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星逢一夜

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 斎藤吉正君、二階ロビーの一番目立つ所でOGらとおしゃべり。

姫ちゃんいわく「ばっちり髪をワックスで固めてる」(よくそんな所までみて)

 星逢一夜 

今年、これ以上の作品は出ないと思うので

(上田久美子さんの作品はいつもこれで始まる)

とにかくNO1 って感じです。

 

何がすごいって(また同じ話になるけど)

上田久美子さんという方は本当に頭がいいんだなあーーと

知性と教養と文才が同時に備わっている人っているんだよなあ

すっごく羨ましくて正直嫉妬ーーですよ。

しかも、宝塚という世界でそれを描くことが許されたという、いわゆる

「チャンス」をものに出来た人。

何もかもお持ちの方なんだなあと。

 

まず「脚本」

史実と自分が書きたいものをうまく擦り合わせていく能力。

これがすごいんですよ。

無論、他の脚本スクールなどへ行ったら「史実」と違う部分が

指摘されて「ありえない」とか言われるんだけど、

(その点はパンフレットの中にきちんと書いてあるので納得)

宝塚だからこそ許される設定の中で、最大限に史実をいかした

作品になってます。

子供の頃は「身分の差」もそんなに壁ではなく、互いに思いやりながら

切磋琢磨していた3人が、

ある日、突然「藩主と領民」になった。

立場が違うと思想や行動がこんなに違ってしまうものなのだろうか・・・

3人とも理想は同じ筈なのに、真逆に生きなくてはならない悲しさがありました。

まあ、源太が「できすぎ」な性格でちょっとご都合主義が見える部分もあるし、

(でも優しい望海風斗は大好き

一騎打ちのシーンは、源太の死にもう少し含みを持たせるべきで、

泉が嘆いて遺体に取りすがるシーンもほしかったなとは思うんですよ。

ラストの春興と泉の語らいも、親友で好きだった女の子の夫である源太を

手にかけてしまった重みを表すセリフがもう少しほしかったとは思います。

でないと源太が浮かばれないって

そうよそうよ。源太は3人の子持ちだったんだよ。お父さんだったの。

しかも優しくてリーダーシップがあって、理想の「夫」で。

そんな人をばさーーっと斬っちゃう春興って主役としてどーよ ぷんぷん。って

怒りたくなるんだけど、源太の最後の笑顔を見たら・・・殺されたかったのかも

しれないとか、それが一番「事」をおさめる方法だからとか

色々考えてしまってね

今、盛んに町中で「戦争反対」とかデモってるけど。

日本人はやっぱり「守るべきものの為に死を選ぶ」話が好きなのよね。

春興だって死一等を免じられたけれど閉門蟄居。

武士としてこれは「死」と同じことです。

誰の為ってやっぱりそれもこれも「領民」の為じゃないですか。

春興の理想を受け入れなかった領民を守る思想は日本にしかないでしょう。

(要するに韓国ドラマでは成立しえない話)

もし、源太が

「一揆を起こしてみんなが死ぬより飢え死にした方が被害が少なくなるから

(一揆は)やらない」とか

「春興ととことん話し合って酒を酌み交わせば理解しあえて

何とかなる」

とか言ったとして、それで話がすむだろうか。

などと考え込んでしまったので、個人的には泣けませんでした。

回り中、しくしく声が聞こえて、号泣しかかってる人もいたけど私は

泣けなかった。

こんな、日本人としては当然すぎるストーリーなのに、素直に感動できない

自分のひねくれた感が嫌だったなあと

それとやっぱりラストね。

春興が源太を殺した事を忘れたかのように、泉に向かって

「一緒に行くか」

なんて聞くから、気持ちがひいちゃって。

しかも最後は笑顔だしなあ。

男の哀愁をもうちょっとと思う。でもそれは私達の世代が感じることで

上田先生はそこらへんがまだ若いんだろうと思います。

 

でも、とにかく、荻田浩一以来の天才の出現に喜んでいます。

だって大劇場デビューでこの作品よ?すごすぎる。

 

それと、セットも素晴らしかったですね

山々の大きな写真とか、森の感じ、櫓。それに星。

とても癒されるというか、スペクタクル感がありました。

でも、祭りのシーンの後ろにはためいているのが・・・どことなく

日本っぽくなくて違和感だったけどね。

 

宝塚って知性と教養でぐんぐん押していく「陰」の上田久美子と

女の子の心をきゅんきゅん言わせる「陽」の小柳奈穂子がいれば

成立するんじゃないの?

 

 出演者について

早霧せいな・・・セリフ回しがどこかで聞いたような?あ・・・「前田慶次」でやってた

         あの役ね。すっかり同じなんだなと。

         お披露目を見逃してしまい、トップとしてどんな風に成長しているのか

         今一つわからないんだけど

         一生懸命やってるのはわかるし、組も和気あいあいでいいなと思います。

        でも今一つ求心力がないというか。

         この先、「これぞ早霧せいな」というものが出てこないと、組子のなかに

        埋もれてしまうんじゃないかと。

        つくづくトップスターというのは大変な立場なんだと思いました。

        宝塚におけるスター性というのは、外部におけるそれとはちょっと違う。

        組子全員の頂点に立つわけだから、ただ単に「羽根しょって真ん中にいる」

       だけじゃダメなんですよね

       誰のファンであれ、自分に視線を集中させるくらいの目力がないと。

        まだ2作目ですから、今後に期待しましょう。

       あ・・・だけど、お願い、歌わないで。

咲妃みゆ・・・・「泉」という役はとっても難しいと思います。

         少女 → 娘 → 妻 → 母 になっていく過程があるので。

         妻までは何とかなったけど「母」としてはやっぱり・・・若すぎたなと。

         身分違いとわかっていても春興を好きだった。

         でも結婚は幼馴染の源太とする。そう決めたのに突如、彼が現れて

         自分に誘いをかける。

         夫の事は好き。愛していると思う。だけど彼に引き付けられる心を

         どうしようもない。

         そんな時に夫が死んだら、まず考えるのは「これは私への罰」だという事。

         「私がもっと夫を大事にしていたら。私が彼を思い続けていたから

         源太は死ななかったのに」と。

         そこらへんの葛藤は人生経験を積んでいないとわからないよね。

         そういう部分を指しい引いても、咲妃みゆは上手な子だなあと思います。

         技術的に満点でしょ。

         ただショーにおいては、まだまだ「そのほかの娘役」と一緒に見えない

         事はないので、この人もこれからでしょうね。

望海風斗・・・・源太は演じやすい役柄とはいえ、本当に本当に「上手」

         この一言に尽きます。

         元々「二枚目」が似合うし、優しい役が似合う人ですから、本領発揮

         だったでしょうね。

         ショーにおいても「トップスター」のような貫録で。

         というか、他の組子は何をやってるんだ!的な感じです。

 

彩風咲奈が頭一つ抜けた感がありますけど、

だからって3番手として安心してみていられるかといえば疑問符。

長い間、雪組の男役さん達は十把一絡げにされてきたツケが出てきたかと。

これはもう・・・上級生を押しのけて、月城かなとを3番手に持ってくるくらいの

大ナタを振るわないとダメでは?

 

 

 

 

 

 

 

 


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