1回五列目の一番端っこといういいのか悪いのかわからない場所で観劇。
「霧深きエルベのほとり」は相変わらずみんなを泣かせています。
何度も「あばよ」ってセリフが出てくるけどその度に柳沢慎吾の「あばよ」が聞こえてちょっと笑いたくなるんですよね。
ちょこっとマルギットの気持ちになってみる。
マルギットは実の母が実は駆け落ちしてしまったとは知らず、父親によって家を追い出されたと思っていたから反抗して家出をしてしまった。でも事実を知ると自分が考え違いをしていたことをしる。でもカールを愛しているのは事実。だけど反対勢力がいない今、この恋愛に意味はあるの?とフロリアンは言うわけです。(どこかの眞子さまと同じパターン)
でもフロリアンに「カールを弄ぶようになる女にならないで」と言われて憤慨する。フロリアンは大人だからカールの人柄もどんな育ちをして来たかもおおよそわかる。でもマルギットは自分の感情しかなくて「愛してるったら愛してるもん!」と言い張り、案の定、カールが金を受け取ると「自分自身を信じられない」とまた怒るのです。
はるか昔、そんな経験をしたことがあるような気がします。自分の子供っぽさを後年恨んだり、恥ずかしくなったり。でも忘れるのも早いのよね。
「喜びなさい。コムロはお間と別れることを承知したよ。金をやったのだ。その金が思ったより多額だったのでコムロは喜んでいるよ」なんて言ってやりたいよ。
紅ゆずる・・・思わぬ大収穫。なんせ「ベルリン、わが愛」では一本調子で笑ってばかりいたから。でもこの作品でもへらへらしているように見えるけど、心の中はどこまでも純粋な男というのはよくわかりました。「俺ぁ」「惚れてんだ」「あばよ」など古い言葉が非常によく似合う人で、植田作品でもいけたんじゃないか?と。
とにもかくにもこの作品が古さを通り越して21世紀に感動を改めて呼び起こしたのは演出家と紅ゆずるのおかげだったと思います。
技術的には様々な欠点を持ちながらも勢いで何とかしてしまう手腕があるのはすごい。セリフをとちってもそのままだだだーーっとやっちゃうからね。
綺咲愛里・・・こんなにマルギットが似合う娘役もそうそういないんじゃ。一歩間違えたらひどいカマトトになってしまうのを、これまた可愛い声で乗り切りました。「私はただの家出娘です」「あなたってうぬぼれが強いのね」なんてセリフを自然に言える人、今時そうそういませんよね。愛らしくてお嬢ちゃんで本当に浅はかな娘を見事に演じたのでカールが引き立ちましたし、なで泣くほどカールが彼女を愛したのかもわかります。貴重な娘役です。
礼真琴・・・フロリアンはいい役です・・っていうか欠点がないんです。社交界には彼の味方ばかりだし、言うことが一々ごもっとも。つまりストーリーテラーというか、マルギットとカールの気持ちを説明する役なんですよね。そして観客がいいたいことを言ってくれている役ですから、ある意味普通になってしまうと男役として光りません。礼真琴はそつなくこなしたなと思います。歌唱力もありますし。
七海ひろき・・・さよなら公演なのにトビアスという役はひどいなあ。ほんの少ししか出てこないし。見せ場は石を投げる所?妙に笑いをとっていましたけど。でいきなりカールの妹と結婚して去っていく。カールとの絡みなど最後までほとんどないし。でも水夫の割には一人でインテリなんだよね。あまり紅と絡ませると芝居がダメになってしまう可能性があったのかなと。
瀬央ゆりあ・麻央侑希・天華えま・紫藤りゅう・・・水夫仲間はそれぞれ性格が如実に出ていて個性的でした。借金返せと嘆く紫藤りゅうがか可愛かったり、魚が釣れてびっくりした麻央侑希、うらやましいと言っていた瀬尾ゆりあ、声が魅力的な天華えまです。
有沙瞳&音波みのり・・・有沙瞳のシュザンヌは耐える役どころでなかなかやりづらい部分があたんじゃないでしょうか。一方で音波のアンゼリカは少ししか出ないけどお金持ちの夫人になってました。
姫ちゃんいわく「アンゼリカは身分違いの結婚でもうまくいったのにどうしてカールはダメなの?」っていうので、「女性が低い方は問題ないんです。男っていうのは自分が下にされると嫌がるものだから」と言っときました。考えてみれば結構な男尊女卑よね。
水乃ゆり・・・カールの妹を演じました。田舎娘がよく似合ってますけどとっても可愛らしくて新人公演の主役もわかるなと思いました。
天飛華音・・・酒場に泥棒に入って、やがてトビアスの代わりに船に乗る少年でした。
一樹千尋&英真なおき・・・どっちも星組組長経験者ということで馴染むのが早い早い。専科じゃないみたいですよ。パパ一樹もダンディで優しくて好きです。まら英真なおきのヴェロニカはラストが秀逸でした。
私・・・個人的にはローゼマリーさんになりたいわ
ESTRELLAS
この作品のダメなところは前回、散々書きましたけど5列目から見るとまたあらためて「うーん」って思うんですよね。
みんな登場して歌って踊って暗転で去る・・この繰り返しは飽きちゃいます。岡田ロマンチックレビューじゃないんだから。つなぎの礼真琴と瀬央ゆりあに意味あるのかな。どっちもバラードっぽいし。
また2度の娘役ダンスもそこに意味があったのか。
もっと可哀想だったのが七海ひろきで、このシーン、若央りさの振付なんですよね。
だから全体的にばらばらで統一感がなく、さよなら色もなく。いたずらに下級生を後ろに並べて歌わせてみましたーーな場面になってしまいました。もう少しストーリー性のある振付だったらもっと違っていたと思います。J-POPを歌って踊るだけなんて悲しすぎますよね。
それにトップとの絡みがほとんどなく、中詰めでさえ他人事みたいな顔している七海が気の毒で。最後なんだからもっと前に押し出してあげたらいいのに。
礼真琴と若手がやってたK-POPのシーンは振付がかっきょく、目が釘付けになってしまいました。下級生に至るまでキザる。
客席下りも2度ありましたが、その度に私達の方にくる下級生の笑顔が綺麗でかっこよくてキザっていて。そういうチームに持って行けてる紅はすごいと思います。
出演者が楽しまないショーは観客も楽しめませんものね。
私のそばにきてくれた朝水りょうの横顔が綺麗だったーーー
そしてデュエットダンスですけど。
銀橋で、綺咲愛里が大階段の上に立つと紅が「はっ」と気づくんです。その息遣いがこちらにも伝わってきてそのあまりにも嬉しそうな顔にこっちが泣けてくるみたいな。リフトがなくても特別な技術がなくても、二人が背中合わせになってぎゅっと手を握った時、きっとカールとマルギットと誰もがそう思ったでしょうね。
そして銀橋に出て、手をつないだ時の紅の幸せそうな笑顔にまたちょっと泣けてしまいました。
思えば去年の秋からずっと泣きっぱなしです。宝塚の舞台を見て。
そして私は姫ちゃんがファンの天寿光希と姫ちゃんが教えてくれる極美慎を追いかけるので大変で大変で・・・はしっこはなかなか見えないので。
姫ちゃんは天寿のパン!と手をうつところがたまらなくかっこいいといい、礼真琴の階段降りの時に真横に天寿がいるのもすっごく嬉しいんですって。
そして私は素顔は可愛いのに、化粧して服を着た瞬間に別人になり、ちょっと危険な香りがする極美慎の目が好きです。リフトも上手だし、声は伸びるし。
ありちゃん、早く大人におなり。柚希礼音タイプなのかダンスが上手ということと男役のダンスは違うという部分が今一つなんです。それに顔が可愛いから天真爛漫な役は似合うけど影がない。あと少しなんだけどね。あれ・・星組の話でしたね。