MXテレビでやっている「ニュース女子」なる番組が面白いです。保守系の人ばかり集めて議論をするんですが、そこで「譲位」を取り上げていました。
で、今、保守派も二つに分かれているようですね。
今回の天皇の「お気持ち」について
① 一代限りの特措法で対処
② 皇室典範附則による特措法
③ 皇室典範改正
と3つの選択肢があります。
高森明勅氏は「退位しないという選択肢はない」と同時に「退位を表明する事は憲法違反ではない」との見識に立ち、③を支持しています。
保守派その1
天皇の存在意義はその血筋である事。「疲れたから体調が悪いから」といって辞められる存在ではない
天皇は祭祀が一番の責務であってその他の事は「出来ない」ならやらなくていい
天皇に人権はない
保守派その2
天皇が支持されているのは祭祀をやるからではなく、国事行為及び被災地訪問などの公的行為を行っているから
天皇に人権を認める。
天皇の「意志」を尊重する事が国民の務め
さあ、あなたはその1ですか?その2ですか?
高森氏はその2、小林よしのりも同じです。
私はその1です。さらに突っ込んでいうと、「天皇は国益に叶う」条件を付けたします。
「その1」と「その2」の違いは何かというと、「天皇は人間か神域にある者か」だと思います。
天皇は人間だという意見
戦後、憲法改正によって天皇は「人間宣言」をし、人間になったのだから人権がある。
人権意識とは
プライバシーがある
好き嫌いがある
行動を自ら起こせる
という事ですね。これに選挙権などが加わったら、これはもう完全に「人間」
天皇は神域にある者」という意見
神域にあるというのは
プライバシーがない
好き嫌いがない
国家安泰の為に祈り、八百万の神に仕えるのが最大の務め
という事ですね。だから当然「普通の人間」ではないのです。
こてを踏まえて。
保守派の多くは「特措法」で対処した方がいいと思っているそうです。
理由は
皇室典範によって「退位」の自由を認めたら天皇の存在意義がなくなるし、奸臣による「強制退位」が考えられるから
天皇の自由意志で退位を認めるのは「象徴」として定める憲法違反
です。
ところが、その保守派の仲にも「特措法ではなく皇室典範改正を」と言っている人がいます。高森氏や小林よしのりのような人です。
理由は
「特措法」を作るにしても時間がかかるのであれば、いっそ皇室典範を改正して1から作り直す方が早い
「特措法」が前例となって、次世代以降の天皇が「お気持ち」を表明する事が考えられる
皇室典範を改正し、恒久的な「退位」法を望んでいるのは紛れもなく今上なので、お心に添うのが国民の務め
あなたはここでどう思われますか?というか、あなたはどちらの保守派なんでしょう。
無論、①も③も反対の人もいます。理由は
①も③も「強制退位」に繋がりかねないし、時間がかかるなら附則で補うのが早い。なぜなら今上の年齢を考慮しなくてはならないので。
実は、「附則」は旧皇室典範の時にも使われました。
皇室典範が出来た当初は「永年皇族制」なんですけど、そのうち5代までという規定が出来たのですが、そうなると伏見宮系はみな失格になってしまうので附則として「〇〇宮家は2代皇族とする」とか「〇〇宮家は特別に創設する」とか、明治天皇VS伊藤博文のバトルの結果、明治天皇が勝った・・・という事なんです。
お金がない明治政府にとって宮家創設は迷惑だと思っていた。
だけど、後継ぎに恵まれていない明治天皇としては、何とか宮家を増やして「男系男子」を確保したかった・・・・だから伏見宮系の2男などに内親王を嫁がせ、宮家を創設させたわけです。もし、大正天皇が生まれていなかったら・・・明治天皇の内親王のうち、一番年かさの昌子内親王が嫁いだ竹田宮恒久王が天皇になっていたかもしれない。
(げっ・・・竹田恒泰先祖です)
無論、その当時は長老格の伏見宮貞愛親王が生きていたので、その意見によって変わったかもしれませんけれど。
また、昭和天皇に男子が生まれていなかったら、三笠宮家の寛仁親王が天皇になっていたかもしれないです。
勿論、旧皇室典範は「附則」が先例としてありますので、ほどよい時期に「王」も「親王」も東宮として立てる方法はあったかと思います。
今みたいに、「皇太弟」の規定がないから秋篠宮殿下は「待遇」に甘んじなくてはならないのでは・・・なんて議論は起きなかったし、「傍系」だとか「直系」だとかに拘らず、とにかく「今上に最も近い血筋、もしくは縁続きの男系男子」という単純な問題でありました。
竹田宮や寛仁親王に比べたら秋篠宮は今上のれっきとした「子」であり、現東宮の弟ですから、「皇太弟」「皇太子」になる事に異論などある筈もないのです。
話を高森氏の論理に戻ります。
彼は学者であり、学歴もすごいし、神道を学んでいる人であるので、私のような素人の意見など歯牙にもかけないでしょうけど、でも、「ニュース女子」を見ていたら、私には彼が保守派に見えなかったんですね。
「え?この人、本当に保守派?」って唖然。
スタジオにいた人達もちょっと微妙な空気だったし。
その最大の理由が
「皇室典範改正は民進党と共産党も同じ事を言ってる。自分の意見を踏襲している」と言った事なんです。彼のくちぶりでは「民進党や共産党の方はよほど両陛下のお心に添っているし保守のようなだ」という風に聞こえたんです。
私はその時「そりゃあなんたって左翼ばりばりの両陛下だしなあ」と思ってしまったのですが(保守派のいけない所は、保守ではない天皇と皇后、皇太子家を擁護する所なんです)
高森氏は「皇室典範改正」を支持しています。
「退位」を認める条件も提示していて、それが民進党や共産党と同じだっていうのです。
天皇の「退位」の意志が明確であること
皇継が未成年でないこと
皇室会議を経ること
ここで「えーー?天皇の意志で退位できちゃうって怖くないですか?」という質問が入ったのですが、その時、彼は
「何言ってるの?保守派はさあ、天皇はそこにいるだけでいいとか祭祀だけやればいいとかいうけど、それだけでありがたいと思っている訳じゃないでしょ?今上陛下と美智子さまは被災地訪問とかやっているわけ、それで国民はありがたいと思っているんでしょ。昭和天皇の時はそんな事をやってないじゃない。
つまり天皇は国事行為と公的行為によって支持されてるわけよ。天皇陛下は国事行為だけやってるわけじゃないんだよ。フィリピンとかパラオとか行ってるでしょ。あれは全部「天皇の御意志」なんだよ。「強いご意思」で実現してきたのに、今更「気持ち」を認めないなんて事できるわけないでしょ」
と言ったんです。仰天したなあ・・・・と、同時に「確かに「天皇の強いご意思」は尊重され続けてきたわ」とも思いました。
「大元帥陛下」であった昭和天皇ですらそこまで「意志」を見せられた事はないのに民主主義下の象徴天皇は「意志」を使って行きたい所に行き、やりたい事をする。
何だかこれっておかしくないですか?まるで左翼じゃないですか。
昭和天皇が被災地に行かなくても十分にご尊敬申し上げてきましたけどね。