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さよなら霧矢大夢 1

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 あまりに語りたい事が多すぎて・・・・何から始めたらいいんだろう?

 

 衝撃的だった「エル・ドラード」

霧矢大夢。80期。同期には彩吹真央。花組出身。

でも、当時、花組をあまりみていなかったし新人公演には縁がなかったので全然

知りませんでした

私が「え?」と思い、その後今に至るまでいわゆる「霧矢大夢ファン」になるきっかけを

作ってくれたのは「エル・ドラード」東京公演でした。

1997年11月公演。旧東京宝塚劇場でした。

霧矢は組替え直後の出演。

当時、真琴つばさ体制になって二番手に紫吹淳、三番手に初風緑を迎え

まさに新生月組!という感じでした。

水夏希が花へ異動。パンフレットには大写しで大和悠河が・・・・

成瀬こうき、樹里咲穂、大空祐飛・・・そうそうたるメンバーの中に放り込まれた

霧矢はまだ小さな写真でした。

でも、彼女が演じたイダリという神官が出てきた時、そのあまりの滑舌のよさと

演技力、発声の素晴らしさに思わず「専科の人が出演しているのかしら?」と

思った程です。

パンフレットの中で名前を必死に探して写真も探して・・・ええーー

まだ新人公演やってる学年なの?と驚き。

「そなたは許しを得ずして帝国に足を踏み入れた。目的はなんだ!」

というのが最初の台詞で、後はがんがん怒ってばかりでしたけど、とにかくその

迫力に押された・・・という感じです。

以後、霧矢大夢の名前は私の心の中にしっかりとインプットされ、月組を見る

度に彼女を追いかけるようになりました。

 

 イライラした新人公演時代

まだ宝塚初心者だった私は、役を決めるのも何もかも「実力」が全てなんだと

思っていました。

思えば劇団の思惑はすでに81期の大和悠河に向いていた事を、気づいてはいても

重要視はしていなかったと思います。

大和は大地真央とか天海祐希風の雰囲気を持つ大型の男役として、研2から

大抜擢されていたのは知ってるし、見た目が可愛らしかったし・・でも正直

「エル・ドラード」のエトワールの時は「この人をここまで抜擢する理由って何?」と

思ってしまいましたけど。

大和のために(って言ったら大和ファンに叱られるけど)水夏希、樹里咲穂、成瀬こうき

と上級生が次々組替えしていき、はっと気づくと残ったのは大空祐飛と霧矢大夢。

この二人はしつこくも大和の下に甘んじつつ新人公演の役争いを繰り広げて

いたと記憶していましたが、やっぱり主役は常に大和悠河って感じ?

大和に比べれば大空も霧矢も「地味」だったんだろうなあとは思いますが

それでも「こんなに実力があるのに何で新人公演主役を一本張れないのか」と

イライラした記憶があります

新人公演を見る事が出来ない身には、本公演でほんの一言とか、ちょっと歌う

だけでも安心して聞ける霧矢の存在はすごく大きかったですよね。

 

 実力の爆発と炎上

歌劇団としては何が何でも大和悠河を御曹司として育てたい・・・というわけで

霧矢の不遇時代が続くわけですが、それでもやっぱり実力がある人は違うと

見せ付けたのが「ノバ・ボサ・ノバ」の新人公演だったでしょう。

本公演のキャスティングに不満を持っていた私としては、見る事は叶わなかったけど

新人公演で本公演をしのぐソールを演じ、スタンディングが起きたという話を聞いて

本当に嬉しかったです

この頃からジェンヌとしては飛びぬけて演技・歌唱・ダンスが上手・・っていうか

上手の域を超えて宝塚を飛び出しそうな勢いだったのを覚えています。

「この人は宝塚に納まる器ではない。ブロードウエイが似合いそう」って

本気で思いましたし

「ノバ・ボサ・ノバ」新人公演で一回目の実力の爆発が起こったとすれば

二度目は「ル・ボレロ・ルージュ」のエトワール?

これも東京限定でしたけど、千紘れいか、汐美真帆、霧矢大夢3人のコーラスの

ど迫力にびっくり。霧矢の伸びやかな声が印象的でした。

 

相変わらずパンフレット写りは上になかなか行かなかったけど、活躍の場は

広がるばかり。とはいえ、この頃から個人的には健康の心配をしてました。

ベルリン公演に抜擢されて、大劇場公演後にベルリンへ。帰国後1ヶ月で

初主演バウ(大和とダブルだけど)「更に狂わじ」の東京公演スタート。

「ゼンダ城の虜」で新人公演主役、真琴つばさの退団公演など等、あまりにも

次から次へと出演するので、体が持つかしら?と心配しました。

特にベルリンでは紫吹淳も体を壊してますし、帰国後1ヶ月fで東京から公演が

始まるというので、ファンですら緊張しましたよね。

何だか、実力派ゆえにいいように使われているなという気が。

 

紫吹淳体制になってからは、新専科制度の余波で、専科の出演が多く、重要視

されているわりにはパンフレットの順位が上がらず・・・

でも、3番目の爆発が起こったのです。

それは「ガイズ・アンド・ドールズ」のアデレイド。

最初「女役?」と思って驚き、絶対に似合わないだろうなあと思ったけど、

見てみたらこれがキュートで可愛らしくて

ブロードウエイミュージカルならではの明るさというのが本当によく似合って

今でもベスト5に入る役だと思っています。

でも、多分、これが最高潮だったんでしょうね。

次の「宝塚風土記」「シニョール・ドンファン」で

休演のニュースが飛び込んできて

ショックを受けると同時に「とうとう・・・」みたいな気分になったのは事実です。

 

 霧矢大夢の限界点

病名の公表だって嫌だったろうなと思います。

今でこそ様々な薬が出来て、病気と一生付き合っていけるようにはなってるけど

でも、霧矢だって未婚の女性で、これから結婚や出産だってあるかもしれないし。

そういう事を考えると本当に気の毒で仕方がありませんでした

でもネットで様々な憶測が流れたり中傷されたりするよりは・・・と、早い段階で

病名を公表し、治療に踏み切った事は本当によかったと思います。

とはいえ、薬の副作用で体型やや顔がどんな風になるのかしら?とか、体力が

戻るんだろうか・・・とか心配してました。

当時、月組ではベルリン公演後の紫吹淳が最後まで体力温存に務めなくては

ならない状態であった事、それに伴う「大丈夫か?」という気持ちを抱えつつ舞台を

見なくちゃならないストレスはファンにとっても大きな問題だったと思います

だって、せっかくお金を払って見に来ているのに、

「息切れしそうで・・」「本気で踊ってない」とか見えちゃうのは興ざめですし。

当時は匠ひびきの病気をはじめ、紫吹淳やら和央ようかやら、とにかくジェンヌの

故障が多くて「歌劇団はちゃんとジェンヌの健康管理をやっているのか」と

ネットで問題にもなりました

発表はしなくても腰を痛めているのでリフトがなくなった・・・とか、膝が悪くて

踊れないから振り付けが・・・とかいう話はいくらでも飛び込んでましたし。

 

だから。

霧矢の復帰作「薔薇の封印」を見るのはちょっと怖かった。

12月にわざわざ大劇場まで行って。しかも10列目だったのを覚えてます。

あの日、数日前から左足にしびれとゴム管で縛り付けるような痛みが走り

「これはヤバイ」と思いつつ、お友達がわざわざ取りづらいさよなら公演の

チケットを取ってくださったので、朝一番の飛行機で宝塚市へ向かい、片足ケンケンで

半日過ごし、観劇の時にはとうとう歩けなくなってしまい、幕間も席に座ったまま。

観劇の余韻に浸る暇もなく、痛みに耐えられなくなって劇場で病院を紹介して

貰い、痛み止めの注射で乗り切った記憶が。

そんな中で見た霧矢のルイ14世は、華美なかつらと衣装をものともせず、

くるくるとピルエットで周り、私に大いに元気をくれたのですが。

大劇場まで見に行ってよかったーー例え車椅子で飛行機に乗るハメになっても。

その後半月ほど入院生活を送ってもね。

でも、以後、私の霧矢大夢を見る目は変わりました。

スターとしては不本意でしょうけど、やっぱり体が心配。

今日は元気か、声に張りはあるか、感情が入っているか、少しむくんでいるのでは?

等などよけいな心配をしながら舞台を見続ける事に。

病気が全ての原因ではないとは思うけど、声につやがなくなったし、どこか型通りの

演技にはまったなーーという気がして。

やっぱりアデレイドが最高潮で、限界点だったのか・・・と、思うのです。

紫吹淳の後、トップにならず彩輝直や瀬奈じゅんに席を譲る形になってしまった

けど、個人的にはトップの重圧を受けて病気が悪化したら嫌だな、それくらいなら

専科に配属されてずっと宝塚の舞台に立って欲しいとすら思っていました。

トップスターに決定した時も、喜びよりも心配が先にたったのは確かです。

 

 


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