DREAM LADIES
脚本・演出が稚拙すぎっ
「真琴つばさ初プロデュース作品」という事だったので、幕開きから漂う素人感も仕方ないのかなと
思ってみてたのですが、なんと脚本・構成・演出は中村暁
真琴さんはあくまで「原案」なのね。
最初の「DREAM LADIES」解散コンサートの映像はまあいいとして、それから5年後でしたっけ?
4人がそれぞれ職業を持っていて活躍している設定。4人が4人とも成功してて満足してて?
どこにも葛藤がない。
たまたま元マネージャーの結婚披露パーティで歌ったらそれがネットで評判になって
「一夜限りの復活コンサートを」とお願いされ、一人ひとりが考え込み、やっぱりやめようかなーーと
思っている所に、「ドラマチック・レディース」なるライバル登場。
脚本講座的にいうと、いわゆる「対立」の構図を掲げて、展開を促すというベタな作り。
復活が決まったらそれが実は「嘘」だとわかり・・・・とにもかくにも頑張ろうねーーで終わった1幕目。
どうして素人感が漂っているかというと、まずセリフ回し。
ツレちゃんが「宝塚と一般の舞台のセリフ回し、イントネーションは違うのっ」と厳しくおっしゃっていたけど
あれは本当だったのねーー真琴つばさと湖月わたると大和悠河のしゃべり方が妙に宝塚チックで
学芸会のような会話に感じるのです。そこに貴城けいや風花舞、星奈優里がまっとうにしゃべるので
よけいに3人だけが学芸会に見えてしまう
さらに、4人の会話の間合いだとか、それぞれのシーンの進行の仕方や間合いなどが全然合ってなくて
へんてこなコントか素人芝居を見ているような印象。
湖月 → 振付師で生徒達に持ち上げられるシーンが、背筋が寒くなる程わざとらしくて・・・
貴城 → 「アメリカン・パイ」の歌詞を思いつくのはまあいいとして、真琴と電話のシーンは素人っぽい
大和 → 「薔薇に降る雨」のアフレコ?それを持ち上げる回りとの会話がこれまた学芸会っぽくて。
一人で二役やっちゃう所は笑えたけど。
真琴 → 星奈が一生懸命フォローはしても、何となく一番学芸会調の芝居になっておりました。
ミュージカル制作に意欲的だったのはわかるけど、ぽしゃった理由が主役のアレックスが行方不明って
後出しすぎるっ と、思ったら当初はそんな設定がなかったって?真琴の現役写真を追加する為の
挿入? ゆえにあっさり「本人が戻ってきて反省してるわ」で終わったんですか?
風花舞の演技が光りましたし、星奈優里の可愛らしさは相変わらずで・・・何だかこの二人に大いに救われた
印象です。
2幕目のショーは面白かったけど、選曲に若干不満が
「ジャズマニア」使いすぎ?とかーー色々。まあ、貴城けいのシーンに夢輝がコーラスを入れるとか
真琴&風花の「情熱の翼」とかありがたいシーンは一杯ありましたからよしとするけど。
でも、いくら「ファンしかみない」公演でも、脚本・構成・演出くらいちゃんとやろうよ!中村先生!
あなた、ベテランの筈でしょ?こんな「昨日脚本を書き始めました」みたいな事やっていいと思う?
それでもファンは温かい目で見てくれて、出演者の頑張りに大喝采してくれたけど、そういう事に
甘えてはいけないと思います。
なぜにこの4人?
ツレちゃんがトップオブザトップでOG公演をやる場合、何となく星組メンバーが多いし
「ツレちゃんお気に入り」メンバーで固めて息がぴったり合ってるといいうような印象を受けます。
ゴッドマザー的なツレちゃんに、いじられ役の麻路さき、元コンビの星奈優里・・その他メンバーは
ほぼ星組系で落ち着いているんですが、今回の4人はどうにもバラバラ。
真琴つばさに鳳蘭の役はまだ早いし、フォローする3人がそれぞれ自分の事で精一杯感が漂ってる。
考えてみると、大和悠河以外真琴との接点はほとんどない人達ばかり。
これがいっそ、真琴・初風・霧矢・大和だったらかなり落ち着いたし、全知全能の霧矢のフォローで完成度が
高い舞台になったんじゃないかと。(初風緑さん出てはいたけど絡まないし・・・・残念っ)
悪いけど湖月・大和・貴城では貴城が一番歌と演技が安定している以外は欠点が目立ちすぎる。
真琴つばさ自体が技能的に得意技がない人ですから、横には霧矢タイプをつけるべきだと思いました。
2幕目のショーにちょちょっと稔幸が出て来た時の安心感ったらありませんでした。
これぞトップスター!という感じで出てくるし、一緒に出なくても真琴のフォローになってた。さすがに同期。
喋らせれば二人であまりにも面白いし。
衣装がひどすぎっ
今回、衣装を担当したのがKO−SUKEとかいう人と及川千春という人。
宝塚の人じゃないのは確かですけど、あまりにも衣装の選択がひどすぎ。
特に1幕における全員の衣装が似合ってませんでした。デザインもそうだけど色も合ってないし
みんなおかしかった。
まあ、そもそもDREAM LADIESというグループが「男装した女性シンガー」という設定だったから、
どっちつかずの衣装になったのかとも思いますが、見る側は「宝塚OG」という設定でみているわけですから
へんにオカマっぽい服装などはやめて頂きたかった。
出演者について
真琴つばさ・・・何をやっても「真琴つばさ」は健在。それがいいかわるいか。マミファンはいいんだろうなあ。
セリフ回しは妙に大仰で、退団したてみたいだったし、歌の時にどんどん音程が外れていくのが
気になりました。現役の時はあそこまで音程が外れるという事はなかったのになあ。
湖月わたる・・・あの背の高さで男装して女言葉でしゃべるとオネエみたいで・・・途中からちょっと笑いをこらえる結果に。
声を高くしているわたる君に慣れるのが大変。
とはいえ、ダンスシーンでは見せてくれたし面白かったです。
貴城けい・・・舞台経験が豊富でテレビにも出て・・・という感じで一番安定してみていられました。美しさは健在。
相変わらず王子様なんだなあと。でも女性らしい品のよさもあるし。違和感なかったです。
大和悠河・・・グラマーなんですね(笑)胸を強調しすぎなんじゃないかと思うけど、「私は女優」をアピールしたかった?
現役の時より歌を安心して聞いていられる事に驚き。昔は声を低くするという事が無理だったのかしら?
できればもう少しふつうのお芝居をしてほしかった・・かも。
風花舞・・・TRホールの支配人でしたっけ?あのぱきぱきとした演技は拍手!!素晴らしかったです。
「CANCAN」のピスタッシュを思い出しました。彼女はこういうぱきぱきした役が似合うんですね。
またダンスのシーンでは、昔と変わらない素晴らしいダンスを見せて頂き、泣きそうになりました。
星奈のような「少女っぽさ」はないけど、姉御肌で男役をリードしつつたてるという貴重な技を持っている。
その昔「大地の踊り」と言われた足さばきも健在。
今の宝塚の娘役達の中でもダントツで美女に入るのでは?
星奈優里・・・何年たっても少女のようにふわふわして可愛らしく、それが男役の保護本能をそそらずにいられない。
しかも可愛らしくて、後ろの下級生たちよりずっと綺麗でした。
もちろん、「雲の上を歩くような」軽いダンスもすばらしく、くるくる回る彼女を見る事が出来ただけで幸せ。
ゲストのノルさんが出てきた時は、いまだにラブラブしてて「いいなー」とほっこり。
髪型とかドレスの着こなしとか、音楽学校なり稽古場なりで教えてあげて欲しいです。
初風緑・・・相変わらず歌が上手。この歌のうまさをもっと前面に出せば主役の4人が助かった筈なんですけど。
安定感がすばらしく、しっかり者で頼もしかったです。
夢輝のあ・・・こんなに楽しそうで嬉しそうなねったんを見るのは久しぶり。っていうか、退団して初めてなんじゃ?
黒髪があまり似合っているわけじゃないし、振りも表情も相変わらずワンパターンで大振り、しかも
ダンスの時は一人だけちょっと変わった動きをする。それでもそういうねったんが好きだった。
またあの頃みたいに幸せそうな笑顔を見る事が出来て本当にうれしい。少しやせたかな?
今後ももっともっと舞台に出て欲しい。
桜乃彩音・・・風花と星奈に挟まれてよく頑張った!の一言です。なんせ彩音ちゃん、ダンスはそんなに上手じゃないし
顔は大きいし?それでも今時のトップ娘役達に比べたら断然可愛い。
桐生園加・・・・まさに「ダンサー!」という感じで踊りまくってててかっこよかったです。
他にはやっぱり大月さゆが可愛らしくて南海まりが美しく。久しぶりの花影アリスににっこりして、はややに「おおっ」
で望月理世に可愛いーーでした。
ゲストのノルさん、芝居の時に靴が脱げちゃって、それを後々まで真琴さんに突っこまれておりました。
でも「真琴つbさがプロデュースしたというだけで素晴らしいです」と泣きそうになりながらお話する姿に
OGならでは温かさを感じました。
ふと、OG公演も世代交代なんだなあと思いました。いきなり71期がトップに来るってのもなんですが・・・・
でもこのままいくとこういうOG公演ですら人が入らなくなるし、親しみや懐かしさを感じなくなってしまうのでは
ないかと心配です。OG公演って何気に技術的な実力とかカリスマ性とか・・本来持っていたものが出てくる
ものだから、いわゆるごり押しとかいうのでトップになっても、その当時はよくても、OGになればメッキが
はがれてしまうもんなんだなあと。そういう事も踏まえてトップスターを輩出してほしいし
また、演出家もいい作品を世に出して代表作を作ってあげないと、将来、OG公演やる時に困るよ・・・と。