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Channel: ふぶきの部屋
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ANOTHER WORLD 東京千秋楽ライブビューイング

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星組のライブビューイングに行ってまいりました。

東京の映像は市販されているDVDに比べると映像の角度などが全然違っており、それはそれで面白いと思う向きもありますが、人によって上手下手がはっきりtpわかってしまう代物です。

今回はやたらカメラが動き過ぎていたような気がしますし、脇も写さなきゃ・・・と焦ってかえって変な映像になっていたり、ここぞという表情を逃したりしているような気がしました。

芝居はいいとして、ショーはとにかくスピード感がありすぎて映す方も大変だとは思うんですけどね。

 ANOTHER WORLD

改めて谷正純最高傑作だと思います。あの「人殺しの谷」がよくここまで「生きる」事に前向きな作品を書いたもんだと。非の打ちどころのないストーリーで、これをそのまま台湾に持っていったって通じるような気がするんですけどね。

それというのも、これは古典落語をいくつか組み合わせて作られており、その背景には仏教の思想が色濃く反映されている作品だから「日本」という国がどんな国で、どんな人がいるのかという事を端的に表すにはいい作品だと思ったんです。

恋煩いで死んでしまった康次郎。しかし葬式で父が亡くなった人の借金の証文を棺桶に入れた事に腹を立てて「この世に未練なんかない。あの世で人間らしくくらすんや」と叫ぶ。

その後、康次郎は友を助け、身代わりになり恋を成就させるのですが、そこにあるのは「お互い様」と「自己犠牲」の精神です。

そして、わざとフグの毒に当たって死んだ徳三郎は、ちゃきちゃきの江戸っ子で、康次郎の主張が正しいとなると素直に認め、「一つ協力しようじゃないか」と義理立てするわけですね。一緒に亡くなった人達が実は自分のものを盗んでいたと知っても、許してしまう。そこにあるのは「義理と人情」です。

康次郎が捕らわれることで、福の神になることになった貧乏神が一人喜んで浮かれれば「おい、自分だけがよけりゃそれでいいのかい」と窘める徳三郎。

閻魔様に「呼び出したのはそなた一人なのにどうしてぞろぞろついてきた」と聞かれ、康次郎は「自分は一人ではないんです。自分があるんは多くの仲間のおかげなんです」という。こういう思想は、中韓にはないのでは?と思います。

(ふと・・・余談ですけど、韓国では最低賃金を上げたら仕返しのようにコンビニのエアコンを消したり、人を雇わなくなったりとやる事が極端。企業は両班のごとく自分達の利益しか考えていない、利益をシェアするという気持ちがないんです。だからどんなに頑張っても景気が上向くはずがないんですよね。

それは日本でもありました。東日本大震災の翌日のヨーカドーでは缶詰がいつもの3倍や4倍の値段になっていて、随分アコギな商売をするもんだと思ったものです)

ラストシーンでは「一遍死んだ気になって生きてみなはれ」と叫ぶ康次郎。

どれもこれも日本人の美徳そのもので、この作品を見ることで・・・多分、落語を聞くことで一層「日本人でよかった」と思うのではないでしょうか?

むしろ、地獄の閻魔様の方がよほど世俗的で救いのない描き方になっているのが面白いですよね。

♪ それそれありがたや それそれそれなんまいだ ♪という歌詞がとてもありがたいお経のように聞こえてくるんですけどね。

(でもこの曲にそっくりな浜口庫之助の曲がなかったでしたっけ?)

 

千秋楽は星組にとってやりたい放題の日です。声を潰して疲れ切ってるメンバーなんだけど、とにかくアドリブの連続、いつも以上にフリが大きい。

特に赤鬼の瀬尾ゆりあと紅が「ぶち生かす」談義の時のやりとりはあまりに面白くて、面白すぎて次の出の時、紅は「あ、間違った」といって引っ込んでから出直しラストに「いつもこんなことしてるわけじゃないです。谷先生」と叫んで舞台を横切って行きました。

紅ゆずるの康次郎はパワーアップして仏様の境地でしたね。礼真琴の徳三郎さんは演歌歌手になれそうでしたし、綺咲愛里のいとはんは、時折みせる「黒」い部分が可愛くてしょうがない。

華形ひかるの貧乏神は、紅が挨拶で「可愛くてペットにしたい」と言ってましたが、まさにその通りで可愛いかったです(でもうちではいらないよ)

本当にこんな風に真正直でいい人ばかりだったら苦労しないのに。嘘を真実にしようとしているのが日本の象徴だなんて・・・情けなくて涙が出るわ。

 KILLER ROUGE

最初に見た通り、やっぱり何もかも詰め込んで作ったショーという感じで、完成度は今一つですね。

特にサラリーマンが特命刑事になるというシーンは、面白いけどやっぱり自作品のパクリにしか見えませんし、唐突にそんなシーンを出さなくてもいいんじゃないか?と思いました。

最初に出て来たドラゴンがどうでもいいようなシーンの繰り返し。しかも使っている楽曲が歌謡曲でしょう?これ、星組じゃなくてよその組にでやったら間違いなく「歌謡ショー」になってます(私の脳裏には無き新宿コマ劇場のデコレーションケーキのような回り舞台が浮かびましたよ)

せっかく宝塚でショーを作るのに、そこまで歌謡曲を使わなくてもいいんじゃないか?と思ったりするんですよね。クラシックやジャズなどと違って、何だか安っぽく見えてしまうというか、そうならなかったのは幸いでしたが。

その理由は、やっぱり男役全員の「キザり度」じゃないかと

こんなに自己アピールする組ってなかなかないですよね。しかも楽しそうで息があってて。うちの姫ちゃんなんて天寿光希がアップになる度に「かっこいい」とため息ついてましたし、私も珍しく礼真琴がかっこよく(失礼)見えてしまいました。

無論、七海ひろきのお兄様は、もう何でもいいからそこで動いてさえいてくれればいいやー風で。

でも実はこのショーで一番かっこよかったのは綺咲愛里ではないかと思うんです。

今までは可愛い娘役としてしか見てなかったけど、この人にはちゃぴさまと同じような「男っぽさ」もあるんですよね。低い声で歌う時の色気ったらありませんし、視線の向け方がもう「目で殺す」状態。

トップ娘役に必要なのはかわいらしさと同時に大人っぽさ、ある種の男っぽさなんだなあとつくづく思いました。

でもそれ以上に美しくて宝塚らしいのが音波みのりで、綺咲愛里と音波みのりの対比がいいなと。(有沙瞳にならない事はごめんなさい)

一番感動したのは、やっぱり大階段のデュエットダンスなんですけど、紅ゆずると綺咲愛里のあまりにもマッチングした表情と振付がもう素晴らしくて、もっと長かったらいいのになと思いました。

紅ゆずるという人はお客を引き込むのがとても上手な人です。ショーの途中で「キラールージュの振りを覚えましょう」とやるわけですが、しらける事無く盛り上がり・・・これが何で雪になると無理やり感が出るのか今もって不思議です。

花組のような若々しい華やかさ、月組のような落ち着いた技術力、雪組のような優等生が率いる組、宙組のような全て見た目で勝負の組もいいけれど、星組のような、一見垢ぬけないように見えつつも、いつの間にか客席と出演者が一体になっている組もいいんじゃないでしょうかね。

それにしてもパレードの綺咲愛里のティアラ・・・かぶりたい。

 

 

 

 

 


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