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韓国史劇風小説「天皇の母」43 (フィクション・・かな?)

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宮内庁には「表」と「裏」がある。

天皇の公式行事などを管理するのが表なら、いわゆる後宮は侍従達「裏」の世界。

そしてその他に、「東宮職」といわれる独立した機関がある。

片や「千代田」と呼ばれ方や「東宮」と呼ばれる。

東宮職は東宮大夫、東宮侍従長が管理する、皇太子一家のこと。

 

その千代田ではちょっとした物議が起こっていた。

「オワダさん・・・オワダさんというのは誰なのだ?」

「さあ・・エレナ王女のレセプションのリストには載っていないが」

「いやいや、後から手書きで入れられたんです。彼女は外務省勤務のオワダ氏の

娘ですよ」

「外交官の娘である事が問題なのではない。問題なのは彼女がチッソの孫だという

事実です」

「そうそう。彼女の祖父、エガシラ氏はチッソの社長で何かと問題が多い人物。

水俣問題はまだ解決していない。それだけじゃない。彼女の父。オワダ氏も外交官

としてははなはだ評判が悪い」

「どのように?」

「日本ハンディキャップ論の提唱者です」

「ハンディキャップ論とは?」

「日本は日中戦争以来、数々の悪行をしたのだから未来永劫、アジアに謝罪し続ける

義務があるという考え方です」

そういうのは・・・いわゆる左翼と呼ぶのでは?反日とも言うが」

「何だってそんな人物の娘がヒロノミヤの結婚相手として候補に上がるのか?」

「陛下も疑問に思っていらっしゃる」

「疑問も何も、戦後、宮内庁は内閣府の一機関となり、各省から回ってきた人たちで

固められているのはわかるでしょう?外務省もその一つ。特に最近は

外務省から宮内庁への移動が多いのです」

「外務省に問題が?」

「外務省は戦前の外務省とは違います。チャイナスクール、ロシアンスクールなど、

反日思想の巣窟になっておりますし、何よりオオトリ会という恐ろしい

組織があるのです」

「聞いた事がある。オオトリ会とは。確か宗教団体の信者の塊」

「ええ。日本最大の新興宗教団体を信じる会が外務省の中にあり、オワダ氏は

その会の一員です」

「何と!それでは意図的に近づいてきたというのかね?」

「その通り。皇室は政治や宗教団体と結びついてはいけません。オワダマサコさんが

候補に上がったのは何かの間違いとして忘れるべきです」

「陛下はどうお考えなのか」

「陛下は国民に祝福されない結婚は意味がないとお考えです。特にオワダさんに

ついてはチッソの問題があり、候補から外すようにとの思し召しです」

 

という事で・・・・千代田の意見は一致し、それをまず東宮夫妻に伝えた。

東宮夫妻は異論がある筈もなかった。

正直、皇太子家にとってヒロノミヤの結婚問題は重大な点を含んでいた。

つまり、「民間か、旧皇族・華族か」ということである。

皇太子が民間からミチコ妃を迎えた事で途切れた旧皇族・旧華族との間を

何とか修復しなくてはならない・・・という考え方が東宮職にはあった。

一方で「それは関係ない。むしろ、妃となる人の学歴や後ろ盾が重要」と

考えるむきもある。

「なんと言っても皇太子妃が民間出身である事を思えば、あからさまに旧皇族とか

華族を進めるわけにもいくまい」

というのが大方の意見。

それというのも、タイショウ帝の妃、テイメイ皇后は九条家の出であったが、

今上の妃は皇族。姑より嫁のほうが身分が上というので、何かとやりづらい部分が

あったことは事実。

さらに、ミチコ妃入内に関しては、旧皇族・華族の大反対があり皇太子自身が

かれらをよくおもっていない面もある。

 

そんな思惑の元、

「オワダさんはちょっと・・・」といわれたヒロノミヤ。

「何で?」と尋ねるしかなかった。

ヒロノミヤにとってオワダマサコという女性はまさに理想だった。

どんな風に理想なのかと言われれば。

それは・・・見た目だ。

目が大きくて華やかな顔立ち。誰の目にも「美人」と映るに違いない。

それと彼女の学歴だ。

皇太子妃が聖心を主席で卒業したことはよく知られているが、マサコはそれ以上の

学歴を持っていた。

彼女なら誰も反対しない。むしろ「よくぞ選んだ」と喜ばれるに違いない。

ヒロノミヤにはそんな思惑があった。

元々ブルック・シールズのような派手な顔立ちが好きなタイプであるだけでなく

将来の皇太子、天皇として自分の妃になる人は、誰よりも素晴らしい学歴と

経歴を誇っていなくてはならなかった。

ハーバード大卒、外務省勤務のオワダマサコこそ理想の女性だった。

「オワダさんはチッソの孫娘という背景があります。そういう家柄の女性を

妃になさるのはよくありません」

「チッソ・・・・」

ヒロノミヤだってそれくらい知っている。

自分が生まれた頃に起こった水俣病という公害の話。

あの頃はミナマタだけじゃなく四日市の喘息だの光化学スモックだの

沢山の公害が取りざたされたものだ。

彼女が水俣病の大元となったチッソ社長の孫娘である事はわかったけど

それがなぜ罪になるのかはわからなかった。

祖父の事まであれこれいわれたんじゃたまらない。

「そうはいっても皇室に嫁ぐ方というのは3代前まで疵がないお家柄というのは

決まっておりますので」

「そう・・・でも、もう一度考えてもらえないかしら?」

ヒロノミヤは諦めきれないのだった。

 

 

 

 


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