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まー様のエリザベート

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 姫ちゃんと一緒に見に行きました。

キャトルレーヴでずっと売り切れ御礼だったシシィスターのピアス発見。

思わず「買っちゃえば」と言ったら「買って」って言われたので、しょうがないなあと。

その場で付けたら私はルドヴィカになってしまいました。

♪ こっち向いて 姫ーーきれいよーー♪

って・・・・

 まー様のエリザベート 

ルドルフ・・・蒼羽りく

エルマー・・・桜木みなと

シュテファン・・・澄輝さやと

 

 どこに小柳奈穂子っぽさが出るのか

今回の関心事はそれだったんです。

なんせ宙組のポスターがあまりに綺麗で、思わず買っちゃったくらいですし。

紫トーンのエリザベート、いいんじゃないか?って。

で、プログラムを買ったら、それこそが小柳奈穂子っぽい。

表紙のドアップと手とか、ポーズの一つ一つが。

でも折り込みの所は韓ドラ風だと姫が申しておりました。

「だってこのエリザベートのドレスの下にタイトルが入ればトンイみたいじゃない?」

いわれてみれば・・・・・

 

で、最終的にどこが小柳っぽかったかというと、フィナーレの大階段、紫ドレス軍団ですかね。

この感じは女性っぽいでしょう。って。

 主役はエリザベート

ごめんなさい。

歳のせいなのか、この所の寝不足のせいなのか、9列目の真ん中だったのに眠くて眠くて。

それでも1幕目は何とか見る事が出来たんですが、2幕目も最後の方になるとまぶたが・・・

で、フィナーレでぱっと起きちゃったって感じです。

 

今回の「エリザベート」はもしかするとウイーン版に近いのではないかと思いました。

つまり主役はエリザベートだったという事です。

じゃあトートは脇役だったのか?というと、そういう事じゃないんですけど

見た目が真っ黒でしょ。

背景の中に溶け込んでしまいそうなんですよね。

エリザベートと初めて出会うシーン、椅子にすわってクルクルの時は顔にライトが当たって

不気味に目立っていたけど、あとは・・・・どうして髪を黒くしたのかしら?

目立たないってわかりそうなもの。それに直毛だし。

でもずっとまー様の演技を見ていたら、そっか、トートはエリザベートの「心」なんだなと。

エリザベートがプレッシャーに負けそうになったり、自己嫌悪に陥ったりするとひょいっと

現れて「死」へいざなう。

「死んだ方がましだわ」って思うのと一緒なんじゃないかって。

そのたびに、エリザベートは何とか我に返って「まだ生きるもん」って頑張る。

するとトートはふっと消えちゃうんですよね。

こういうトートはある意味、新しいのかなあと思ったり。でも宝塚でそれをやっちゃっていいのか?と思ったり。

カフェにおいても、それぞれの心の中を表現しているのがトートなんですよね。

 

2幕目から急にテンポが速くなっているように感じたのは私だけでしょうか?

急ぐ理由があるのかなと。

 

印象に残ったシーンは1幕のカフェのシーンでしょうか。

ちょうど真ん中あたりは星吹彩翔がいる所で、彼女の小芝居が面白くて。

っていうか、カフェの人達が面白い事に今気づいたと。

星吹彩翔がヨハネの黙示録をぱらぱらめくり始めた時は「え?」って思ってしまい、笑いました。

だってツェップスさんに怒られているんだもん。

「ミルク」のシーンは、私だったら市民たちに客席降りさせるなあと思いました。

その方がトート一人銀橋に残るし、銀橋には黒天使を並べるとかできるしね。

2幕目は、正直、トートとエリザベートの仮面が剥がれ落ちたような居心地の悪さがあって

それで一層眠くなっちゃったんじゃないかと感じます。

まー様はダンサーですから、動きはなめらかだししなやかです。

歌だって悪くないです。欠点がないので、よけいに凡庸に見えるというか、あまり特徴を感じない?

2幕目の「仮面が剥がれ落ちた」というのは、トートからなんの感情も感じなくなったという事です。

1幕目まではそれなりに嫉妬したり悔しがったりしてましたけど、2幕目になったら無表情が過ぎて。

フィナーレまでそうだったので、この役作りは何なんだ?と。

ラストシーンの昇天の時も「愛」を感じるというより、トートとエリザベートが同化した感じだし。

とてもフランツ・ヨーゼフと3各関係には見えませんでした。

耽美的なビジュアルを持つトートですから、ルドルフとの一連のシーンは結構期待していたんですが

うーん・・・小柳さん、最後のキスシーンぐらいBL度あげて欲しかったよーールドルフの向きがーー

すると我が家の姫が「トートの本命はエリザベートじゃなくて本当はフランツ・ヨーゼフなんじゃない?」と言い出し。

なんだそりゃ?と思ったんですけど、そういう話だったらわかるかも、とフフィナーレになって納得したのでした。

つまり。星組風デュエットダンスが全然熱くなかったという事です。

正直、技術的な面でいえばまー様の方が麻路さきよりずっと上だと思いますよ。

だけど、宝塚のダンスってそれだけダメなんだなとつくづく感じました。

二人の絡みのなかにストーリーがないと。

そこらへん、まー様はトート風無表情を貫き遠しすぎたなあと思うんです。

銀橋に出る時、ああ、白城あやかはこうでマリコさんはこんな表情で、にこっと笑いながら飛んだんだっけなんて

思ってたら・・・・同じものを求めてはいけないけど、新しいものを見せて貰えないとやっぱり

お客としては納得できないんじゃないか?と。

そういう意味では宙組は本当に「凡庸」というのが適切な言葉です。

そしてこれが今の宝塚の現実なんだなあと。

 

 出演者について

朝夏まなと・・・・ビジュアルは文句なしに綺麗。衣装も素敵。「最後のダンス」の衣装が特に好き。

         歌唱力も悪くないんです。じゃあ、上手なのか?と言われたら、えっと・・・そこまででも

         ないような。

         一路トートのようにド迫力で歌うわけでも姿月トートみたいに恨みを持っている訳でも

         春野トートのように鏡をみてうっとりする感じでもない。

         朝夏らしさがないというのかなあ?

         じゃあ、朝夏らしさって何よと言われると、笑顔とやさしさ。この二つを封印してしまうと

         なーんもない。それだけまだ大人の男役として未完成なのかもしれませんね。

         全て「型通り」に演じているだけだったような気がします。

         朝夏トートに連れ去られても、黄泉の国まで行ったらふっと消えてしまいそうです。

実咲凜音・・・1幕目のエリザベートは歳相応で可愛らしかったです。

         特にバートイシュルでのお見合いのシーン、結婚式のシーンなどはまだまだおこちゃまの

         シシィですね。

         ところが2幕目になった途端、ダメダメなエリザベートに。

         心の成長があまり見えないというか、病院のシーンもヴィンディッシュ嬢にお株をとられた感じ。

         ルドルフのシーンも母親に見えない。

         「モンテクリスト伯」のメルセデスはいいお母さんだったのに。

ちょっと話はそれますが「私が躍るとき」という歌は何となくいつも唐突に感じるんです。

エリザベートが階段を降りて王冠を外し、歌に入るというのが、何となく。

そしてこの歌をどう解釈するか、というのはいつもトートとシシィの課題であるような気がします。

花組のように完全に敵対すべきなのか、少しはトートになびいているのか、

♪ 手をとって俺と踊るんだ 俺が躍りたい時に 好きな音楽で ♪

♪ 踊るなら命果てるその時でも 一人舞うあなたの前で ♪

♪ 踊るなら 選んだ相手と 踊りたい時に 好きな音楽で ♪

♪ 踊るなら この世終わるその時でも ただ一人 愛する人と ♪

♪ 踊るなら 全ては この俺(私)が 選ぶ ♪

単純にこの歌を全部聞くと対立関係に見えます。このような状態でどうして

ラストシーンに行けるのか。

♪ 連れて行って 闇のかなた遠く 自由な魂 安らげる場所へ ♪

♪ 二人きりで 泳いで渡ろうよ 愛という名前の深い湖を ♪

♪ 涙 笑い 悲しみ 苦しみ 長い旅路の果てに掴んだ ♪

♪ 決して終わる時など来ない あなた(お前)の愛 ♪

トートはいいとして、エリザベートの心の変わり方がどうにも納得できない。

花組くらいから「何でラストにトートとエリザベートが結ばれるのか」という疑問が

でるようになった背景には、「私が踊るとき」が追加されたせいじゃないかと思うんですよね。

花總まりは、ここをハンガリー王妃になる事で、ますます自由に、自分の思い通りに

生きる事が出来るのよと自慢げに歌っていたような気がするんですけど、

結局、何をどうしても幸せにはなれないエリザベートの悲しみが運動や慰問に現れるわけですよ。

かつてのダイアナ妃がそうだったように。

個人的には、戴冠式から即 ♪ ママ・・・♪に行った方がいいと思いますけどね。

真風涼帆・・・模範的なフランツ・ヨーゼフだったと思います。

        ♪ しきたりだ ♪ って言われたら私だって思わず「古すぎる!もういいわ!」になるわーー

        でもそれ以外はやっぱり「普通」かなあ。

        普通が一番!って言われそうですけど。

愛月ひかる・・・平凡なルキーニだったなあと。本を読んでるみたいな。

蒼羽りく・・・やっぱり普通のルドルフ?

桜木みなと・・・見た目が綺麗なエルマーでした。

星吹彩翔・・・最初、あまりにも可愛い笑顔で出て来たヴィンデッシュ嬢は普通かな?と思ったんです。

       そしたら、壊れた扇を目の前にぱっとかざして震えて、しまいになく彼女を見てたら

        本当に哀れで可哀想。

       本物の扇を持たされて、それを本当にうれしそうに持って行く、いつも以上に口角が上がって

       不気味なほどの笑顔。これは新しいヴィンディッシュ嬢じゃないかなと思いました。

       カフェやミルクのシーンでも小芝居がきいていました。

純矢ちとせ・・・彼女もこういう役が似合う学年になったんだなと思いました。

        歌も上手ですし、デフォルメ過多じゃないし、これまた普通かなあ。

怜美うららのマダム・ヴォルフは綺麗すぎ。あなたがマデレーネやったら?って感じでした。

愛白もあのスターレイが綺麗でした。

 

トートという役は、いわゆる「位取り」が必要な役柄なんだと思います。

つまり、立っているだけで観客全員を引き付けてしまうオーラを持つ、宝塚の男役としての

型をしっかり押えつつも、圧倒的な光を持っているスターでないと務まらないという事ですね。

勿論、ただ綺麗であればいいわけではなく、ピラミッドの頂点に立つにふさわしい王者の風格が必要。

近年でいえば水夏希くらいですか。

初演を懐かしむだけではいけないのはよくわかっています。

けれど、本当に見る度に宝塚の男役が小粒なっている現実を目の当たりにするのは

ちょっと悲しいし、先が心配です。

 

 

         


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