。

紅ゆずる・・・またこんな役か・・・と思ってしまいました。アラルコン、テリー、マーキューシオ

        とにかく紅が演じる役は裏表がはっきりしてて、人を騙して最後はキレる。

        そんな性格ばかり。

        本人も飽きちゃっているだろうと思います。

        しかしながら、紅に他の役が出来るのか?と思うとそうでもなく。

        何をやってもひきだしが狭いなーーと感じます。

        今回はトップのさよならで、自分が目立つわけにはいかないという意識も

       あるのかもしれませんけど、ちょっと埋没しすぎ。

真風涼帆・・・いつの間にか「主役の腹心の部下」までご出世した真風。

        以前よりは堂々と舞台に立っているとは思います。

        だけど、こちらも紅と同じで引き出しが狭い

        宙組へ行って大丈夫なのか?

        ここまで歌劇団に期待されている人はそうそういないと思うので

        気をひきしめて頑張って欲しいです。

十輝いりす・・・悪役とみせかけて、ラストは味方に転じる。

         その切り替えが・・・あまり出来ていたかとは思わないんですけど

         でも、これが十輝いりすの限界でしょうし。

         今後は上級生として老け役で頑張って欲しい。

十碧れいや・・・ゴンザーロは印象的な役ですね。

         アルヴィラとのラブシーンまがいも多々あるし。

         だけどまだまだ早すぎるというか。演技力がついていかないというか。

        見た目がかっこいいのは認めるのですが、どこか幼い印象が抜けず。

        本当に若いのだから仕方ないんですけど、せめてもう少し頼りがいが欲しい。

妃海風・・・アルヴィラは絵に描いたような悪女です。

      でも顔が可愛いし、色気ないし。

壱城あずさ・天寿光希・礼真琴・・・3Mと呼ばれる「間合い」の役。

        でも「間合い」にはゴンザーロもフリオもいるんですけど。

        とりあえず3人三様の持ち味は出せていたのでOKとします。

        でも、勿体ない使い方するわねーーと。

 

歌劇団が推したい人、実力があっても上に上がれない人。

明暗くっきりの星組だなあと。

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5842

Trending Articles