ナレーションは別人に
1場
イヴァーノ ; この世界には二種類の人間がいる。利口な奴と愚かな奴、
金持ちと労働者、夢を追う人間と現実を生きる人間、そして
はいつくばる者と見下ろすもの。
レイモンド ; この世には2種類の人間がいるという。
利口な奴と馬鹿な奴、金持ちと貧乏人、夢を勝ち取る奴と夢に破れる者
画家として成功をおさめ、金色の光に囲まれるディアナ、ディアナに近づこうとして
遮られるロナウドは退場。ディアナはオットーに出会い、恋をする。
イヴァーノ ; あらゆる人間が栄光を求め、この町にやってくる。だが、それを手に
出来るのは選ばれたものだけ。そう、それが・・・・
レイモンド ; ウォール街。誰もが富と栄光を求めてやってくる。
ニューヨーク、アメリカの夢の街。
イヴァーノ ; 誰もが、栄光の頂点をめざし走り続ける。いつか、そこに辿りつけると信じ
アメリカンドリームを手にした男、彼のように。
レイモンド ; そしてオットー・ゴールドスタイン。アメリカの夢を最大限勝ち取った男。
オットー登場。花嫁衣裳のディアナと結婚式。
オットー ; 私のような移民の、得体の知れない男と本当に結婚してくれるのか?
ディアナ ; あなたを愛しているもの。
オットー ; 一時の気の迷いかもしれない。だって私は君よりずっと年上で、この歳まで
色恋沙汰も知らずに仕事だけに生きて来た。それにキャンベル家のような
資産家でもなければ、君のように芸術的な才能もない。
ディアナ ; でも、あなたには私がいるでしょう?私にはあなたがいる。それで十分なの。
ニューヨークは欲望の街よ。あらゆる人がお金や地位や財産を求めてやってくる。
私の家族もそんな者達の一人。でも、私は違うわ。
たとえあなたが一文無しでも、建築王と呼ばれる実業家でなくても、あなたを愛してる。
オットー ; 君の家族は誰も出席しない結婚式だ。
ディアナ ; いいの。それでも私は幸せなの。
カーティスやレイモンド達が花弁をふりかける。「おめでとう」の声。
オットー ; 約束する。ディアナ。君を一生愛し続ける事。絶対に手放さない。
二人、キスして暗転。ピンスポットで残るイヴァーノ。そしてロナウド。
ロナウド ; ディアナ。私の光。
イヴァーノ ; オットー・ゴールドスタイン。俺と同じような境遇に生まれ、同じように
さげすまれながら育った男が、芸術家で社交界の華と結婚。
ああ、どんなに憧れていることか。俺は彼の後ろ姿を見て階段を上る。
1場はイヴァーノがナレーションを行い、だらだらと歌が続くシーンなのですが、
準主役のイヴァーノがナレーションをする必要はありません。
レイモンドに担当させれば、役が一つ増えます。
またト書きと、あらたなセリフを付け加えましたが、この時点でオットーの年齢設定は
40過ぎ、ディアナの背景も少しわかります。
説明は簡潔に
2場
ライマン ; 本日、我がライマン財閥が長年温めてきたプロジェクト、ライマンビルの
建設を発表出来ることに大きな喜びを感じています。
このビルが、ニューヨークが誇るあらたなランドマークになることは間違いない。
そしてこの事業の一歳を、われわれは、奇跡の建築王オットー・ゴールドスタインに委ねます。
記 者 : そのビルの高さは。
オットー ; およそ1300フィート
記 者 ; つまり、今、建築中のエンパイアステートビルディングを抜く可能性も?
オットー ; おおいにあり得ます。
記 者 ; しかし、それは常識的に難しいと
オットー ; リンドバーグが大西洋無着陸飛行に成功したように、不可能と思える夢を
可能にすることが未来を切り拓くと私は信じてきた。
ライマンビルの建設は、我がゴールドスタイン社にとっての新たな挑戦となるでしょう。
わが社はさらなる技術力の強化と人材投入のため、ライマンビル建設のための
新会社を設立することを決定いたしました。
新会社社長にはカーティス・ダンフォード。和解が期待出来る人物です。
カーティス ; ゴールドスタイン社長の信頼に応えるべく、全力を尽くします。
記 者 ; 新会社の名前は。
オットー ; デァアナ・ゴールドスタイン。
記 者 ; ディアナ?
オットー ;今日は、皆さんにもう一つサプライズがあります。この素晴らしい女性を我が妻として
紹介出来る事、私の人生にとってこれに勝る喜びはないでしょう。
ブーケを手にしたディアナ登場。
記者たち ; ディアナ・キャンベル
ディアナ ; 私達は今朝入籍しました。今日は、私がディアナ・キャンベルから
ディアナ・ゴールドスタインになる最初の日。今、ここに、死が二人をわかつ
その時まで、妻として彼を愛し、信じ貫く事をアメリカ中に宣言しますわ。
↓
ライマン ; 記者諸君、今日はありがとう。我がライマン財閥はあらたなビル建設に着手する
事になった。規模は1300フィート、現在建築中のエンパイアステートビルを、数センチは
抜かせるかもしれないという・・ニューヨーク一、という事はつまり世界一のビルを
作る。
記 者 ; おおっ。でも技術的にどうなんでしょう。エンパイア・ステートビルだって。
ライマン ; それはこの男に聞いて欲しい。これまで数々のビルを建て、その手腕は「建築王」の
異名をとってきた。オットー・ゴールドスタインを。
記 者 ; オットー・ゴールドスタイン。イタリア生まれの貧しい移民の子として育ったが、今やニューヨーク中の
ビルを作る建築王。アメリカン・ドリームの象徴だ。
ライマン財閥がゴールドスタインと組むのか。そりゃあすごいぞ。
オットー ; ご紹介ありがとう。皆さん、ライマン氏の依頼により、ニューヨーク一のビルを建てる
光栄を得た事を誇りに思います。
私はこの仕事が終わり次第、引退するつもりです。
記 者 ; 引退?まだ早いのでは?
オットー ; 仕事より大事なことが出来た。それは妻との時間だ。ディアナ。
記者達 ; ディアナ・・ディアナキャンベル?資産家キャンベル家の娘で新進気鋭の画家だ。
結婚なんて聞いてないぞ。
ディアナ ; 私はもうディアナ・キャンベルではなく、ディアナ・ゴールドスタイン。明日の新聞の
見出しを間違えないでね。
ライマン ; オットー、ディアナ、おめでとう。二人の華燭の典は我がライマン財閥にとっても
幸先のいい話だ。
オットー ; ありがとうございます。ライマン会長。
ディアナ ; ありがとうございます。どうぞ夫をよろしくお願いします。
ライマン ; 早速内助の功の発揮かね。
オットー ; 私の引退後、つまり次世代の会社を任せる人材として、新たにカーティス・ダンフォード
を社長に任命し、私は会長職に退きます。
取締役にはイヴァーノ・リッチ。レイモンド、ヘンリー、みなでカーティスを支えてやってくれ。
ショックを受けるイヴァーノ。ピンスポット
イヴァーノ ; なぜだ?なぜカーティスが・・・・
そこにオットーがやってくる。
オットー ; 不満があるかもしれないが今は我慢してくれ。お前をないがしろにしたわけじゃない。
イヴァーノ;じゃあ、何で。
オットー ; 今はカーティスが必要だ。
イヴァーノ ; 俺じゃなくて・・・
オットー ; お前は別だ。お前は私と似ている。
イヴァーノ ; 靴磨きだったおれを拾い上げてくれたことは感謝している。あの時から俺は
あんたの為に、ただひたすらあんたの為に働き続けて来たんだ。カーティスなんて。
オットー ; 知ってるよ。だが、今は我慢しろ。決して悪いようにはしない。
ディアナ ; オットー、記者がまっていてよ。
オットー ; ああ。記者達に私達がどれだけ幸せか、みせつけてやろう。
去るオットーとディアナを見送るイヴァーノ。
イヴァーノ ; あんたにはわかるまい。俺の今の気持ちが。何が似ているだ。
あんな・・・恵まれて育った女を妻にして、自分がみじめにならないのか?
あんたとディアナは何もかも違いすぎる。あんたの本当の理解者は誰か。
それをこれから思い知るがいいさ。
実はこのシーン、イヴァーノはアクションなしなんです。でも、それじゃなんで逆恨みして
行くのかわからないでしょう?
それにライマン財閥とゴールドスタインという会社があって、さらに新会社設立・・・って、全く
意味不明。単に頭に「ディアナ」をつけたいが為の策だったにしても、意味がない。
それなら、二人だけで結婚式をさせて幸せアピール。
オットーは独身を守り続けてきた初老の企業家という設定です。
これで二つくらい場を省略できると思います。その分、カーティスとミラベルの恋のシーンを
入れるとか、イヴァーノとロナルドのシーンにするとか、色々出来る筈。