ファントム初演から14年ですか。最近、スマホに入って来るネット情報やブログで「私、ファントムの初演を見た事ないので当時の配役にびっくり」みたいなことが書かれてあって、自分の歳を痛感しちゃったというか、そっか、そういう人もいるんだよねーー
見た事ない人もいるだろうし。ありがたい事に初演と花組(春野寿美礼)を見た事があり、色々語れるかと思い、まさにこの機会にDVDで見直しをしてみようという事になりました。
まずは宙組編です。
宙組 「ファントム」2004年初演
・エリック・・・和央ようか
・クリスティーヌ・・・花總まり
・キャリエール・・・樹里咲穂
・シャンドン伯爵・・・安蘭けい
・カルロッタ・・・出雲綾
・アラン・ショレ・・・鈴鹿照
・ソレリ…彩乃かなみ
・若い頃のキャリエール・・・初嶺磨代
・ベラドーヴァ・・・音乃いづみ
・小さい頃のエリック・・・和音美桜
和央ようかと花總まりがトップコンビになって以来、正直、駄作が続いていました。なんせお披露目が「望郷は海を越えて」だし、呪いのような駄作の連続に呆れていたんですが、やっと面白そうな演目が来たなと思ったのが「ファントム」でした。
海外ミュージカルといえば「エリザベート」ですが、二番煎じを狙ったのか?という感じがしなくもなかった中村一徳演出です。
初演の1回目を見た限りでまさかこれが再演を重ねるとは思えなかったんです。それというのも、「ファントム」といえばやっぱり「オペラ座の怪人」だったし、あの有名なシャンデリアが落ちるシーンをどう描くのか、そればかり気になっていたからです。(やっぱりちゃちだった)
まさか、樹里咲穂演じるキャリエールがエリックの父親なんて露ほどにも思わす。これまた樹里咲穂が若すぎてかっこよすぎて、「え?パパ?うそーー」ってな感じだったんですよ。
オープニングは三日月に黒づくめのエリックのソロ
エリックの従者は黒天使のよう
エリックはジョセフ・ブケーを故意に殺している
「メロディメロディ」の花總の衣装は緑。「パリの歌」の時は純白のドレス
キャリエールの語りの後のダンスではクリスティーヌとヴベラドーヴァが向かいあうシーンあり
エリックを生け捕りにするのは紐
「マリアさまお救い下さい」のラストは小さいエリックと大きいエリックがせりに下がっていく
エリックの死後、クリスティーヌは一人歌いながら銀橋を渡り、舞台上に現れたエリックと抱き合って幕
著作権の関係か、フィナーレは大階段の燕尾から始まり全く意味不明の歌とダンスでしめくくられている。
DVDで注目すべきはこんな点ですが、私は初演を見た時にヨンジュナを妊娠中で、オーバーチュアでヨンジュナが大暴れしておりました。ファントム・・好きだったのかも。
最初見た時、エリックとクリスティーヌの恋愛話なのか、エリックとキャリエールの親子話なのかわからずに、中途半端なイメージを持ってしまった事も事実。母を亡くしたマザコンエリックの恋愛とその背景と思ってみればいいわけですね。
音乃いづみの歌があまりに素晴らしくて、その後の和央のせつない姿をみてたら可哀想で可哀想で号泣しました。母から見れば子がどんな姿でも可愛いに決まっている。そんな母の愛を知っているのにクリスティーヌに拒否されたエリックが哀れで、和央ようかの当たり役でしたね。
一言でいうと和央エリックは孤独でひねくれ者だけどそのくせ人を信じやすくて傷つきやすい、守ってあげたくなるようなエリックでした。上目づかいにキャリエールを見て「それで・・どうみえる?自分の子供の顔さ」なんて言うとキュンってしてしまいます。
なのにクリスティーヌときたら「お顔を見せて下さい」なんていうでしょ?挙句にびっくりして叫んでいなくなる。その時のエリックの低い叫びが悲しすぎました。
花總まりのクリスティーヌは完璧すぎて言う事がないのですが、とても農家の娘には見えない衣装の豪華さ。
設定ではクリスティーヌは12歳でしたっけ?その点が・・・・自信たっぷりに「みせて」って歌ったあとに「きゃあーー」ですから。ちょっと身勝手なんじゃないの?みたいな感じでした。
初演から見ている人は樹里咲穂のキャリエールが一番好きという人が多いです。それというのも若くてかっこよくて歌が上手だから。優しくも厳しくエリックを育てて来た誠実さが現れ、最後、エリックを撃つシーンも、「生け捕りにされて屈辱を受けるくらいならいっそ」みたいな感情は伝わって来たのですが、今回DVDを見てて一瞬「でもエリックが生きたまま捕まったらキャリエールの息子だってばれちゃうよね。それってまずくない?」なんて思ってしまい・・・つまりそれ程冷静に見えたということです。
シャンドン伯爵が安蘭けいなので驚いている人もいるらしいですが、この年は各組の2番手が総特出で、本来の2番手である水夏希は花組に出演中。一時、宙組に特出が続いた安蘭けいは宙でトップになるんじゃないか?なんて言われた事もあったんですが。安蘭と花總は同期ですからさぞや楽しかったんじゃないですか?
カルロッタといえば出雲綾と言う程の当たり役になりましたが、意地悪な役がこんなに似合うなんて。しかも歌えるし。でも宙組ではまだセーブしていた部分があったのかな。夫役の鈴鹿照がかなり上級生ですからね。
DVDのここに注目
和央ようかのあまりに自然な髪型
花總まりの袖に豪華な刺繍が入っているドレスとフィナーレの真っピンクドレス。さすがにあのピンクはやりすぎじゃないか?と思いました。
遼河はるひと悠未ひろの背が高いコンビ
探せばいる十輝いりす
チビエリックの和音美桜のかわいらしさ
地下でクリスティーヌに詩のことを朗々と嬉しそうに語るエリック
銀橋でエリックVSキャリエールの時のエリックの子犬のような表情
つまりこの宙組版というのは和央ようかに泣かされる作品ですね。