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韓国史劇風小説「天皇の母」47 (フィクションだよ)

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アヤノミヤがイギリスに留学した頃、マサコもまたイギリスへ留学していた。

ハーバード大から東大に学士入学し、その後、国費でイギリスのオックスフォード大へ。

華麗なる学歴だった。

しかし、当の本人はそううまくは行っていないようだ。

マサコは自分は優秀な人間だと疑っていなかった。

小さい頃から父に愛されようと一生懸命に勉強をしてきた。妹達の要領のよさは

わかっている。

本当はレイコの方が勉強が出来るという事も。

それでも、マサコは何とか自分を「オワダ家の長女」「一番愛される娘」としての地位を

守ろうと必死だったのだ。

父にしても、そんなマサコの思いがわかっているからこそ、アメリカに呼び寄せ

自分の力でハーバードに入れてくれたのだろうし。

でも・・今回の国費留学は今までとは違った。

何だか・・・講義の内容がわからないのである。全くわからないわけじゃない。

でも、言葉一つをとってもアメリカとは違うし、同じ英語なのになぜ?と思う。

自分の英語は完璧だと思っていたけど、「どこで覚えたの?それ」って言われる。

ハーバードの教授は自分の意見を素直に聞いてくれたし、細かく教えてくれたけど

こちらは違う。

「あなた自身の研究の成果が欲しいんだ」と言われる。

要するに何を言われているのか、さっぱりわからないのだ。

最初は意欲満々でロンドン入りを果たしたマサコは、そのままボート部に入部した。

でも数日通ううちに「何か違う」と思い始める。

何となく仲間はずれにされているような気がするのだ。

私が日本人だから差別するの?それってひどくない?

だから「風邪をこじらせて」という理由で部をやめた。

イギリスには今でも厳格な身分制があり、「世界が違う人」との付き合いを慎重に

する・・という事がマサコには理解できなかった。

理屈ではなく、育ち方の違いなのだが、自分が回りから「空気の読めない人」とか

「場をわきまえない人」とか思われている理由がわからない。

日本では「今をときめく外交官の娘で、超高学歴のお嬢さん」なのに、ここロンドンでは

「スラングみたいな英語を話す肌の黄色い人種」と思われている。

そんな風に被害者意識を持ち出すと止まらなくなるのがマサコの悪い癖。

次第に寮の中でも孤立するようになり、同じ日本人留学生の中に入っても

黙り込むようになった。

回りはなぜ、マサコがそんな風になったか理解できない。

だって外国育ちで優秀な人なんでしょう?なのに、よく講義を休むし、パーティに

誘っても3回に1回は来ないし、来ても黙って壁の花になっている。

イメージと違うね・・・・そんなささやきが聞こえてくる。

 

「そうそう、お妃候補の話はどうなったの?オワみたいな人が皇室に入れば

すごく大切にされるんじゃないの?」

イギリスは今、ダイアナフィーバーにわいている。

今まで王室に関心がなかった人でも興味を持つような、ダイアナ妃にはそんな

カリスマ性があった。

だから数少ない友人もそんな台詞を言ったのかもしれない。

それに対してマサコの答えは明瞭だった。

「やめてよ。あんな家には行かないわ」

「あんな家・・・って日本一の名家でしょ」

「ただ古いってだけじゃないの。へんに格式ばっちゃって馬鹿みたい」

「皇室をそんな風に言っちゃダメだよ」

「何で?天皇なんて戦争犯罪人じゃない。天皇のせいで沢山の人が死んだのよ。

ちっともいい人たちじゃないと思う。それにあのヒロノミヤは学習院出でしょう?

学習院の偏差値なんてたかがしれてるわよ。背は低いし、いつもにらにら笑って

キモち悪い。全然好みじゃない」

マシンガンのようにしゃべくりまくるマサコに友人は言葉を失った。

マサコはその後も延々と皇室の悪口を話し続けた。

それがストレス解消だといわんばかりに。

 

 


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