上田久美子×荻田浩一(ありえないけど)・・・99%
2013年「月雲の皇子」以来、怖いものなしで突っ走っているのが彼女。
東上する筈なかった「月雲の皇子」を東上させた功績は大きい。
2014年「翼ある人々」でものすごい手腕を発揮。こんなにも朝夏まなとをよく知っている人はいないと思わせる出来栄え。1幕目ラストの衝撃といったらなかったし、脚本は勿論、演出も本当に上手な人なんだなと思いました。
2015年 雪組 「星逢一夜」×「LA Esmeralda」斉藤吉正
(日本物芝居×明るいラテンショー)
2017年 花組 「金色の砂漠」×「雪華抄」原田諒
(和物ショー×アランビアン悲劇)
2017年 宙組 「神々の土地」×「クラシカル・ビジュー」稲葉太地
(ロマノフ王朝悲劇×宝石をテーマにしたショー
どれもチケット難だったわけですが、冷静に見てこの3作品を見た方、芝居とショーのどちらに比重を置きましたか?
つまり「上田久美子さんの作品かあ。絶対に見たい!」だったか「上田さんだし、ショーもよさそう」だったか「チギちゃんだからみたい!みりお君だから見たい!まー様のさよならだからみたい!」
さあ、どれでした?
理由なんかどうでもいいんです。見て面白ければ。
だけどこれを集客率という点で見ると、安定感があったのは雪組でしたよね。
斉藤吉正はショーには定評があるから、仮に芝居がつまらなくてもショーで楽しめるかなと思えるもの。
花組はリスクが高かったと思います。原田諒は出来不出来が激しい作家であり、ショーを作るイメージがなかったし、これでアランビアン悲劇がつまらなかったら目もあてられなかった。
王女様の奴隷がイケメン?同じ部屋で寝起きする?それで手を出すな?何?それ。
拷問じゃないかーーと世の中の男性はきりきり舞いしたに違いなく、女性の方から見ると、絶対に自分に逆らわないイケメン奴隷を好き放題こき使うなんてパラダイス?な話だったかもしれないけどね。
上田久美子作品としては最もファンタジーでしたよね。
で、宙組の方はさよなら公演だから稼働率100%120%当たり前ーーですが。
でも、今後、そういう特別な場合を抜いても稼働率を上げるには、上田久美子さんの芝居にコラボするなら荻田浩一がベストだと思います。
なぜって・・・上田久美子さんにも欠点があります。
それは見る側からしてストーリーが「難しいのではないか」と思わせる節があること。なぜって、彼女がテーマにする題材がそもそも難しいからです。
実際に見れば難しいわけじゃありません。ただ、明るいかと言われるとそうでもなく、わけもなく笑ったり出来る作品でもなく、見ながらじっくりと自分の中でかみ砕いて心を感動に導いていく・・というような楽しみ方をする作品群です。
いわゆるマニアックなんです。
好きな人は好きだけどそうでもない人からみると何が面白いのかわかりづらい。
だから、本来なら全く正反対のキャラを持つ藤井大介あたりのショーがいいかなとも考えましたが、上田ファンはその雰囲気をずっと終演まで引きずりたい人が多いのです。だから、ここはマニアックなショー作家、荻田浩一の極上の世界を上乗せして、幸せな気分を味わいたいです。
これが実現したら、宝塚の歴史に名を残すかも。
今の所、彼女と互角に対峙出来るショー作家は斉藤吉正くらいでしょうね。