25作目・・・1980年 なっちゃんの写真館(寺内小春)星野知子主演
26作目・・・1980年 虹を織る(秋田佐知子)紺野美沙子
27作目・・・1981年 まんさくの花(高橋正圀)中村明美主演
28作目・・・1981年 本日も晴天なり(小山内美江子)原日出子主演
29作目・・・1982年 ハイカラさん(大藪郁子)手塚理美主演
30作目・・・1982年 よーいドン!(杉山義法)藤吉久美子主演
80年代に入ると朝ドラが低迷します。
私が覚えているのは「虹を織る」でこれは宝塚を目指す話だったと思いますが、ぐだぐだな内容で、ラストはヒロインがバレエの先生か何かになって終わるストーリーでしたよね。それにもがっかりしました。
紺野美沙子の下手な演技もがっかりしました。
この本によると、朝ドラの低迷期を救ったのは
31作目・・・1983年 おしん(橋田寿賀子)小林綾子・田中裕子・音羽信子主演
これはテレビ放送30周年記念作品として制作され、橋田寿賀子オリジナル脚本でこの年だけ1年間の放送になりました。
当時の橋田先生は「隣の芝生」「おんな太閤記」を大ヒットさせた超売れっ子作家。
とはいえ、1968年「あしたこそ」という朝ドラで大失敗し、一時休業していたくらいだったそうで、そのリベンジの為に頑張ったそうです。
でもね 1年間放送とか出演者の事とか橋田先生は特別扱いを受けていたみたいで、釈然としない部分はあります。
このドラマの特徴は
子役は新人だけど他の二人はベテラン
オープニングは印象的だけど能天気じゃない
という事で割と「7つの大罪」にとらわれず意欲的で面白いドラマを作ろうとした結果、大成功を収めた作品なんですね。
個人的な感想をいうと、「おしん」は子役時代でストーリーが終わっていたような気がします。
視聴者がひかれたのは小林綾子演じるおしんが実家で母や祖母と「男社会」の中でひどい扱いを受けつつ、口減らしの為に奉公に出され、苦労しながらも運よく教育を受けられた・・・その過程が素晴らしかったんです。
というのも、おしん、その母、祖母が味わっていた理不尽な扱いや我慢は、あの当時ですら東北の女性達が味わっていた事なので。
いわゆる「長男至上主義」とでもいいましょうか。男だけ特別扱いされ、尊重される社会における忍耐・・・これが共感を得たんですね。
だけど、成長してからのおしん、さらに老境を迎えてからのおしんにはあまり人気が集まらなかったと記憶しています。
音羽信子演じるおばあちゃんが子供達のやる事に不満を感じて家出しちゃう話などは今では共感できるけど当時はまだ子供だったのでさっぱりわからなかったなあ。
でもとにかく、これを機に朝ドラスタッフは「意欲的で面白く定番でない」ものを作ろうとやっきになってしまったんですね。
それがこれから始まる長い朝ドラ低迷期を作ってしまった。
もし、「おしん」がヒットしなかったら、制作側も素直に「7つの大罪」に沿った作品を作り続けていたろうというわけです。
32作目・・・1984年 ロマンス (田向正健)榎木孝明主演
33作目・・・1984年 心はいつもラムネ色(冨川元文)新藤栄作主演
34作目・・・1985年 澪つくし(ジェームス三木)沢口靖子主演
35作目・・・1985年 いちばん太鼓 (井沢満)岡野進一郎主演
36作目・・・1986年 はね駒(寺内小春)斉藤由貴主演
37作目・・・1986年 都の風(重森孝子)加納みゆき主演
38作目・・・1987年 チョッちゃん(黒柳朝・金子成人)古村比呂主演
39作目・・・1987年 はっさい先生(高橋正圀)若村麻由美主演
40作目・・・1988年 ノンちゃんの夢(佐藤重子)藤田朋子主演
41作目・・・1988年 純ちゃんの応援歌(布施博一)山口智子主演
「おしん」の功罪として
・朝ドラを普段見ない人を引き込んだこと
・定番に捕らわれなくてもヒットすると思ってしまったこと
・根っからの朝ドラファンを離れさせたこと
というのがあります。
これって、宝塚でいう所の天海祐希時代に匹敵するなあ・・・と思いました。
天海祐希は宝塚の中でも異色のトップスターでした。
植田先生による「お母さん、産んでくださってありがとう」という言葉は有名ですが入団早々新人公演の主役を務め、並み居る上級生を押しのけてトップスターに。
マスコミも騒ぐし、歌劇団も後押しするし。
その人気の理由は「宝塚っぽくない」事だったんですよね。
宝塚といえば濃い化粧やごてごてした衣装が特徴、色恋沙汰の話が定番だったのに、天海はあっさり化粧を薄くしてしまいました。
演技もナチュラル、だからヅカファンじゃない人からの支持が高くて、でも天海祐希退団と共にヅカファンもやめてしまう人が多かったです。
天海祐希という独特なスタイルのトップスターを出してしまったが為に、この後、今に至るまで「ポスト天海祐希」探しは続いていて、ビジュアル重視、中性的な容姿、ナチュラルな演技のスターが好まれ、結果的に古いヅカファンを減らしてしまったという事があるのです。
当時、植田紳爾は危機感を覚えていたんでしょうね。
座付き作家達も掟破りの正塚晴彦・小池修一郎の影響を受けてメッセージ性が強く、娘役がほとんど出ないような作品を連発、男尊女卑、恋愛なし、男の夢ばっかり描くので「宝塚らしさを追求しろ」と何度も訴えていました。
しかし、80年代から90年代にかけて「宝塚らしさ」というのは、作家達にもわかっていなかったんじゃないかなと思います。
話が逸れましたが、朝ドラでいう所の「改革」が女優ではなく男優を主役に据える事だったんですね。
これでかなり朝ドラファンを逃してしまったんじゃないかと思います。
1作、不作があれば続けてみようと思わないのが視聴者ですしね。
それでも「七つの大罪」に忠実だった「澪つくし」はヒットしたそうです。
私も何回かみましたけど、沢口靖子の大根ぶりに言葉を失って続けての視聴はやめました。
「はね駒」は二本松少年隊を先祖に持つヒロインの話でしたよね。斉藤由貴の演技力は素晴らしかったし、競演の樹木希林もすごかった。
でもやっぱり学校があったのでほとんど見れなかったのが残念です。
「チョッちゃん」は、黒柳徹子のお母さんを題材にした話で、当時、「窓際のトットちゃん」が世界的にヒットして、NHK育ちの黒柳さんはそれはそれは売れに売れて、彼女の福祉活動なども含めて日本の大スターになった頃。
そこでお母さんにスポットライトが当たったんでしょう。
現在、昼ドラ「トットちゃん」がお母さんの話から始まっているのにこのタイトルなのは朝ドラと被らない為ですかね?
あとは全然覚えていないです。
でもとにかく「おしん」以降、朝ドラは低迷しつつも安定した人気を誇っていたようです。