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Channel: ふぶきの部屋
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初心者の為の宝塚講座  4

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・酒井澄夫 → 華やかなレビュー・・・でしかない

直近の作品は星組「Bouquet de TAKARAZUKA」

ショー作家としての酒井澄夫をあまり評価した事はありません。

私が最初に生で見たのは1996年月組の「グランド・ベル・フォリー」でしたが、久世星佳のさよなら公演だったにも関わらず、あまりそんな感じはしなかったですし、2005年花組「エンタ・ザ・レビュー」もぱっとしないというか、酒井先生の作品はどれもクライマックスがない感じがして、あまり好きではないんです。

芝居の方だと2000年宙組「砂漠の黒薔薇」の駄作ぶりに椅子から転げ落ちそうになったし。(アラビアものなのに忍者が活躍しているみたいな違和感)

それでもまあ、探せばそれなりの作品があるもので、

・EXOTICA → 1995年。月組天海祐希主演の作品ですが、曲もテーマも衣装もパーフェクトな作品でした。

・ダル・レークの恋 → 1997年星組。麻路さき主演。春日野八千代主演の4時間の大作を2時間半にまとめた手腕はすごいと思いましたし、ストーリーは元々筋が通っていないんだけど、どういうわけか面白かった。特にフィナーレが素晴らしかったです。

 

 岡田啓二 → ロマンチックレビューの巨匠

1941年生まれ。直近は星組「ロマンス!!」(2016)そして2018年宙組「シトラスの風」です。

彼の作品が「ロマンチックレビューと呼ばれるようになって久しいです。

1977年の「ザ・レビュー」からその路線を貫いている人ではありますが、ロマンチックレビューとは要するに白井先生の究極の華やかなレビューの再現、あるいはその伝統を受け継いでいるという意味だと思います。

ウィキによると、ロマンチックレビューの確立は1984年花組の「ジュテーム」からという事で、これには「シトラスの風」で再演されていた「花占い」が入っているようです。

でも本当にロマンチックレビューと言えるのは1994年星組の「ラ・カンタータ」からではないかと思います。これは紫苑ゆうのさよなら公演で、2章の「ステート・フェアー」が如実にかかってます。ここで使われた音楽は伊勢丹でよく流れていて、聞く度に「ラ・カンタータ」を思い出していました。1990年代あたりから、自分の作品のリプライズをするようになっています。

「ロマンチックレビュー」とはいえ、その時々の最先端の音楽を取り入れるなど決して優雅で気品があるだけのショー作家ではない事は明白です。

 

・ル・ポアゾン → 1990年月組。剣幸さよなら公演。宝塚の沢山のショーの中でも最も傑作の一つだと個人的に思ってます。剣幸とこだま愛のゴールデンカップルぶりがこれでもかという程発揮されているのが「愛の戯れトリスタンとイゾルデ」それからジゴロの場面。また「愛の復活」ではクイーンの曲を使って盛り上げ、フィナーレ近くでは「別れの曲」で剣幸と涼風真世の二人の踊りに涙・・・です。

・シトラスの風 → 1998年宙組。姿月あさとのお披露目公演でした。とっても革新的な作品だったと思います。

オープニングはいかにも岡田ロマンチックレビューで華やかに始まり、「花占い」の花總まりもとても可愛らしかったですし、特に「ノスタルジア」はいわゆる三角関係の王道のシーンですが、とても美しかったです。

そうかと思うと「誕生」では仮面をつけた人間が語るような歌と共に人間関係の複雑さを踊り、やがて芽が出る・・そして鳥の誕生になるという一連の流れはとても斬新です。「シトラスの風」は何度も再演されていますが、ベルリン以外でこのシーンが消えたのはちょっと残念です。

「明日へのエナジー」は本当に名シーンで見ている方も歌っている方もわくわくする名曲ですね。 

・アジアン・サンライズ → 2000年花組で上演されました。それまでのロマンチックレビューはヨーロッパを中心としたクラシックの世界を描いていましたが、こちらでは中国やタイや・・いわゆるアジアに目を向けた作品になっています。

ただ6章「サンライズ・アゲイン」における匠ひびきの歌に「アジアの人はみな同じ」というのがあって、「それは違うでしょう」という意見も多かったです。

続編というか姉妹編の「アジアン・ウインズ」は2005年花組で上演。

いきなり服部良一メドレーが出て来た時はびっくりしましたし、ふづき美世のさよなら公演だった事もあり、韓国編では「チャングム」の曲を使用して王妃様になってましたね。

・ネオ・ダンディズム → 2006年星組で上演。湖月わたるのさよなら公演でした。この作品の大元は1995年花組で上演された「ダンディズム」の続編というか姉妹編です。名シーンの「キャリオカ」もよかったけれど、やっぱり「ALL BY MYSELF」でキラキラと星が輝く中での歌とダンスはちょっと泣けました。

 

自分の作品のリプライズが多い先生はありますが、必ず一つは斬新なシーンをいれてくれるので嬉しいですね。

 草野旦 → 鴨川清作を愛した男

1943年生まれ。直近は月組「ONE私が愛したものは」(2011年)

現在は歌劇団の理事の一人だそうです。

草野先生はとても沢山の作品を輩出しており、一口にあれこれとは言えないのですが、モチーフとしては「自然」「南国」「動植物」などが使われる事が多いですし、どの作品の中にも「ノバ・ボサ・ノバ」が見えるというか、究極の憧れを感じてやみません。

それが特に顕著だったのは1997年花組で上演された「サザン・クロスレビュー」ではないでしょうか?

これはまさに草野版「ノバ・ボサ・ノバ」で草野作品の集大成の一つで最高傑作だと思います。当時の花組はとても人数が多かったのですが大劇場一杯に全員が羽根をつけて踊りまくるというシーンにはとても圧倒されましたし感動しました。

後に「サザン・クロスレビューⅡ」などが作られますがあの頃の規模はどうしたって取り戻せないでしょう。

一方で「エコーズ」のようなとんでもない作品も作るんですけど、カマキリのシーンはとっても・・・今もみられません。

 

・パパラギ → 1993年星組で上演。紫苑ゆうが休演中の公演で麻路さきが代役でしたが、この作品もある意味「ノバ・ボサ・ノバ」へのあこがれの象徴と言えるでしょう。作曲にやしきたかじんが加わった「こころはいつも」は誰もが愛するシーンの一つでしょう。また酒に酔っぱらうシーンもあり、これは「ヘミングウエイ・レビュー」で同じようなシーンが再現されています。

・バロック千一夜 → 1995年雪組で上演。一路真輝主演でしたね。ビデオでしか見た事がないのですが、「アフリカ」のシーンが印象的で、特に轟悠の男性的な声が耳に残りました。また一路真輝の「オンブラマイフ」をアルトで歌うという画期的な場面もありましたよね。

この頃、星組から星奈優里が組替えして花總とダブルトップ娘役のような立場になりました。彼女と香寿たつきのあまりにもすごいダンスは目の保養でした。

・マンハッタン不夜城 → 1997年月組で上演。久世星佳のお披露目公演でした。

珍しくニューヨークが舞台で、そこに突如王様と王妃様が静養にやってくるというお話で・・ちょっとめちゃくちゃな展開でしたが、フィナーレが素晴らしかったです。

・ヘミングウェイ・レビュー → 1998年星組で上演。麻路さきのさよなら公演でした。あまりないようで気には期待していなかったのですが、全体的な構成がすばらっしく、星奈と麻路のめくるめくダンスが本当に綺麗でした。

「TIME TO SAY GOODBYE」をきちんと聞いたのはこれが初めてだったと思います。

・夢は世界をかけめぐる → 2001年星組で上演されました。いわゆる21世紀に入って初のショーという事で専科からスター総出というショーです。

星組トップに決まっていた香寿たつきと実質星組2番手で雪のトップになる絵麻緒ゆうの珍しい共演で、切ないというか悲しいというか、それなのにショーは面白いというか、見ている方はなんとも複雑な気分でした。

印象的だったのは絵馬緒ゆうの雨ごい祭のシーン、それにバカでかい蝶になって登場したトップコンビでしょうか。

この時使われたシャンシャンがとっても綺麗で、大好きだったんですがとても絡まりやすく、後に修正して使いまわしされてました。

・on The 5TH → 2002年雪組で上演されました。絵馬緒ゆうのさよなら公演でした。このショーはタップダンスが一つのモチーフになっていまして、ダンスが不得意な絵馬緒がよくやったなと思います。またショーを通じて絵麻緒ゆうと紺野まひるの「LOVE」を描いているのでわりとキュンキュン路線のショーではなかったかと。

ただちょうど9・11が起きた時であり、それをそのままショーに取り入れた事にかんしては賛否両論ありました。実際に見た時は降雪機の雪があまりに美しくてそんなことを考えませんでしたが。

さらにフィナーレが終わって幕が閉じた後にもう一度フィナーレをつけるという大胆な展開になっています。個人的には絵馬緒の衣装についていた模様が雪ではなくて星だった事が嬉しかったです。


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