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韓国史劇風小説「天皇の母」近未来編3

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記者会の中が急にざわめき始めた。

「おい、今、言ったよな・・・好きな人いるって」

「陛下になりたいとも言ったわ」

「それほんと?もう一回見てみる?」

それぞれが画像や映像を確認し始め、何度も「うん」のシーンを見直す。

そうなると一層、ざわめき始めた。

「一面見出し、一斉いくよね?」そりゃそうだろ。こんなネタ滅多にない。

と思った所で急に先ほど閉まったばかりのドアが開き、汗だくの黒スーツが入ってきた。誰あろう、それは宮内庁の次長だった。

今は冬、部屋はエアコンが効いているがそこまで汗だくってなんだ?どうせ、オクの方からヒステリーが聞こえて来たんじゃないのか?

「皆さん、後日もう一度宮様の記者会見を開きますので本日はオフレコに・・・」

「そんな時間ありませんって。あと何日でお誕生日だと思っているんですか?こっちは皇嗣殿下ご夫妻の記者会見だってあるわけですし」

口々に記者達が言い出すと次長は今度は威嚇するように「両陛下並びに上皇・上皇后陛下の強いお気持ちなので」

と言ったがその一言がジャーナリスト魂に火をつけてしまったのか、さらにそれぞれが口々に言い出す。

「アイコ様は20歳になるんでしょ?今や18歳で選挙権がある時代ですよ。20歳と言えば酒もたばこも解禁、立派な大人です。その本人が発言したことをなかったことにしたい理由はなんですか?」

「ご優秀なアイコ様がそのような事をされてお怒りにならないんですか?」

「トシノミヤ殿下は非常に緊張されており、おっしゃりたい事をきちんと伝えることが出来なかったと思われているのです」

壁に押されるようにして次長はずり下がっていく。

「だったらご本人がもう一度こちらにおいでになって頂いて」

「宮様はもう御所にお帰りになりました」

「だったら宮様はそのままでいいってことじゃないんですか?」

時代は変わったなあと俺は結構感慨深くその光景をみていた。もしこれがかつての皇女、ノリノミヤだったら次長の言う通りになっていたろうなあ。今の天皇が失敗してもなかった事にされてしまっていたろう。

でも悪いけど、みんなもう皇室に尊敬の心なんて持てないんだよ。

自分達がやって来たことを考えてみろよ。現皇后が「適応障害」とやらで「病気療養中」を錦の御旗にやりたい放題やって国民の敵にしちまったことを。

皇族の妃なら子供を産めるなら産むことが最優先の仕事だろ?その為に「国家と結婚する」とまで言ったんんじゃなかったのかし?皇后さま。

なのに、「産むも産まないも自分の意志次第」「皇室は旧弊で女性を閉じ込める

だのって女性週刊誌に書かせて、せっかく妊娠したのに外国旅行したさに隠して、長距離移動にジビエのバカ食いだぜ?そりゃ流産もするよな。そしたら今度はそれがマスコミのせいだといいやがって。

「心無い報道」っておめでたい事をスクープし、流産したからって何で俺達のせいなんだ?(っていってもその頃、俺はまだ子供だったけどさ)

結婚8年目にしてやっと内親王を授かったと思ったらそうそうに「二人目を断念」ってどういう理由だよ?だから女帝にしたい?ってどういう意味だよ。

おれは詳しく知れば知る程腹が立ったなあ。しかもさ、皇室に適応できないという症状が表れたのが皇室に入って10年も経ってからだぜ?それをどう説明する?

「アイコ内親王を女帝に出来ないから」「二人目を強要されたから」「晩さん会で陛下に無視されたから」「外国に行けなかったから」そりゃあもう様々な理由をつけては皇室と国民を散々悪者にして、おかげで日本はすっかり「セクハラ大国」と言われてしまったぜ。

今や妊娠した女性の方が肩身の狭い思いをしながら頑張ってる、子供のいない女性の方が「私は被害者、皇后陛下と同じだ!私を傷つけるな」と息巻くへんな社会だよ。

最初は迎合してたマスコミだけど、過ぎたるは及ばざるがごとし・・・リベラル派はやりすぎたんだな。

まあ、それはいいとしてただ、働きもせずに何億もの金を浪費するだけが仕事になった皇室という存在は俺達には遠いし、尊敬も出来ないし関心もない。

それでもこうやって誕生日の記者会見を放送したり、報道したりするのは、一応は国の象徴として立ててやってるからだ。

次長はひどく疲れた風にため息をつきながら「お願いしますよ。お察し頂くしかないんですから」

「じゃあ、どうしてやり直さないといけないのかその理由を明確にして下さいよ」

皇族本人には言えないが、相手が宮内庁の人間だと思うとついついマスコミも言葉が荒くなる。

「それは・・殿下としてはまだ」

「じゃあ今すぐやり直しましょう」

次長は一瞬、黙ったが「わかりました。すぐに御所に連絡をとりますので。今しばらくお待ちください」と言い、絶対にここから誰も出さないぞ・・というようににらみつけて出て行った。

「おい、外にSPみたいなのが一杯いるんだけど」

「これって監禁って奴?一体、宮内庁は何を考えているんだよ。写真!」

みんな一斉に部屋の隙間からそっと外をうかがう。確かにSPが部屋の前にいる。

「俺が犠牲になるから写真とれよ」

俺はそういうと、ドアをばーーん!と開けた。

「部屋から出ないで」SPの一人が俺の腕をとった。

「何でだよ。トイレくらい行かせないのかよ」

「ダメです。次長が戻りますから」

フラッシュがばばばーーっと光り、俺の腕をとったSPは避けるように腕を振り払い、顔を手で覆った。

「カメラを出しなさい」

「ジャーナリストにとってカメラは命だ!渡さない」俺は大げさにそういうと回りが何だか知らないが心が一つになったようで、「そうだ!」と叫んだ。

「部屋の外に出る権利はある!ここは記者会の部屋だぞ!」

俺がかなり無理に相手の胸を押したのだが、あいては屈強なSP。だからつい、俺は押し戻されて跳ね返るように・・・・倒れた・・・・2、3人下敷きになったような感じだった。

「きゃあ!」叫び声が聞こえた。何事か!と控えていたらしい宮内庁職員の何人かがかけつけてきた・・事だけは覚えている。

どうやら俺は頭を打ったらしい。

 

 

 

 


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