姫ちゃんと行って来ました。
でも劇場が・・・怖いっ!
何がって、しつこい程「喋らないで」のアナウンス。開場したばかりの席に座って姫とこそこそ喋っていたら目の前で「おしゃべりはやめて頂いてます」って叱られて。
とにかく一言でも声を発したら制服のお姉さんが飛んでくる。
制服のお姉さんたちが多くなっているし、大日本婦人会のように怖い。
上演中は黙っているし咳もしないように努力してる。飲み物も我慢してるし・・・
五輪選手はマスク外して記者に喋っても「プレーブックに違反しない」って言われるのに何で劇場はこんなに怖いのか。
理由はわかるけどさ...限度ってのもあるよ。
桜嵐記
上田久美子 また名作を作る
とにかく舞台の作り方がうまい。
まず南北朝の説明から始まるが、これが非常にわかりやすく頭にすっと入って来る。
かといって説明セリフっぽくない。
満を持して珠城りょうが登場するシーンは桜のはなびらが降る中にスポットライトで登場。
その美しいことと言ったらない。
正行の弟達、鳳月杏と月城かなとの紹介すら流れがよい。
楠木正成や後醍醐天皇など過去の大人物を登場させつつも、主役はあくまでその子供達。
高師直兄弟のいやらしさや憎々しさ、後醍醐天皇の情念の恐ろしさ。
それぞれ過去を引きずる中で、結果としてそこに「死」が待っていることがわかっているのに「流れのため」としてまっすぐに戦いに向かっていく直線的な部分が非常に珠城りょうに似合っていたこと。
そして名シーンはラストでしょう。
最後に出陣式を持ってきて、天皇に歌を詠ませて「戻れよ」という言葉でもう号泣・・・華やかな武者たちが並ぶ中に珠城りょうが立ち悠々と去っていく。これぞもののふの道と思いました。
上田久美子と言えば「月雲の皇子」ですが、これに出演していた珠城りょうと鳳月杏が共に並ぶという、まさにあの時を思い出すわ~~という人も多かったのではないでしょうか。
個人的に上田久美子と最も相性がよかったのは朝夏まなとだと思っています。
西洋物という意味では朝夏まなとの他にはいなかったでしょう。
けれど、上田久美子の名を不動のものにし、予定なかった東上を実現する程ヒットしたのは、日本物が似合う珠城りょうと鳳月杏のおかげであると思っています。
珠城りょうに関しては「BADDY」において、本人とは真逆な役柄を与えていたりもするし、非常に月組全体の雰囲気や生徒の得意技を知っているのが上田久美子といえましょう。
本当に上田久美子は舞台の使い方をよく知っているし、上手だなあといつも感心します。
他の演出家も大いに学ぶべきですね。
衣装が美しい
珠城りょうと月城かなと、そして鳳月杏が着ている衣装のなんと立派で美しいことでしょう。片袖に広がる大きな羽の模様が主役を引き立て、立派な武者にしています。
勿論足利家の方の衣装も本当に美しく、あの時代をよくよく感じさせるものでした。
私がお気に入りなのは、最後に弁の内侍と踊る時の淡いブルーの衣装ですね。軽くて清楚で優雅です。
全体的に珠城りょうのさよなら公演にふさわしい、素直に泣ける作品でよかったですね。
愚直なまでの楠正行の性格と潔さが際立った舞台でした。
そして楠兄弟の中で生き残った正儀が実は語り部であった事を知った時、よけいに観客は涙し、ラストの出陣式でさらに涙を煽られるのです。
我が家の姫は鳳月杏と海乃美月のラブラブっぷりがあまりに微笑ましく「本当にお似合いの二人だわ」と満足していました。
DREAM CHASER
中村暁に言いたい。
本当にワンパターンすぎるのは止めて欲しい。今回は色味といいレーザー光線の使い方と言い、「エストレージャス」と何が違うのか?と思った程です。
しかもさよなら公演なのに泣かせる場面が一つもない。
しょっぱなプロローグの衣装はいいとして、珠城りょうに真っ赤を着せる愚。
あとは総踊りではけて次の場面という繰り返し。芸がないのでは?
第2章「情熱」での美園さくら・暁千星・鳳月杏のいわゆる「けんかをやめて」場面のチープな事といったら。
宝塚ではこういうストーリーは定番です。
でも定番だからこそ時代設定や振付などに個性を出して行かなければならないのに、美園は最初から暁を嫌っているしその背景がわからないし、横から来た鳳月杏とは最初からラブラブで、挙句に暁はさっさと諦めて去っていく・・・こんな「普通」は面白くないのです。
次の「ミロンガ」はせっかくヤンさんの振付だというのに、中途半端なシーンで終わった印象。帽子使いが珠城りょうに似合うかどうかって考えたかな?
4章「I 'll be back」いわゆるK-POP風のダンスと歌が売りなんですけど、ここは優等生の月城かなとを中心に下級生とは言えない学年まで優等生に唄って踊っている。
どうしても星組の「エストレージャス」と比較してしまう部分があり、どうしてみんな自己アピールしないのかと不思議に思ってしまう。
こういうシーンは顔で踊ってなんぼなんだけど。
6章の「生命の賛歌」に至っては何が何だか・・・珠城りょうをうろうろさせた挙句、いつの間にか和解して総踊り。下級生らとハグしたりするシーンがあったとしてもこれは手抜きじゃないの?
さらにフィナーレはなんとデュエットダンスの後に、4人口が出てきてそれぞれお別れ、さらに珠城りょうが最後まで残って踊る。私には付けたしにしか見えず。
色々不満があるショーでしたけど、フィナーレのデュエットダンスの衣装は素敵でした。
出演者について
珠城りょう・・・本当に長い間ご苦労様でした。今回の楠正行は彼女の魅力を存分に表した役柄でよかったですね。複雑な陰謀を巡らすわけでもなく、ただリーダーとして優れ、正直で裏切らない。そんないいとこどりが似合う人です。最後まで品格に溢れていました。
私が好きなシーンは弁の内侍に背中に寄り添われて「無為なことです」と目を伏せている横顔ですね。勿論、出陣式での横顔も素晴らしかったですが。
こんなに日本物が合うならもっとやってくれてよかったのになあ。
美園さくら・・・弁の内侍。ショーにおいては軽やかに踊り、歌える事も強調。芝居においては公家の娘だからか全体的に弱弱しすぎて。この作品はあまり女性が活躍する物語ではないし、楠正行と弁の内侍の縁談もほぼ幻であったわけで、しょうがないかなと。
月城かなと・・・やんちゃで合理的で明るい性格の弟をよく演じていたと思います。ただ今後、どういう路線でいくのかは不明。明るいか暗いかしか出来ないというのもちょっと難しいのですよ。作る方は。確かに月城は美しいし海乃美月との並びはまさに理想的なカップル。とはいえ、「ダル・レーク」のようなちょっとねじ曲がったような役は似合わないし、いつまでも陽ではいられない。この人もひたすら生真面目にまい進する方向で行くのでしょうか?
鳳月杏・・・楠3兄弟の中では唯一妻を持っている役で、そのラブラブっぷりが愛しかったです。芝居の終盤へ行くほどに「月雲」を思い出させる演出に泣く人も多かったのでは。
個人的には、最後「百合」と言って死んでいくシーンが最高でした。
ショーでは存在感の大きさと安定感を存分に発揮していました。
海乃美月・・・この人はどこにいても目立って美しい。まさに海から来た人魚のごとく。
百合という役はピッタリで、しかも実家に戻った時に自害していた・・・まさにイメージにぴったりでした。
暁千星・・・強気の人達ばかりの中で唯一「優しく気が弱い」天皇を演じた暁。上田久美子は暁に「京ことば」を喋らせたかったんだろうか。「武蔵」の時のさらりとした京ことばがあまりに好評だったから。
私はまず「朕は神を祀りこの国と民の安寧を祈ることを自らの役目としたい。それが古よりの天子の役目」というセリフに泣きました(泣)
非常に優しい、だけど父親の亡霊とか北畠親房などに翻弄されて本音を言えずに終わる。こんな儚くて優しい帝を演じられるのは暁千星しかいないかなと思います。
(実際の後村上天皇はもうちょっと攻撃的だったらしいですが)
ラストの歌が流れた時にまた泣けちゃって・・・(たまきちファンごめんなさい)「戻れよ」にまた泣いてという感じでした。
風間柚乃・・・見れば見る程北翔海莉を彷彿とさせる姿だなあと。足利尊氏のような位取りが必要な役もしっかり演じ切って素晴らしい。ショーに置いてもますます重みを増してきたような気がします。
他には高師直の紫門ゆりやが素晴らしく、あの優しい顔からは想像できない悪役を演じてくれました。その弟の蓮つかさの滑舌が素晴らしくてず~~~と蓮のセリフを聞いていたかった。
ジンベエの千海華蘭、後醍醐天皇の一樹千尋、それぞれ名演技が光りました。
スカステでちらりと見た時は暁の出番が少なく期待できないよな~~と思っていたのに、実際に見たら何というか・・・ファンやっててよかった状態。我が家の姫は「ありちゃんで業平みたい」と言ってました。「花の業平」いいよね~~「あかねさす~~」もいいよね~~
マッチョなパブロがこんなにはんなりとした帝におなりあそばすなんてねえ。
ショーでも私が美園さくらだったら・・・いやいや。ははは。