昨日はほぼ1ヶ月ぶりの観劇で、とても楽しかったです。でも腱鞘炎・・・というか
肩から手にかけて痛んでしまって、観劇中も腕をさすってしまいました。
諦めてた月組「ロミオとジュリエット」を見る事が出来てよかったー
ロミオとジュリエット
トップお披露目なのにトップが主役じゃない大劇場公演
今回の私のように一度きりの観劇がたまたま明日海りおだった場合、
上記のような事になるわけで。
劇場に入る前、ちょっとその事を考えて「ある意味貴重」と思いましたが
フィナーレに入る前までの段階で「これってやっぱり変だよ」と思いました。
トップお披露目なのにトップが主役じゃない公演、しかもトップさんは
2幕目の初めで消えちゃうの・・・・フィナーレのデュエットダンスも
「ティボルトとジュリエットのダンスって変じゃない?」
知らない人がみたら、「何で?」と思うか、あるいは龍を明日海と思うかも。
リピーターで両方見る人には「慣れちゃった」ですむかもしれないけど。
トップ至上主義という宝塚のシステム
ベテランファンの方との会話
私 「榛名由梨さんが月から花に来た時って・・・今考えるとすごく異例ですね」
ファン 「複雑な思いはあったけど、あれはベルばらの為だったし。でもやっぱり
安奈ファンとしては心配だった。榛名さんの方が上級生だし」
小学5年生だった私がテレビで「ベルばら」を見た時、主役はオスカル
だと思っていたし、フィナーレで二人降りしてくるのも普通に受け入れていた
ものですが、当時のファンはそれなりにハラハラしていたんですよね。
だって榛名さんは月組でベルばらのオスカルを演じていた後だったから。
けれど・・・大昔の宝塚を紐解いた時、こういう人事はいくらでもあるんですね
そもそも「トップスター」というシステム自体が曖昧で、作品のイメージによって
いくらでも変わりえる存在だったから
「当時は別にトップじゃなくてもちゃんと見せ場を作ってもらえたし」
という事で、納得していたんです。
「ベルばら」以降、トップスター至上主義、男役至上主義になって、
トップの権威がものすごく大きくなりました
お披露目やさよなら公演を大々的に行ってチケットを完売する、さらには
「トップ経験者」という肩書きがその人の後の女優人生まで左右する・・・・という
ような時代です。
昔は単純に「ダブルトップ」なんて呼称を使っていたのに、一時「主演男役」
になり、今はまた「トップスター」になっている。
トップスターは1人でなければいけない・・・そんな呪縛の中でどうしても
推したい二番手がいる。ゆえに「準トップスター」にして、あくまでも
「二番手」という形をとりつつ、2作品も主役の役替わりをさせる。
ごまかしなんだけど・・・階段降りだけは譲らないんだからいいじゃん?的な?
そこまでして拘る「トップスター」って何?
私達見る側はトップを頂点としたピラミッド型のシステムが好きで受け入れて
来たのに。
トップを支える人達の団結力を信じて、応援して来たのに・・・
日替わりで主役が交代、相手役が変わるめまぐるしい舞台に慣れなくちゃ
いけないのねと。
トップコンビのラブラブを期待してみている身としては釈然としないんですが。
宝塚システムに合わない「ロミオとジュリエット」
宝塚のよさは「スター」に優しい所だったと思うんですね。
お披露目にしてもさよならにしても、それにふさわしい、トップがもっとも輝く
役柄を与えられて、組全体がまとまって盛り上がってーーみたいな・・
植田伸爾作品は古いとかいうけど、最もスターをスターらしく輝かせる作品です。
ゆえに「ベルばら」だって「オスカルとアンドレ編」「フェルゼン編」他外伝と
その時のトップにあわせて作品が変わってきたのです
それが宝塚のシステムに合っていたから。
座長芝居、大衆芝居の王道「ちょっとやそっとストーリーや設定を変えてでも
見せ場を作る」というシステムです。
もし、これに「ロミオとジュリエット」を当てはめると、「ティボルト編」が出来るとか
ティボルトが最後まで死なないとか・・そういう変化を求められます。
また、昔「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンとジャベールの役替わりが
ありましたけど、これは二つの役が拮抗していたからこそ、どっちの役を演じても
面白みこそあれ「格下げ」にはならなかったんだと思います。
でも、「ロミオとジュリエット」の場合、主役はあくまで「ロミオ」です。
どんなに頑張ってもティボルトを主役には出来ません
(宝塚オリジナルなら出来るけど・・・あくまで海外ミュージカルだから)
フランス版をYOU TUBEで見た時、何となくティボルトが3番手に見えました。
ベンヴォーリオの方が上?(役者の上下関係のため?)
それをヅカ版にする時にティボルトをあそこまで格上げしたんだろうなあって。
でも主役を演じないトップの為に、ストーリーを変えてでも格上げするわけには
いかない作品です。
そういう融通性のない作品を選んでお披露目に持ってきて、尚且つトップスターを
敵役にして2幕目最初に死なせてしまう・・・全然優しくない。
歌劇団は「龍真咲ロミオ、明日海りおロミオ」両方見るという前提でやってる
んでしょうけど、そんな熱烈なファンじゃない方から見ると貴重な一回が
「トップが主役じゃない」という事が非常に大きな問題なんですよ。
前回の雪の時もそうだけど、一夜にして恋に落ちて一瞬で死を選ぶ程
非現実だけど夢の世界の物語の主役コンビの片方が、日替わりなんて。
そういうことすると、コンビが「お仕事」に徹して演じているってわかってしまって
のめりこめないのよ。
劇団四季とかーー帝劇のそういうシステムがいやで宝塚見てるのに
何で同じ事するんだよーーと。
やっぱり素直に「龍真咲&愛希れいかおめでとう!」って言ってあげたいのにね。