花組時代
花組への組替えが発表された時、誰もが「これは・・肩たたき?」と思ったものですが
今、DVDを見ると、これはトップ路線への伏線だったのではないかと思います。
むしろ花組の新トップになった真飛聖が気の毒になる程、大空の存在感は大きかった。
「太王四神記」なんて大空の「祝!宙組トップ就任」お披露目作品に見えましたから。
ファンが考える前に水面下では色々動いていたという事でしょうか?
「愛と死のアラビア」・・・内容がどうしようもなかったけど真飛と壮の仲良し
ぶりが目立つ作品でした。その中で大空のイブラヒムは「支配者」側に
経つ「大人」の役。
ラスト、牢獄のトマスにアノウドを会わせるシーンがありますが、その時の
イブラヒムの立ち方と頷き方に「大物」ぶりを見ました。
「銀ちゃんの恋」・・・1996年の久世版があまりに衝撃的で面白かったので
それに比べると大空以下の配役にはあまり魅力を感じませんでした。
こういう破綻した性格の人物を演じるのが一番似合わないのではないかと。
「太王四神記」・・・ホゲとして最高の出来でした。コスチュームがこんなに
似合うなんてとほれぼれした覚えが。真飛があまりに清廉潔白だったが
ゆえに好対照。特に婚約の席でホゲがキハの唇を奪うシーンが好き。
小池作品にめぐり合い、「本来の自分」を取り戻した事が大きな自信になり
迷いがなくなって壮大なスターへ変身したのかな・・・・・と。
宙組への落下傘
これまた大和悠河の後の落下傘人事に驚きでしたが。
ピンチをチャンスに変えました。
すぐに組子の心を掌握
「カサブランカ」を見た時に、「今までの宙組と全然違う。何がってまとまりが」
姿月あさとから数えて5代目。全部を見てきました。
コロコロ二番手や三番手が変わる状況。長い女帝の時代等、宙組はいつも
落ち着かず、各組のごった煮状態
やる気があるのかないのか。
ところが 「カサブランカ」における宙組はしっかり一つにまとまっていました。
でもそれはすでに「大江山花伝」の時から始まっていたんですね。
まるで大空が生え抜きトップのように見えましたから。
「カサブランカ」・・・最高のリックでした。リックが大空か大空がリックか
わからないほど。最も似合う役であったと思います。
「トラファルガー」・・・実際のネルソン提督はもっと歳をとってた筈ですが
色男というより「パパ・ネルソン」が素敵でした。
「美しき生涯」・・・融通がきかない石田三成という役柄が似合ってました。
「誰がために鐘はなる」・・・私の中ではやっぱり鳳蘭ですから。キムシンの
へんてこな改変によってせっかくの名作が台無しに。そうはいっても
今の時代、ロベルトをきっちり演じられるのは大空以外いないでしょう。
「クラシコ・イタリアーノ」・・・植田景子さんの「NICE GUY」になった感じ?
「大江山・・」「誰がために・・」仮面のロマネスク」「ヴァレンチノ」再演も多く
でもよく期待に応えたと思います。
やっぱり大空は現代で「古きよき時代のトップ」を体現している存在なんでしょう。
(いやーーでもあの頃の人達は今の大空より学年にして6学年以上は若かった。
それを考えると不思議)
ゆえに組子からも慕われていたのかなと。理想の「上司」でもあったんですね。
トップスター大空祐飛を生み出した要因
それは時代・・・であったと思います。
ほんの少し時代がずれていたら、トップになれなかったかもしれないし
またはもっと早くトップになっていたかもしれないと。
その「時代」とは何か。
それは100周年を迎える宝塚の行き詰まりというか・・ぶっちゃけていえば
カリスマ性のあるスターがいない、育てられないこと。
1990年代の最初に飛び出た天海祐希。
劇団の思惑が見事にあたった「作り出されたスター」でした。
それ以来、歌劇団は「天海よもう一度」とそればかり考えて来たようです。
それが彩輝直や朝海ひかる、大和悠河の大抜擢に繋がったのだと。
そして明日海りおへ繋がっていく?
宝塚のアイドル路線は一見成功したかのように見えましたが、作家を育て
なかった事で作品が劣化し、ファンのレベルも低下。
作品がスターを作り出すのではなく、そこにスターがいればいいという
やり方は長い目で見てファンを減らします
また伝統的な「型」を大事にせず、娘役をないがしろにする事で
「女性が男役を演じる意義」も曖昧に
中世的な顔立ちが重要視される一方で、大空のような顔立ちは一般ウケ
しないと思われてしまったのかな
今やジャニーズもAKBも宝塚も同じに見える人が沢山いるんじゃないかと。
そんな中、歌劇団としては起死回生、あるいは最後の砦として大空祐飛を
無視するわけにいかなくなった。
はっきりいえば頼ってしまったのだと思います。
最後はいつも「伝統的な型」が勝つというか。
宝塚も100年続けば立派な伝統芸能。
草食系が流行っても、女が欲するのは最後は肉食系って話でしょうか。
ゆえに大空祐飛がトップになって、まさに宝塚の男役でしか表現出来ない
役を次々に体現した事は、宝塚の中にまだまともな感覚を持っている人が
残っているという事でしょう。
今後、宝塚を後世に残したいなら「天海祐希をもう一度」ではなく
「大空祐飛をもう一度」だと思います。
大空祐飛ベスト5
1位・・・・「カサブランカ」のリック
「君の瞳に乾杯」も好きだけど「俺はきみをみつめているんだよ」も好きです。
彼女を待って酒をがぶ飲みしているリックが愛おしい・・・かな
ずっと無表情なだけに、崩れた部分が意外性があるんですよね。
女は強い男の弱い所が好きなんです
2位・・・・「太王四神記」のホゲ
とにかくヴィジュアルが フィナーレが
3位・・・・「トラファルガー」のネルソン
ジョサイアに優しいネルソン。
ホレイシアに名前を聞くネルソンが好きです。
4位・・・・「MAHOROBA」のサダル
これまたヴィジュアルが 死んじゃうシーンがっ
5位・・・「誰が為に鐘はなる」のロベルト
どうしたってツレちゃんには叶わないんですが・・・ゆえにマリアとのシーン
よりゲリラのリーダー役のほうが好きです。
学年のせいなのか、本来の持ち味なのか、欲望に身を焦がす役より
父性愛を示す役のほうが似合っていたと思います。
「こんなお父さんがいたらいいのに」と思わせるような?
無表情なくせに面倒見がいいという役が似合うって・・・一昔前の
「がんこなパパ」そのものかもしれませんね。
今後、女優としてやっていくのかしら?
それとも結婚?
個人的には雑誌の拍子を飾るようなモデルでいけちゃうんじゃないかと。
こんなに素顔が綺麗で、どんな衣装も着こなせる人ってそうそういないし。
グラフなどにのるポートレートに萌えるなんてあまりない私が
そう思うんだから絶対だと思います。
もし女優なら・・・きっと可愛いかも。
そうはいっても、育ちもよいし上品だしお金持ちの奥様におさまっていくのも
いいんじゃないか?
なんて、あれこれお節介に先を考えてしまう・・・想像がふくらむ人なんですね。
今まで苦労や我慢が多かった分、卒業したら自由に自分を表現し
誰よりも幸せになって下さい