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昭和34年2月6日内閣委員会議事録11

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○菊池委員 

宮内庁長官にお尋ねいたしますが、この皇太子殿下の御成婚につきまして諸説ふんぷんとして、

国民はいろいろの誤解を抱いておるのでございます。

私は、皇太子が平民の娘をそのきさきとして選ばれたことを非常に喜んでおります。

平民であろうが新平民であろうが、粉屋の娘であろうが何であろうが差しつかえないと

私は考えておるのであります。

こういう点において、私は欣快にたえないと考えておりますが、

その婚約の過程においていろいろの謀略、策略が行われておるということが、

最近の週刊雑誌やその他の刷りものにおいて世間に流布され、

これによって国民が非常な疑惑を抱いて、国民の頭は割り切れないような感じになっておるのであります。

この際それが事実であるかいなかを長官から明確に発表されて、

そうして流説の真偽を明らかにして下さるならば、

国民は晴れやかな気持になり得ると思うのであります。

私はもう時間がございませんので、端的にせんじ詰めて要点々々だけ申し上げますから、

長官も簡単にお答えを願いたい。


 まず第一にお伺いしたいのは、この婚約の前に、美智子嬢は二十五人の見合いをしておられた。

そして最後に波多野という青年と婚約、これを破棄して皇太子の方に振りかえたというようなことが

流布されております。週刊雑誌に出ておりますが、これは事実でありましょうかどうか。

(今回の結婚に関して、様々な陰謀や謀略があったという話がでてきているのですが。

一つは正田美智子嬢は25人と見合いをしていた。その一人、波多野という男性とは

婚約をしていたが、破棄して皇太子の方に乗り換えたという話です。事実ですか)


○宇佐美説明員 

非常にりっぱな方で、従前にもいろいろ結婚のお申し込みがあったように伺いますけれども、

お尋ねのようなことは全く聞いたこともございません。

 ものすごーーーく 既視感漂う話ではございませんか?

  こんなにも過程が似通っている皇太子妃が二人、鏡のような二人。

 正田美智子嬢 → 25人と見合い(その中に三島由紀夫もいた?)

               波多野という男性と婚約。しかし破棄して皇太子に乗り換えた

 小和田雅子嬢 → 大学時代から多くの男性との遍歴がある。

               一人はデビッド・カオ

               もう一人は外務省の人間で婚約していたが、破棄して皇太子に乗り換えた。

 

 

○菊池委員 

片一方にそういう婚約がありながら、これを破棄して婚約をするということは、

世俗、人情に反し、道義をじゅうりんし、将来の国民の象徴たるべき人を

作り上げるにはふさわしいことではないと思うのでございます。

そういう婚約者があるかどうか、その点をお伺いいたしたい。波多野という青年です。


○宇佐美説明員 全くないものと考えます。

 この噂話がどこから出てきたのか。当時の雑誌をつぶさに調べてみなくてはわからないでしょうし

   あるいは、どこにも載っていない話かもしれないし。

   しかし、政治家が知っているという事は相当な話ではないかとも思い。

 宇佐美長官の「全くないものと考えます」の「考えます」が嘘っぽいかなあと。

  しかし しかしですよ。

  あの正田家の美智子さんが・・・・見合いはあったとして、波多野という人と婚約していたなんて

  ことあるでしょうか?

  波多野さんって・・・もしかして、あの学習院の波多野さんに関係ある人?

  皇室に多少なりとも関係のある家柄の人を踏み台にしたのか、それとも本気だったか

  一体、どこの波多野さんなのか。大いに知りたいところです。

  当時、皇太子殿下はそれを知っていたんでしょうか?


○菊池委員 

もう一つ重大なことは、この婚約を運ばれた方々、運動に当られた方々が全部カトリック教徒である。

前の田島長官もカトリック教徒であり、それから宇佐美長官もカトリック教徒であり、

小泉信三氏もカトリック教徒であり、それからしゅうとになられる正田英三郎氏もカトリック教徒である。

それから最高裁判所長官の田中耕太郎氏もカトリック教徒である。

カトリック教徒の一連のからくりによってこの婚約が運ばれたという説が流布されておるが、

これはいかがであるか、承わりたい。


○宇佐美説明員 

関係なさった方々がどういう宗教であるかということは、私調べたことはございませんので、

責任を持ってお答えいたしかねますが、私がカトリック教徒であるなどということは

とんでもない間違いであります。

ただ出身せられた聖心学院というのはカトリック系の学校でありますが、

御本人は洗礼を受けておられない。あるいはカトリックが将来皇室に対して

何らか影響を持たないかという心配をせられた方々が世上あるということは聞いたことがございます。

しかし、もちろん美智子さんは洗礼を受けておられませんし、

学校当局においても非常に慎重な態度をとっておられまして、

この問題に対しては何ら御心配はないと考えるのでございます。

従って、過去においてこの問題についてカトリック系の陰謀があったなどということは全然根拠がございません。

 すでに昭和34年の2月の時点で「カトリックの陰謀」説が出ていたというのは

  恐れ入ったという印象。

 正田美智子嬢 → 田島前宮内庁長官

               小泉信三

               田中裁判所長官

               正田英三郎氏

          みーんなカトリック教徒。(宇佐美長官は否認)

         入江侍従長ものちの浩宮の教育係である浜尾さんもカトリック。

         正田美智子嬢自身、聖心女子出身。

         当時は「洗礼」を受けていないから問題ないとされたという話。

   小和田雅子嬢 → 実妹夫婦が創価学会信者

               主治医が創価学会

               自身が大鳳会メンバーと会っていた

 皇室批判派のほとんどの方が「カトリックの陰謀」を唱えています。

  ではカトリックの陰謀ってなんでしょう?

   わかりやすくいうと

  カトリック信者が選んだ皇太子妃が将来皇后になる事で皇室が神道から離れ

   キリスト教を信じるようになる

                ↓

  神道においてもっとも偉大な神は天照大神であり、天皇はその子孫

    つまり「天皇」は日本という国体(伝統・民族性・思想・礼儀等)を守る立場

                ↓

  キリスト教においてはイエス・キリストがもっとも大いなる存在であり

   この世に神は一人しかいないことになり、「天皇」という存在の否定になる

                ↓

   「キリスト教」・・・誰もが神の前では「平等」になると「天皇」は何なのか?

    天皇の否定 → 皇室の否定 → 国体の否定 → 共産主義への傾倒

というような形になるかと。

 皇后陛下がそんなおどろおどろしい思想にかぶれて皇室入りしたとは思いません。

 そもそも「皇室」の維持を最優先にした昭和天皇は皇后らに聖書を読むように勧めたり

 バイニング夫人の教育を受け入れました。

 側近がカトリック信者ばかりになった事だってご存じであったろうし。

 それでも11宮家の臣籍降下と引き換えにご自分のお子様方と

 弟宮家は守るために受け入れたわけです。

 でもまさか完全に皇太子が取り込まれようとは昭和天皇も考えられなかったかも。

 現在の皇后陛下のカトリック信仰の何が問題かというと

  「天皇」より上位にあるものの存在を認めているのではないか

  祭祀を休むことが多くなったことで、密かに神道を否定しているのではないか

 という事ですね。神道を否定し、それがまかり通ったら天皇の存在意義がなくなりますので

 これは大きな問題であるわけです。

 

 

○菊池委員 

もう一つ、この御結婚の話について、天皇皇后両陛下を初め皇族の方々がみな反対されたという説が

流布されております。

皇室会議が終りまして、その報告を宇佐美長官から天皇陛下に申し上げると、

天皇陛下は怒られたお顔で、ふんまんやる方ないお顔で一言も発せられなかったというようなことも

流布されておりますが、これはいかがでありますか。


○宇佐美説明員 

今回の御結婚につきまして、御両親陛下であります両陛下その他皆様の御反対があって、

進め得られるものではございません。

ましてやただいま申されたようなデマは、取るに足らぬものと私は思います。


○菊池委員 

さらに、皇室会議が開かれたのは十一月二十七日でございますが、

その前十一月二十四日に、宮内庁は公電をもって館林に通知しております。

こういうことは、皇室会議を無視し、皇室典範を無視し、

国民を愚弄するもはなはだしき行動であるといわれても弁解の余地はないと思うのでありますが、

この点はいかがでありましょう。


○宇佐美説明員 

皇室会議の前に館林に電報を打ったなどということは、思いもよらぬことであります。

ましてや館林に宮内庁がどうして電報を打つか、了解に苦しむところであります。

 昭和天皇が反対した・・・という事はないでしょうけど、香淳皇后やその他の旧皇族・旧華族が

  面白くなかった事は事実でしょう。

  その怒りの矛先が美智子嬢を通してひっそりと昭和天皇に向かっていったかもしれません。

 宮内庁が館林に電報を打ったかどうか。これが事実かどうかきちんと考えるべきです。

  宇佐美長官の一言でそれが一蹴されましたが、それでよかったのか?

  っていうか、美智子嬢が「洗礼は受けていません」も宇佐美長官の一言で終わったわけで。

  なぜそれ以上追及しようとしなかったか。

 皇室会議で決まる前に「決定」と正田家の本家に連絡が入ったという事でしょう?

   という事は、皇室会議は単なる「手続き」にしか過ぎなかったという事で

  それを踏まえて「内閣委員会」の1から読み直すとまた別な感慨が生まれるかも。


○菊池委員 

別の問題に移りますが、東宮御所の造営であります。

われわれは、赤坂離宮がありますので、国会図書館がドイツ大使館の跡に建ちますと、

そこへ国会図書館を移して、東宮殿下が移られるものと考えておりました。

ところが、もうその国会図書館の引っ越しまでそう長くもないのに東宮御所を建てるということは、

費用は少いといたしましても、

国民に与える影響がいかにもおもしろくないと思うのであります。

それで、こういうことについては長官から天皇陛下にも進言し、

東宮御所の造営は見合せて、御所ができてから赤坂離宮に引っ越されてはどうかというくらいのことは

おっしゃられてもよかったのじゃないかと思いますが、この点はいかがでございますか。

(国会図書館が新しくなったら、東宮殿下は赤坂離宮に移られるものと思っていたら

新しく建てるという。費用は別にして国民に与える影響はよくないでしょう。

まだ御所も建ってないのに)

 言われてみればその通りです。

  いくら結婚するからって新しい宮殿を建てるのはいかがなものかと。


○宇佐美説明員 

御質問の趣旨は、皇居の建設と皇太子殿下の御所の関係でございますか。赤坂離宮でございますか。


○菊池委員 東宮御所です。


○宇佐美説明員 

赤坂離宮が国会図書館に移管されまして、今国会図書館の所管になっておるわけでございます。

それがあるのに東宮御所を作るのはおかしいじゃないかという御質問のように伺いましたが……


○菊池委員 引っ越しまでしんぼうせられてはどうかということです。


○宇佐美説明員 

国会図書館がいつ新しいところに移られて、あとどうなるかということはまだきまっておらないことでございます。

しかも一方皇太子様の御殿というのは、お一人でも非常に狭いのでありまして、

御結婚を控えましてどうしても早く建設しなければならないという事情に迫られて

お願いいたしたわけであります。

あるいは世上説をなしで、皇居ができないのに東宮様の御所を作るのは早いのじゃないかという説を

聞いたこともございますけれども、しかし実際の必要に迫られていたしたことでございます。

御了承をいただきたいと思いますし、

もう一つは、今国会図書館の入っております赤坂元離宮は、

住居としてはとうてい使いにくいところでございます。これだけは申し上げておきたいと思います。

(現在の東宮御所は狭いですし、赤坂離宮は住居として暮らしにくい。切羽詰まってのことです)


○菊池委員 そうすると、赤坂離宮ががらあき状態になったときには何に使うのですか。


○宇佐美説明員 

現在国会図書館の所管でございまして、その後につきましてはどう措置されるか、

まだはっきり決定はいたしておりません。しかしながらあれを国会図書館に移管いたしましたときに、

皇室経済会議にかけておるわけでございますが、

そのときの議事録を見ますると、希望としては、国会図書館が不要になりましたときは

皇室の用に供するようにしてもらいたいという希望は出ておる。

しかしそのあとのことはまだはっきりきまっておるわけではございません。


○菊池委員 

そうしますと、東宮御所を今度新築するということは、要するに結婚のためにというだけでございますか。

○宇佐美説明員 

現在お一人だけで外交団にお会いになりますとか、そのことでも困っております。

また御結婚になりますればいよいよそれが激しくなるわけでございます。

そういう全般的の考慮からいたしたわけでございます。


○菊池委員 

国民の中には、家なくして困っております数百万の同胞がありますし、

また失業者も三百万もあるということですが、そのくらいなら皇居を利用することもできようし、

今の仮御所を利用することもできましょうし、どうにでもできると思いますが、

皇室に限ってはそういう融通がきかぬものでございましょうか。

(国民の中には住居不足で困っている人達が多数おります。外交団接待などは

皇居でやればいいじゃないですか。融通きかないんですね)


○宇佐美説明員 

皇居の中の諸建物もきわめて狭隘でございます。

またそういうわけで彼此融通すると申しましても簡単でございません。

お述べになりましたように、国民の生活を重視しますならば、

いろいろ問題もございましょう。

しかし私どもといたしましては、

昨年来国会の慎重な御審議を経て予算をいただいておるわけでございます。

(色々意見はあるけど予算は通っているので文句をいわれる筋合いはない)


○菊池委員 

間組から七千万円の工事を一万円で受けると好意的に言ってきた。

ああいう話は喜んで受くべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

向うはせっかく寄付しようと言っておるのに……。

(なんでも間組は7千万の工事を1万で受けるといってるそうじゃないですか。

なんで素直にそれをうけないの?)


○宇佐美説明員

 東宮御所の建設につきまして、御審議になりました通りに、宮内庁の予算に上って、

それを建設省に全部委託してございます。

建設省が入札その他を進めておられることでございます。こ

の間の問題につきましては、そういう申し出をせられた方の純粋なお気持をわれわれはもちろん

疑いたくはございません。

そういう意味で申すわけではございませんが、

そういった全国民の上に立っておられる皇太子様、皇族、皇室の方々としては、

一人の方の恩恵を多く受けるということはできない。

これは憲法のいろいろな条章から見てもはっきり出ていることだと思います。

(予算が決まってるから。好意を受けるわけにもいかないんですよ。公務員みたいな

ものですから)

 あの当時から新しく東宮御所を作るのは時期尚早ではないかとの意見があったんです。

  昭和天皇は御所の新築を見合わせていた時期ですし。

  後々、今上はさらに吹上御所も建て直すわけです。

   新築が好きなんですね。


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