今回の作家は川原泉です。
デビュー当時から「花とゆめ」に掲載されていました。
彼女の作品の特徴は「とにかく知識が豊富」という事です。
知識数でいうと三原順が一番かなと思いますけど、川原さんは三原ファンじゃ
なかったっけ?
どことなく作風が似ている感じがします。
デビュー当時から大好きでコミックスは全部持ってますが
今後、随時ご紹介しますね。
で、今回の作品は
「中国の壺」(平成元年)
表紙中央が趙飛竜で後ろの竜は神竜です。
玄宗皇帝の時代、中国の官僚だった趙飛竜は日本から留学してきた
安曇野羽鳥という青年に出会います。
からかったり教えたりしている内に、羽鳥はすっかり趙を尊敬するように。
しかし、ある日、待ち合わせをすっぽかしたら羽鳥は雨に打たれたまま趙を待ち続け
病気で死んでしまった。
激しく自己嫌悪に陥る趙の前に神竜が現れ、いっそ壺に入ってしまえと言われ
そのまま、代々安曇野の子孫を見守る事に。
そして現代。
子孫の志姫は父亡きあとずっと趙に見守られてきた。
母はお金持ちと結婚したものの、亭主関白の義父になかなかなじめず。
しかも海外出張から帰ってきた義兄は、夜な夜な女装して歩き回る性癖を持っていて・・・・
ばらばらだったステップファミリーが、次第に「家族」として絆を深めていくという
珠玉の一作です。
読み終わったあとに残るほのぼの感がいいよね。
このコミックスにはもう1作収録されていて
「殿さまは空のお城に住んでいる」(平成2年)
殿さまの名前は鳴沢信之介。
姫君の名前は鈴姫。
この二人が結婚して鳴沢家25万石のお家騒動に巻き込まれていくのです。
そして多分・・・この二人の子孫が「笑う大天使」のオスカル様こと
斉木和音の母なのです。
コマ割りが細かいし、大名家のあれやこれやの説明がすごくて
年よりにはちょっと・・・レンズが必要だわ・・・と思うのですが
あらためて読み直すと面白いです。
そしてさらにもう一つは
「ヴァンデミエールー葡萄月の反動」(平成6年)
この作品は「メイプル戦記3」に
収録されているものですが、時々無性に読み返したくなるんです。
主人公ー貴島覚(きじまさとる)27歳
沢登蕗子(さわたりふきこ17歳)
さとる君は大企業のオーナーの息子でバリバリの仕事人間。
でも事故をきっかけに精神年齢が9歳になってしまった。
両親亡きあと一人で弟の面倒をみてきた蕗子は、夏休みのアルバイトで
さとる君の「遊び相手」を務めることになる。
見た目は27歳なのに、幼くて素直なさとる君。そして近所の子供達と
昭和の遊びにふける毎日・・・
妙に冷めて大人の高校生のお姉さんと、無邪気な27歳の織りなす
ひと夏の経験・・・みたいな話です。
ラストがハッピーエンドなので安心して読むことが出来ます。
とても可愛いお話なので超おすすめです。
ちなみに「葡萄月」というのはフランスの革命暦というもので
1793年から12年しか使われなかった呼び方の一つ。
「葡萄月」
「霧月」
「霜月」
「雪の月」
「雨月」
「風月」
「芽ばえ月」とかいうんですよ。この呼び方も好きで。
その国々のオリジナルな呼び方があるって素晴らしい事だなあと
当時、思いました。
まあ、日本も負けてないですけどね。
知識が豊富になり、ほっこりしたい方にぜひおすすめしたいです。