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ふぶきの脚本講座ーTHE LOST GLORY 3

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 唐突な場面

11場 (B) 

オットー ; こちらは

イヴァーノ ; ロナルド・マーティン。ディアナ・ミュージアムの館長候補に選ばれた男です。

ロナルド ; はじめまして

イヴァーノ ; 履歴書がここに

オットー ; 君たちは

ディアナ ; ええ。彼は、華麗教師として私に美術を教えてくれていたの。

ロナルド ; そして、私達は愛し合った。

ディアナ ; 私がハイスクールの時のことよ

オットー ; つまり、初恋の男と君は。

ロナルド ;私達は、ディアナの良心に無理やりに別れさせられた。だが、彼女を誰より愛しているのは

       私だ。彼女も、

ディアナ : ロナルド!

オットー ; 金の指輪、ディアナのイニシャル。

ロナルド ; ディアナからの贈り物だ。彼女も私を。

ディアナ ; 違う。私が愛しているのは、あなただけ。ええ。彼に恋をしていたわ。私はまだ若くて

        愛のことなど何もわかっていなかった。今は。

オットー ; 金の指輪。なぜ。

ディアナ ; 知らないわ。私は何も。

ロナルド ; 君は私を愛している。君がこんな男を愛する筈がない。

ディアナ ; ロナルド!

ロナルド ; ディアナは私のものだ。

オットー ; 黙れ!

ディアナ ; あなた

オットー ;そんな目で見るな。その美しさが私を惑わせるのだ。

ロナルド ; 私達は愛し合っている。昔も今も。この結婚が過ちだったんだ。

ディアナ ; 誤解よ。彼とは何も。

オットー ; 信じられない。

ディアナ ; 私が愛しているのは。

オットー ; もういい。その口から愛という言葉を二度と聞きたくない。天使とあがめた人の正体が、

       多情な淫売女だったとは。

ディアナ ; あんまりだわ。

オットー ;消え失せろ。私の前から。どす黒い怒りと悲しみが、男を幻惑するその体を

       八つ裂きにする前に。

ディアナ ; (泣き伏す)

ロナルド ; ディアナ

オットー ; その男の胸に抱かれ、どこにでも行くがいい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イヴァーノ ; 幸福の頂点を極めた者は、落ちていくだけ。

オットー ; 心を覆う憎しみの霧が、私を破滅下と導く。愛と言う名の花は、嫉妬と言うヘビに

       飲み込まれてしまった。

イヴァーノ ; 愛など、愚かな人間が生み出したただの幻

オットー ; 私は、ディアナの事をどれだけわかっていたのだろうか。

イヴァーノ ; 人は、見たいものだけを見、信じたいものだけを信じる。

オットー ; ああ、狂いそうだ。世界よ、この苦しみから流れ出る血の海に飲み込まれてしまうがいい。

イヴァーノ ; 苦しむがいい。もっと、私が流した心の血を、その体からも。

 正直、どこをどう変えたらいいんだ?というような場面で。

  実際に舞台で見ると、あまりにも突然、オットーが豹変してしまうので唖然茫然。

  しかも「淫売女」ときた たかが指輪一個でこれか?と。

  いくら舞台でもありえないだろう・・・・云々

 ロナウドの性格異常っぷりはセリフで見ると、さらに「いっちゃってる」状態がわかりますよね。

  そしてオットーの思い込みの激しさも。

  韓ドラとか中国ドラマなどでは、よく、こういうみえすいた嘘で人を陥れるシーンが出てきます。

   そういう場合は、ディアナが「私は指輪なんかしらない。贈っていない」といえば、オットーが

  「贈っていない証拠を出せ」というのです

  そして指輪のイニシャルが違うとか、宝石商を呼ぶとか、命をかけて「潔白」を証明する。

  そのやりとりやどんでん返しが面白いのですが、このシーンにそんな小細工は必要ないですよね。

 イヴァーノの台詞も脈路がないし、オットーが次のシーンでディアナを殺す妄想にかられる

   というのも、そこまで話は盛り上がっていないと思うんです。

 女心がわからないというのは、それほど愛したディアナに対してオットーが指輪一つで

  「消え失せろ」とまでは言わないだろうし、ディアナにしても、そこまで言われたら

  オットーをぶんなぐるくらいするだろうと。

  入籍までした「夫婦」の絆は10代の恋人同士じゃないんですから、そんなに簡単に破れたり

  しないでしょう。

 だから・・・まあ、変えるとしたら、ロナウドとディアナが親しそうに絵の話をしていて

  芸術がよくわからないオットーが疎外感を持つ・・・それが疑いに発展していく。

  そんな程度だと思うんですけどね。

 イヴァーノの「苦しむがいい」なんてセリフは100年早いわって感じです。

 じゃあ、何でこんなシーンを書いたのか。素人でもやらないような事。

   多分、どこかで盛り上げたかったんでしょうね。感情を爆発させるシーンがないと

   だらだらするし、登場人物を動かさないといけないし。

   だけど、イヴァーノがあそこまで意地悪な感情を持つというのは、親を殺されたとか

   拷問を受けたとか・・・そういう恨みを持った時のみですよね。

   ここは、イヴァーノ以上にオットーが悪人だった・・・というような設定の方が面白いかも。


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