大劇場芝居
1位・・・凱旋門(13)柴田 侑宏脚本・謝珠栄演出
主演 轟悠
(H29)柴田 侑宏脚本・謝珠栄演出
主演 轟悠
まず初演に関してはラストのラヴィックが戦争を生き抜くというシーンが不要であるとの意見が多かったですし、フィナーレへの批判もありました。しかし、個人的にはあれはあれで希望を持たせたという意味でよかったと思います。また白い鳩を想像させるフィナーレはとても綺麗でした。
再演の方は時間の関係上、ばっさりとラストを切ってラヴィックはあのまま収容所で死ぬんだなと思わせるものでした。初演は轟悠の声がちゃんと聞こえていましたが、再演は声が出ず。けれどジョアンに溺れて行く様は再演の方が勝っていたと思います。
硬くて暗くてあまり好かれない作品ではありますが、脚本としてきちんと出来上がっていると思いました。
2位・・・仮面のロマネスク(H9)ラクロ原作 柴田 侑宏作・演出
主演 高嶺ふぶき
多くの方が1位に選んだ「仮面のロマネスク」ですが、初演当時はわりと批判されました。ラクロの「危険な関係」の世界観があまりにも綺麗に描かれすぎているのではないかと。まあ、宝塚だから仕方ないんですが。
それでも皆さんに愛されるのは高嶺ふぶきと花總まりのコンビ力によるものではないでしょうか。二人とも清純派が似合わないというか、こういうドロドロした役がぴったりで、ゆえに星奈優里の美しさや清潔さが際立ちました。
3位・・・ソルフェリーノの夜明け(H22) 植田紳爾作・演出
主演 水夏希
え?何でこの作品が?と思われる人も多いと思います。盆もセリも使用しない、セリフが古臭い作品という位置づけですから。
しかし、これぞ「ザ・脚本」なんですよね。盆がなくてもセリがなくても、物語性で山場にきちんと持って行ける。しかもメッセージ性もちゃんと入っていますし、対立の構図もしっかりしています。ラストの水夏希と未来優希の掛け合いは非常に考えさせられます。またさよならの彩吹真央への思いやりも嬉しかったです。こういう舞台を書けるようになると、きっとプロなんだろうなと思います。
4位・・・ひかりふる路(H29) 生田大和作・演出
主演 望海風斗
これは脚本がどうのという前に、音楽と役者に救われた舞台でした。ミュージカルのもっとも重要な部分は音楽ではありますが、それが座付き作家ではなく専門家にお願いするというのがちょっとルール違反じゃないか?とも思うんですけどね。
まあ、あの難しいロベスピエールの話をよく1時間半にまとめたなと。
5位・・・ロシアン・ブルー(H21) 大野拓史作・演出
主演 水夏希
これも好き嫌いがわかれる作品です。この脚本の素晴らしいところは、あからさまではないメッセージ性っていうか、「ロシアン・ブルー」という希少種の猫を通して、マイノリティへの共感を言っているというか、谷先生のようにあからさまに迫害されている民族を描く方法もありますけど、この作品は迫害及び、考え方の違う民族という意味もあるのです。
これを面白おかしく、だけどシリアスに描いたという意味で大野先生の代表作の一つだと思います。
春麗の淡き光に(H15)植田紳爾作・演出 主演 朝海ひかる
朝海ひかるのお披露目でチョンパで幕開け。けれど当のトップスターは日本物が苦手ということで、当時は何だかなと思いました。
けれど、役者が「このセリフをしゃべりたいな」と思うものが随所にあり、これって名作なんじゃないか?と思っています。
大劇場ショー
1位・・・タランテラ(H17) 荻田浩一作・演出
主演 朝海ひかる
荻田浩一最高傑作にして再演不能のショーです。だって朝海ひかると舞風りらコンビに匹敵するダンス力をもつ人なんていませんものね。
選曲・振付、全てがバランスがとれてオリジナル性に溢れていました。銀橋からトップが組子の踊っている姿を見る・・・というのはここから始まったんですよね。
2位・・・ソロモンの指輪(H20) 荻田浩一作・演出
主演 水夏希
これまた荻田浩一の傑作の一つです。たった30分間のショーですが、その中に神話がちりばめられており、ミステリアスで悲しく、ラストは美しくまとめ上げられ、まるで夢の世界に浸っているかのようでした。川崎悦子氏の群舞が素晴らしかった。
3位・・・パッサージュ(H13) 荻田浩一作・演出
主演 轟悠
荻田浩一大劇場デビュー作品。パッサージュとはパリにある天井のようなもの。
そこで繰り広げられるドラマ。ガラスの記憶では朝海ひかると紺野まひるのダンスが引き立ちました。
4位・・・RIO DE BRAVO(H21)稲葉太地作・演出
主演 水夏希
会場参加型のショーでした。ブラジルを舞台にお祭り騒ぎのショーで曲もまとまっていたし、振付も非常に面白かったです。
5位・・・レ・コラージュ(H15)三木章雄作・演出
主演 朝海ひかる
様々な色を切り貼りした「コラージュ」作品。三木先生の代表作の一つに挙げられると思いますが。タイタニックのシーン、回転木馬のシーン、真珠のダンスのシーン、ねずみのクリスマスのシーン、どれをとっても楽しく素晴らしく何度見ても飽きません。
小劇場作品
1位・・・凍てついた明日(H10) 荻田浩一作・演出 主演 香寿たつき
本当に暗くて結末が見えている作品ではありますが、好き嫌いは別として名作に入るのではないかと思います。
2位・・・シルバーローズ・クロニクル(H19)小柳奈穂子脚本・演出 主演 彩吹真央
最初に見た時は、まあまあな感じでしたが後から考えて、こんなにも楽曲がよかったとは思いませんでした。見る度に深みが増す作品で、衣装や髪型に難あれど、大月さゆは彩吹真央にとってよい相手役だったのだと思いますし、この作品での凰稀かなめの美しさは格別です。
3位・・・琥珀色の雨にぬれて(H29)柴田 侑宏作・正塚晴彦演出
何度も再演を重ねているこの作品ですが、もっとも主人公に共感できるものでした。
4位・・・カラマーゾフの兄弟(H20) 斎藤吉正脚本・演出
主演 水夏希
ドストエフスキーのあのめちゃくちゃ難しい話を宝塚でなんてぞぞっとしましたし、本気?って(笑)斎藤吉正はわりとよくまとめたと思います。娘役陣はそれぞれ役に合ってなかったけれど、ミーチャ・イワン・アリョーシャの関係は理想的で、最後の裁判のシーンは恐ろしく盛り上がりました。
5位・・・春ふたたび(H15)植田紳爾作・演出 主演 壮一帆
この年はバウ作品で練習をしなさいということで、若手が様々な小品を演じましたが、中でも壮一帆の「春ふたたび」は逸品であると思います。美しく気高くお育ちになった公家。彼が母を探してかの地に現れ、そのやりとりに次第に涙が・・・1場芝居でここまで見せるとは素晴らしいです。