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韓国史劇風小説「天皇の母」206(ひそひそとフィクション)

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日本の梅雨はじめじめしている。

毎日が曇り空で雨が降ったりやんだりする日々は、人々を憂鬱にさせる。

 

今日も「さくらラウンジ」には幼稚園児のママ達が

子供達の帰りを待ちながらお茶を飲んだり、軽食を食べたりしている。

下の子を姑に預けて来ている人もいれば、ぐずる2歳児に

必死にジュースを飲ませて時間稼ぎしようとしているママもいる。

ふと、ラウンジの向こうをみやれば、ひときわ大きな笑い声と共に

大騒ぎしている集団が見える。

見える・・・・といっても、それを取り囲んでいる20人もの

黒服の男たちが目を光らせている為、回りのママ達は彼らと

目を合せない様に、聞こえない様にするのが精一杯だった。

「やっだーうそーー!ほんとー!」

コーヒー片手に大声で喋っているのは誰あろう、皇太子妃だった。

「ほんとほんと」と回りのママ達は手を叩いて笑う。

「じゃあ、もう一杯コーヒー飲まない?おごるから」

と言ったのも皇太子妃で、他のママ達は

「ありがとうございますーー」

とか「さすが妃殿下」とかいって、持ち上げている。

 

「まーた、やってるわよ。あの親衛隊」

ラウンジの隅っこの一団はしらけムードでコーヒーを飲みながら

しゃべっている。

日々、家事と育児に追われ、子供が幼稚園に行ってるわずかな時間だけが

自由な母親たちはその時間を何とか有意義に過ごそうと考えていた。

とはいえ、高い朝食を食べるお金はないし、そうかといって毎日

自宅でパーティというわけにもいかず

結局幼稚園の横にくっついている「さくらラウンジ」に集まっているのだった。

「毎日毎日、よく飽きずにおべっか使えるわよね。何がおごるからーーよ。

全部私達の税金なのに」

一人の母親が不満気に行った。すると、もう一人も同調する。

「親衛隊はコーヒー一杯で買収されちゃうわけ?」

「コーヒーだけじゃないでしょ。ディズニーランドに同行した人もいるし

月に一度は東宮御所でお楽しみ会ですってよ」

「何それ」

「え?知らないの?月1で東宮御所に親衛隊が集まって、お遊びをするんだけど

その内容がすごいんだって。

デキ屋を呼んだり、芸人呼んだりして面白おかしく遊ぶとか、ごちそうが出るとか。

なんせ天皇陛下の料理番が作るフルコースでしょ?お菓子でしょ?

食べ放題なんだって。そこまでやられたらなんでもいう事聞くわよね」

「落ちたものよね。学習院も。昔から何人も皇族が入学してきたけど

こんな事はなかったわよ」

「あらあったわ」と誰かが言った。

「ほら、タカマドノミヤ家の女王達。今も初等科とか中等科で権勢をふるってるらしいわ。

あそこは宮邸に招待しておいて、あからさまに差別するとかで嫌われているけど。

その点、東宮御所は大盤振る舞いなのね」

「感心している場合じゃないわ。アイコ様が入園してからってもの、本当にひどいったら

ありゃしない。園長にもちゃんと言わないといけないわね」

アイスコーヒーの氷がからんと鳴った。

「私達には「弁当は手作りで必ず野菜を多く入れて」とか「送り迎えは何が何でも母親が」

とか「お箸を使えるように指導して下さい」とか言っておきながら、あっちはどれも

守ろうとしないのよ。お弁当は天皇の料理番が作ってるんでしょ」

「仕事してないくせにね」

「送り迎えも皇太子殿下がやってるのよ。私、何度かみたもん」

「東宮御所には女官がいないんんじゃないの?っていうか、皇太子殿下も働いてないし」

わははっと笑い声が上がったが、すぐさましーーっと唇に指をあてる。

「平日の朝の9時とか昼とかに送り迎え出来る父親かあ。確かにプーだわ」

「夫婦そろって頭おかしいのよ」

「頭おかしいといえば、5月のオール学習院の時はひどかったわね。

あの人達、年長組の合唱を見たらすぐ帰る予定だったのに、屋台にまで出張って」

「っていうか、アイコ様だけ特別扱いで一番前で見てたのよ。他の園児達はみんな

揃っていたのに」

「で、急に予定を変更して屋台で遊びだしたからマスコミが押し掛けて大混乱に

なtったって話でしょ?東宮職がすごく学習院に怒ったって。確かに、あの騒ぎは

すさまじかったけど」

「何で取材なんかさせたのかしらね」

「アイコ様は普通に幼稚園生活を送ってるって証拠を出したかったんでしょ。全然

証拠になってないけど」

「そうそう。入園直後から遅刻ばかりしてくるかと思えば、休みが続いていたしね。

子供の話だと・・・アイコ様ってお箸が使えないんですってね。スプーンもダメらしいわ」

「えーーっ。じゃあ、何でお弁当食べてるの?」

「手づかみじゃない?何でも先生に「幼稚園の規則は厳しい。厳し過ぎます」って

言ったそうだから」

「誰が言ったの?」

「皇太子殿下よ。ご自分も幼稚園に行ってたのにね。あ、彼も出来なかったとか?」

「まさかあ。ナルちゃん憲法ってなんでも完璧だったって姑がいってたわよ」

「じゃあ、しつけの問題なのかしら?まだおむつしてるみたいだし。なのにあんなに

輪の中で女王様のようにふるまえる神経がわからないわ」

「そこはそれ、ハーバード大出で外務省に入った優秀なマサコさまだから」

またきゃははと笑った。

「遠足の時も変だったわよね。雨が降り出したのに、妃殿下だけぼやーーっと突っ立って

シートもしかずに。私達までずぶぬれになっちゃった。妃殿下が傘をささないのに

私達だけさすわけにはいかないって親衛隊が言い出したの」

「雨が降ったら、シート持って木陰に移動するくらい出来そうなもんじゃないの?

優秀なら猶更。なのに、何も出来なくてぼやーーって。女官が慌てて声をかけたら

なんだか妃殿下が怒鳴り散らしてたわよ」

「シート敷くのなんて私の仕事じゃないって言ってたんじゃないの?」

「ありえる。女官さんも気の毒よね。きっと、毎日、あんな風に八つ当たりされてるのよ」

「取り巻きが一杯いるのに誰も助けてくれなかったから怒ってるのよ」

「あの後ね。記念撮影したじゃない。雨だったからバラ園じゃなくて、雨を避けた場所でって」

「うんうん。そうだった」

「そしたら警備している東宮職が「バラ園じゃないのか」って怒りだしたんだって」

「うっそーやだーー何で怒るの?信じられない」

「決まり決まった場所じゃないと動けないとか?ロボットみたい」

「それで!先生が「雨の時は別な場所と決まってるし」と言ったら「残念ですな」って

答えたんですって。週刊誌に書いてあった」

「東宮職何様ーー」

「ほーーんと。私達の税金で暮らしてるくせにねーー私、あの人達の何が嫌って

上から目線で私達を見下している所なの。紀子様達にはそんなそぶり、みじんも

なかったし、私達の税金がーーなんて思った事なかったけど」

「親衛隊がいて大盤振る舞いして、上から目線で命令口調。まるで韓ドラみたい。

ほら、財閥の奥さんって大抵、あんな感じでしょ?」

「うんうん。でもマサコさまって病気じゃないの?」

「病気よねーーでも遊びの時は元気よ。どこが病気なの?」

「赤十字大会の時も、テニスやってたんだって。仕事は出来ないけど遊びは

出来るって。そういう病気あるの?」

「あるんじゃないの?なんだっけ?あの大野とかいう先生が何でも許しているんだもの」

「何をやるのも勝手だけど私達に迷惑はかけて欲しくない。特に写真撮影」

「ああ。ほんと。私達には子供達の写真を撮るなとかいって、自分達はバチバチ

写真を撮り放題してるってあれでしょ?ひどいわよね。運動会になったらどうなるわけ?

私、それが心配。幼稚園の運動会とかって、一生に一度の事じゃない?

ちゃんとビデオ回して写真撮ってあげたいわよ。なのにあの人達のせいで」

「この先ずっと一緒なのかしら・・・・」

 

その時、誰かが「えーーっ」という声を出したので、みな振り返った。

彼女が見ているのは携帯メールだった。

「何々?どうしたの?」

「うん。今、うちの母親からメールきたんだけど。皇太子一家が夏に

オランダ行くんだって。静養で2週間だってよ。母が「マサコ様、今度こそ

お元気になるといいわね」って」

「はあ?静養?で外国行っちゃうわけ?それって病気なの?

飛行機乗れるの?」

「行ってもいいけど、もう帰って来なきゃいいなって」

 

あちらの取り巻きが「きゃーーっ!おめでとうございます!」と叫びだしたので

こちらの皆は思わず黒服たちがいるにも関わらず、そちらをみてしまった。

「お土産買って来るわよーー」

皇太子妃は満面の笑顔でそう言った。

 


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