昨日の「無茶ぶり」でしたっけ?高橋大輔がボーリングのピンの間を縫っていくあれ。
途中で転んだり膝ついたり・・・で結構萌えーー でした。
「頑張れっ」って・・・思わず言ってしまい、姫にひかれました
ええええ・・どうせおばさんです。悪い?
モンテ・クリスト伯
日生劇場
ジャック・マーフィ&フランク・ワイルドホーン
演出・・山田和也
モンテ・クリスト・・・石丸幹二 (凰稀かなめ)
メルセデス・・・花總まり (実咲凜音)
モンアゴ・・・岡本健一 (朝夏まなと)
ヴィルホール・・・石川禅 (蓮水ゆうや)
ダングラール・・・坂元健児 (悠未ひろ)
モレル・・林アキラ (寿つかさ)
ジャコボ・・・岸祐二 (緒月遠麻)
女海賊ルイザ・・・彩吹真央 (七海ひろき)
アルベール・・大川勇 (愛月ひかる)
ファリア司祭・・・村井国夫 (寿つかさ)
箱が大きすぎ?
このミュージカルは最初、ブローウエイでワークショップとして発表され、そののちスイスで初演。
2008年の事。それから韓国へ行き、日本にやって来たというものです。
今回、東宝ミュージカルとして豪華な出演陣を構え、日生劇場で上演したのですが
ちょっと箱が大きすぎるような?
もしかしたらもう少し小さい劇場・・・・例えばクリエとか天王洲銀河劇場とか・・そっちがふさわしかった
んじゃないかなと思います。
それというのも、日生のような雰囲気のある劇場で上演するにはセットがちゃちで質素すぎました。
映像に頼りすぎて、あとは背景が真っ黒・・みたいな?
海賊船のシーンはそれなりのセットですが、あとは何をどうとってもちゃち。
セットがそんな風なのに衣装はゴージャスだったりするからちょっとちぐはぐでした。
脚本に難あり?
宝塚の場合、例えば海外ミュージカルでも「宝塚風」に演出する事を条件に上演権を取るんですよね。
「エリザベート」がいい例。
でもブロードウエイミュージカルは潤色を許さないんですよね。
「ロミオとジュリエット」なんてフランス版より宝塚版の方がずっと演出が素晴らしい。それは潤色を
てがけた小池修一郎の功績ですが、こっちは多分山田氏が手をいれられなかったんでしょうね。
だから、そのまんま上演・・・という形になったんだと思います。
で、率直に感じた事は「脚本に難あり」という事です。
1幕 → エドモンと友人3人の関係性が見えない
エドモンと司祭のシーンを長くやりすぎた
女海賊ルイザのシーンは不要
黄金を見つけた場面にルイザがいないのはおかしいのでは?
「モンテ・クリスト伯」を舞台化するにあたって、一番の壁は「島に幽閉されているエドモンの
時間をどう表現するか」という事です。
なんせエドモンからモンテ・クリスト伯に至るまでの時間がものすごく長いわけですから
この「長さ」をきちんと表現しないと、後のエドモンの復讐劇に理由がつかなくなる。
宝塚版においてもここは非常に苦労したシーンのようで、石田先生は最初に島に幽閉される
所から始まって、回想と現代の「お勉強」シーンを入れる事によって、長い時間軸を動かしたんですね。
しかし、こちらでは正面に幽閉されたエドオンを置き、脇に立つメルセデスの周りを動く
モンアゴで時間の流れを表現しました。
そこまではよかったんですが、その後、司祭が出てきたところからがとにかく長いっ
他の出演者は全員楽屋で何をやってたんだろう?という程に長いっ
だったら最初から2人芝居にでもすれば?と思ってしまったくらいです。
で、島を出て女海賊に拾われるわけですが、このルイザがよくわからない。
延々と歌って踊ってかっこいいけど、結果的にジャコボを引き合わせただけの人。
ルイザは女で、エドモンが男ならそこに「恋」が生まれても不思議はないのですが
そんな色気は一切なし。
可哀想にルイザは2幕目には「君の手を借りる必要はなくなった」とばっさり言われて
しょうがないから舞台の真ん中からさって行きました。
黄金の洞窟にルイザがいないのはやっぱり変だなあと思うし、「友達」なんかいらないと
いってたエドモンがなぜジャコボを友人にしたのか描かれないのでさっぱりわからない。
2幕 → メルセデスがエドモンと再会したシーンに二人の感情がない
海賊ルイザの必要性が消えた
3人を陥れる場面をばっさりやりすぎ
なぜアルベールを殺さなかったかわからない
メルセデスがお金にころんだように見える
エドモンは「モンテ・クリスト伯」として自分の夜会にみなを招待するのですが
誰もその正体に気づきません。
しかし、メルセデスだけは彼がエドモンだと知ります。その時に驚いただけってどうよ?と。
宝塚版ではエドモンはわざとメルセデスをダンスに誘い、恨み言を述べ、また昔あげた
ネックレスをみつけて動揺します。
そういう心の動きが全くない。エドモンがメルセデスを見てどう思い、何を感じたかが一切
描かれていないので。
それは悪役3人も同じで、1幕よりも出世したように見えないしモンアゴはなぜ酒浸りに
なったかもわからない。
酒浸りで借金を抱えているのにメルセデスの衣装は高級だし(ははは・・・)
私としては、宝塚版のようにエドモンとメルセデスのやりとりがあって、感動シーンが
待っているものと思っていたんですが・・・・え?いきなり「アルベールは私の命なの。殺さないで」
十何年ぶりかで再会した二人の最初のセリフがこれ?
違うでしょ・・・もっと違うセリフ、あるでしょ。
結果的に物別れになり、でも決闘ではアルベールは打ち損じ、エドモンはわざと外す。
なぜ?それはメルセデスの子供だからじゃないの?
そもそもローマで策を使って会ったときだって、本当は愛する女性に似ている部分を見つけて
感慨深くなる筈・・・だったんじゃないか?と。
長かったのはモンアゴとの決闘で・・・こんなの必要なかったんじゃないの?
メルセデスはずっとエドモンをまっていたけど、死んだと聞かされ、モンアゴと結婚したけど
それは不幸なもので、財産を失った事をきっかけに離婚する・・・まではわかる。
でも、そしてすぐにエドモンに「もう一度」というのはあまりにも早いわ。
モンアゴじゃないけど、「金があるからなんだろ!」と言われてもしょうがないわ
宝塚版では両者が空砲だったというオチがあり、メルセデスの「あの子はあなたの子よ」という
セリフが入り、非常に説得力がありました
メルセデスはモレル船長の娘という設定でしたっけ?会社の為にいやいや結婚した事も
わかるし、未婚の母になるわけにもいかなかった事もわかります。
でも、こっちは何だか釈然としないですね。
ラストも、エドモンとメルセデスは二人で舞台中央から去って行くのですが、それって悲しいの?
それとも今後は平安が待っているの?幸せなの?どれなのよーーという感じで
それぞれの登場人物に相関関係が見えないので、あっさりしてて感慨がない舞台でした。
音楽は「ただそばにいる」とか海賊船の歌とか、どれもいい曲で、CDが欲しいなと思う程。
でもそれ以外は再演の価値なしかも。
私には宝塚版の方がいい作品に見えました。
出演者について
石丸幹二・・・エドモン。主役としてはこんなに嬉しい役はありません。なんせほとんどでずっぱりで
歌う歌う・・これでもかという程声を張り上げて歌う役ですから。楽しいでしょう。
石丸じゃなくても歌が上手な人なら演じる事が出来た役だと思います。
この人、まだ四季が抜けてないなあ 何だか表面的で。
花總まり・・・メルセデス。女帝降臨でした。若い時の役はそこそこでしたけど、結婚してからは
完璧。何が完璧って演技も歌も立ち居振る舞いも。そこに立っているだけで気品が。
ちゃんと子持ちに見えたし、苦悩している姿は必見。
立ち居振る舞いと一言でいうけど、要するにドレスさばきがすばらしいという事。
椅子に何気なく座っている姿も「これぞ女王陛下」という感じで。
カーテンコールで石丸幹二と手をつないで退場していくのですが、まるでプリンセス・マリ
といった風情。手の振り方ですら本物。
正直、本当の皇太子妃と入れ替わってくれないかしら?と思いましたよ。とっても。
岡本健一・・・演技も歌もそこそこですが、そもそもがミュージカルスターじゃないので、
回りがあまりに歌が上手なので下手さが目立ちました。
石川禅・・・不気味な検事さんで。迫力ある歌唱力でした。
坂元健児・・・よくわからないけど四季風でした・・・って思ったら四季出身でした。
石丸・坂元 → 四季風 花總・彩吹 → 宝塚風 で対照的でしたね。
彩吹真央・・・女海賊ルイザ。ファンはきっとこういうゆみこちゃんを見たかったんだと思います。
マントつけて低い声で男言葉で。しかも音域も上から下まですさまじい。
こんなに存在感があるのに1幕だけ?しかも後半ちょろっと?
勿体なさすぎて 泣きそうでした。
大川勇・・・アルベール。昭和音大出の若手なんでしょう。これからかなあ。
村井国夫・・・司祭。1幕は独断場でございました。
アンサンブルの大月さゆはドレスの着こなしが素晴らしかったです。
アルベールの婚約者のジェイミー夏樹があまりに棒読みで歌が下手なくせにソロがあったので
「?」でした。
東宝様
花總まりは次は「レディ・ベス」が待っているのです。花總完全復帰・小池作品、支店長効果で
チケットは売り切れで素晴らしいとは思うんですが、もっとチケットうる方法はありますよ
それはね・・・・高嶺ふぶきと花總まりで「メリー・ウイドウ」を上演するのです。
OGばかり集めて 絶対に帝劇満杯です。受け合います。お願い
ついでに霧矢大夢と彩吹真央で「スカーレット・ピンパーネル」をぜひ