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歌会始めの儀

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 1月14日。恒例の歌会始が宮中で行われました。

 

天皇陛下 御製

 夕やみのせまる田に入り稔りたる

           稲の根本に鎌をあてがふ

 秋の夕闇の中で稲刈りをされている様子を歌ったもの。

   ネットでは「稲の根本」と「皇統」に読み替える人がいます。

  夕闇を「天皇の晩年」と考えるとわかりやすいとも言えますが、

  どうぞ、陛下。ご決断を。

 

皇后陛下御歌

 来(こ)し方(かた)に本とふ文(ふみ)の林ありて

           その下陰に幾度(いくど)いこひし

 何度、本に癒されて来たか・・・というお気持ちを歌ったもの。

  とても秀逸な歌だと思います。「文」を「文仁」と詠んでもよいのかもしれませんが。

  皇后陛下にとって「本」というのは本当に「特別な存在」である事がよくわかります。

  心から教養が深い方であると拝察します。

 

皇太子殿下

 山あひの紅葉深まる学び舎に

           本読み聞かす声はさやけし

 去年の10月に山形を訪れた皇太子が、金山小学校を訪れ、ボランティアサークルによる

  「読み聞かせ」を見た時の思い出を歌ったもの。

  この時の読み聞かせは「泣いた赤鬼」だったそうです。

  東宮夫妻は「ご当地和歌」が好きなの?

  そして皇太子は「山」を入れれば何でも出来ると思ってる?

  ご当地歌なら碑にして貰えるかもしれませんね。

  ところで、この「読み聞かせ」を歌った歌は、佳子内親王のもそうで。

  どちらが優れているか、一目瞭然ですね。

 

皇太子妃殿下

 恩師より贈られし本ひもとけば

           若き学びの日々のなつかし

 オックスフォードの恩師から贈られた本を少しずつ読みながら昔を懐かしんでいる・・・という

  歌だそうです。

  それは一体どんな本?

  本を開いて学生時代はよかったよなあーーと思いだす本ってアルバムですか?

  どちらにせよ無理やり感が詰まった歌だなあと。

  娘に読み聞かせはしなかったのかしら?

 

秋篠宮殿下

 年(とし)久(ひさ)しく風月(ふげつ)の移ろひ見続けし

                 一本の巨樹に思ひ巡らす

 昨年、メキシコを訪れた時、「トゥーレの木」をご覧になった時、樹周世界一でギネス

  記録を持つこの木の大きさに心をうたれ、長い年月、この木が見て来たものに

  思いをはせる・・・という歌です。

  深い歌だなあと思います。

  「皇統」は一本の巨樹でありますよね。

 

秋篠宮妃殿下

 日系の若人かたりぬ日本への

         あつき思ひと移民の暮らしを

 去年の外遊時に出会った日系の方々の思いを歌った歌です。

  両殿下共に去年の外遊について歌われた。何とも息がぴったりのお二人ですね。

  日本にいると、「日系人」というものに対する考えが薄くなりがちですが

  かの地には今も「日系」である事を誇りに生きている方々が沢山いらっしゃいます。

  そして彼らのよりどころはやっぱり「皇室」なんですよね。

 

眞子内親王

 呼びかける声に気づかず一心に

           本を読みたる幼きわが日

 呼ばれても気づかず本を読む内親王。眞子様らしい。光景が目に浮かぶよう。

  本をひもとくというのは、こういう事なんじゃないか?と。

 

佳子内親王

 弟に本読み聞かせゐたる夜は

           旅する母を思ひてねむる

 外出が多いご両親や姉宮に代わって、弟君を大切にお守りされている

  姫姉さま・佳子内親王。

  きっと、悠仁殿下はいくら読み聞かせしても眠らなかったり、ぐずったり・・・と

  いう事もあったでしょう。そんな時、「ああ、お母様がいたらなあ」と

  思われた事もあったと思います。

  素直で直観的でそれでいて情緒的な歌ですね。

  

常陸宮妃殿下

 新しき本の頁(ページ)をめくりつついづく迄

                読まむと時は過ぎゆく

 ついつい「ここまでにしよう」と思っても先が気になって読みふけってしまう。

  そうこうしているうちに夜は更けたりして。

  読書好きにはたまらない歌です。

 

信子妃殿下

 松山に集ひし多くの若人の

           抱へる本は夢のあかしへ

 公務で松山に行かれた時、大勢の人に迎えられた事を歌った歌です。

  本が夢のあかし・・・とは。味わい深いですね。

 

彬子女王

 数多ある考古学の本に囲まれて

               積み重なりし年月思ふ

 トルコの図書館で、その歴史を感じた時の歌です。

  本当の知識人というのは、こういう歌を詠まれるのでは?

  ハーバード大を出ていらっしゃるあちらの方は?

  

久子妃殿下

 来客の知らせ来たりてゆつくりと

         読みさしの本に栞(しをり)入れたり

 正直、「だから何」です。読書の時間を邪魔されたーーみたいに見えるんですけど。

 

承子女王

 霧立ちて紅葉の燃ゆる大池に

         鳥の音響く日本(にほん)の秋は

 これ、本当に女王が詠んだのでしょうか?

  意味はともかく教科書的すぎませんか?

 

 入選作で好きな歌

 この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる

              (小林理央 15)

 まあ、生意気な と思いつつも頼もしいかも。

 

 「あったよねこの本うちに」流された家の子が言ふ移動図書館

               (平井敬子 59)

 あるある・・・このセリフ。そしてあまりにも悲しいセリフです。

 

 おさがりの本を持つ子はもたぬ子に見せて戦後の授業はじまる

                (吉樂正雄 77)

 終戦直後、子供だった人はみな同じような思いをしたのですね。

 

ところで、一首だけ「この歌って「本」に関係あるの?」と思ったんですけど

よくよく読んでみたら・・・・ああ

奥が深い。見事すぎる

 雉さんのあたりで遠のく母の声いつも渡れぬ鬼のすむ島

        (古川文良 46)

 そっか。「桃太郎」の話を聞きながらいつの間にか寝ちゃった話なのね。

  読み聞かせされている歌なんですねえ

 


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