Quantcast
Channel: ふぶきの部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5842

エリザベート・ガラ・コンサート

$
0
0

宝塚における「エリザベート」は劣化の一途を辿りOGにより「エリザベート」は

進化し続けている・・・というのが今回の私の感想です

昨日の昼公演のメンバーは

 

トート・・・姿月あさと

エリザベート・・・花總まり

フランツ・ヨーゼフ・・・高嶺ふぶき

ルキーニ・・・湖月わたる

ルドルフ・・・涼紫央

ゾフィ・・・初風淳

エルマー・・・夢輝のあ

小ルドルフ・・・初嶺麿代

ヘレネ・・・大月さゆ

ヴィンディッシュ・・・南海まり

マックス侯爵・・・大峯麻友

でした。

 

久しぶりに「エリザベート」で感動して泣いた。

久しぶりに「エリザベートになりたい」って思った。

です。

 

 なぜ宝塚版は劣化しているのか

それは表面的にしか演じていないから・・・としか言いようがないですね。

歌だけのミュージカルだけど、それぞれの登場人物には個性があり、感情があり人生がある。

初演の時は歌の難しさだけが苦労の象徴として語られるけど、本当はそれぞれ役を

どう作っていくかに苦労したのではないかと思っています

あれほど拒否していたエリザベートが最後にトートの愛を受け入れるのはなぜか。

初演の時には持たなかった疑問が、宙組版あたりから段々大きくなっていきました。

本当は演じている人自身、なぜかわかっていないんじゃないかと

そういう矛盾したエリザベートとトートの感情を矛盾を感じさせずに演じていた

初演メンバーはすごいなと思うのです。

今の宝塚版はどれも歌をなぞる事で精一杯。役作りなんかやる余裕がないんでしょうね。

初演の雪組も星組も生え抜きが多く、いい意味でメンバーがツーといえばカーだった事が

成功した要因であったと思います。

 

 OG公演が進化したと思ったわけ

10周年ガラ、あの時私は麻路トート、月影エリザ、稔フランツ、絵麻緒ルドルフで

見たのですが、みんなそれぞれ初演の頃となんら変わらない容姿を披露してくれて

それだけで嬉しかったんですね

勿論、それぞれ結婚して子供を産んだりして人生に色々な変化があり、そういう意味での

「深み」は増していたと思うんです。でも、やっぱり「あのころと同じ」ものを再現してくれた

だけでよかった。

それが今回は花總まり、高嶺ふぶきら初演メンバーを迎えてのガラで、「あのころ」とは全く違う

解釈の「エリザベート」を見せて貰ったという感じです。

一番の要因は花總まりでしょう。

とにかく「エリザベート」は花總のもの・・・と再確認した次第です。

初演時・・・・花總エリザは「孤独」の人でした。自分の殻の中に閉じこもって夢をおいかける。

意固地で頑固で融通のきかない女の子。朝、ゾフィに注意されてフランツが味方になってくれないと

すぐに「全面拒否」スタイル。子供の教育を任せて欲しいと言い合うシーンもフランツなんか

切り捨てている感じ。無論、トートにすら自分を曲げないかたくなさを持っていました。

ゆえに鏡の間のドレス姿は神々しい程に美しかったのです。

高嶺フランツがそれを非常におおらかに受け止めたからこそ成り立った芝居でした

2幕目の病院訪問なんて「あなたの方が自由」と歌いながら「私の事なんてわかりっこないわ」と

思っていたし、ルドルフを突き放すシーンなど、あまりの冷たさにぞぞっとした感じ。

それがいい意味で「狂気をはらんだ皇后」になっていたんですよね。

そんな鉄壁の冷たいツンツン皇后を愛する一路トートがわりと人間的な・・・戸惑いといら立ちに

満ちていたという印象。皇后を愛したというより「征服」した・・・というような?

で、今回の場合はどうかというと。

花總エリザは「わかりあえない人間社会の中でもがいてもがいて疲れ切ったあげくに

トートになびいた皇后」だったと言えます。

いつもどこかで「まだ生きる希望がある」「皇帝は私を選んでくれる」と思っていて、ゆえに

トートの誘いを断るのですが、ラストは「もう疲れちゃった・・・」的な。

だから、ラストトートに呼ばれて振り返ったエリザベートのほっとした表情、頑張って頑張って

本当に疲れ切った顔を見て私は号泣してしまったのです。

退団する時ですら上から目線の花總まりが、これほどまでに人間的成長を遂げるとは・・・・・

本当に苦労したんだねーーお花ちゃん。

そして姿月あさとも

初演時は「孤独なトート君」だったのが10周年ガラでは圧倒的な歌唱力を発揮して

演技力を補い、そして今回は完璧に「死神」と化していました

初めて姿月に「包容力」を感じました。

人間的に成長した主役二人の血の通った演技が「エリザベート」に新しい解釈を与えたのだと

思います。

 

 出演者について

姿月あさと・・・・ちょっと太った?のを隠す為に頬にシャドウを入れてましたが、とにかくぞっと

        するほど怖いトーと閣下で。歌唱力は圧倒的。スタンディングが起きそうな雰囲気でした。

        姿月トートは演じる度に進化し続け、やがて本当の黄泉の帝王になるんだなあ。

花總まり・・・・そりゃあ年月が経っているから老けてます。でも

         昔より断然可愛らしくなってるし、人間らしい。相変わらず立ち居振る舞いは完璧。

         どこぞの静養妃に歩き方を教えてあげて欲しいと思う程。ドレスの着こなしも

        髪型もアクセサリーのセンスがいい。こういうのを当たり前に見ていたあの頃。

        贅沢だったのね。

        以前の研ぎ澄まされたナイフのような冷たさは消え、代わりに寂しさとか甘えたい気持ち

       などが加わって魅力的なエリザベートでした。「私が踊る時」は本来の花總のツンデレ本領

       発揮だなあと。

高嶺ふぶき・・・・昔と何も変わらない容姿、そして包容力たっぷりで皇帝としての威厳も増した・・・・

          まさに「原作から抜け出たような」フランツでした。

          エリザベートに一目ぼれしちゃうシーンなんか見てるこっちが照れちゃうし、フランツが

          笑いかけてくれるたびになぜか嬉しくてドキドキしてしまうのでした。

湖月わたる・・・ガラコンのムードメーカーになっているのかしら?彼女が出てくる度に舞台が明るく

         元気が出る。その分「暗殺者」の狂気には欠けたけど。

涼紫央・・・初めてのルドルフ。横顔が麻路さきっぽいなあとか・・いい意味で「星組」風演技だったと

      思います。花總エリザの息子は上級生とか同期だったのに、初めて下級生?

      そのせいなのか、花總がちゃんとお母様に見えたし。

      ブーツ・・相当高いヒールをはいていた?姿月と背丈が変らないのにびっくりしました。

夢輝のあ・・・オープニングからやたら表情としぐさが豊な男役がいると思ったらそれがねったんで。

       全然変わらない姿に嬉しかったです

       涼と並ぶと「ジョバンニと青年」になっちゃう。

       相変わらずのエンジェルボイスはコーラスの中でも目立っていて、この歌声が健在で

       あった事に感謝しました。

初風淳・・・・帝劇版初風ゾフィは一度しか見たことないのですが、もっとも年相応の役柄なので

       「いじわる姑度」が増してて初風さんが何か歌うたび、自分が叱られているみたいな

       感覚になったし、母として姑としての思いもよく理解できました。

 

他には大月さゆがヘレネ・・・ってどんだけーと思ったけど、あまりに可愛いので許しました。

南海まりのヴィンディッシュ嬢は説得力があって歌も上手。南海と大月の二人は

ビジュアル系女優として頑張って欲しいなあ

 

某静養妃を見ているせいか、公務しないで旅行ばかりしていたエリザベートに同情できなく

なってたんですね。年月が経てば経つほど女として母として妻として許せないーーみたいな

感情が生まれちゃって。そうなると舞台だって楽しめないでしょう。

主役に感情移入できないんだから。

でも、今回は自分を理解してくれない世の中でもがき続けるエリザベートに共感できたし、

彼女は彼女で頑張ってたんだなあーーと・・感じる事が出来てよかったです。

 

次回はシメさんトートです。生まれて初めて生紫苑ゆう様。楽しみです。

 

終焉後、お友達と一緒にヒカリエ内のレストランに入ってひとしきりおしゃべりして食べてたんですが

ふと、気づくと並びに初風淳様が

えーー 一体、いつの間に着替えていらしたの?30分くらいしか経ってないんじゃない?

驚きました

        


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5842

Trending Articles