最初から最後まで信じられない位ハイテンションで、だからお芝居では身動き一つできませんでした。はあ・・・・
ひかるふる路ー望海風斗による望海風斗ありきの望海風斗のおかげの舞台
一言で言ったらそういう事なんです。
だから生田大和は望海風斗さま様で感謝しなくちゃ。
そもそもあの「ドン・ジュアン」だって日本人には馴染まない支離滅裂のフレンチミュージカルで、それを望海がめちゃくちゃハイテンションで歌って芝居したから成り立ったようなものです。
ロベスピエールだって本来は誰も共感しない人物であり、役としての格はむしろダントンの方が上。それをちゃんとロベスピエールを主役に見せて、いい人から、ダントンに裏切られて「恐怖政治」に走る過程をきちんと見せた望海風斗のお蔭で破綻しなかっただけなんです。
その点、生田大和は反省すべきです。
はっきり言って他の人がロベスピエールをやったらつまんないと思います。
ひかりふる路ー矛盾が多い脚本を望海風斗がさらっとかわした
マリアンヌの両親を殺したのはジロンド派。国王を死刑においやった一言を発したのはサン・ジュスト。この時点でロベスピエールはただ演説したにすぎないのに「彼こそ革命そのもの」と持ち上げる不自然さ。
この場合、国王を処刑にしたサン・ジュストこそ「彼こそ革命そのもの」では?
父が失踪したならロベスピエールは父を恨むはず
だって幼い兄弟が捨てられたんでしょ?同じ職業につくのならむしろそれが「自分らを捨てた父への復讐」となった筈。父に近づく為に人々を幸せに・・というのはおかしいでしょう。
ダントンがジロンド派と繋がっていたならサン・ジュストも
結果的にサン・ジュストもロベスピエールを裏切っていた事になりませんかね。
随分と都合のいい脚本だなあと思いました。
出来ればタレーランが何で生き延びたかを知りたい。出ないとロラン夫人が可哀想で。
でもそんな脚本の欠点を全部多い隠し、徐々に追い詰められていくロベスピエールを見ていると胸が苦しくなりました。
ひかりふる路ー千秋楽でやっと一つになった雪組
東京公演が始まった頃は、まだ二番手オーラがなくて、無理無理明るくしているような雰囲気だった彩風咲奈が、やっとそれなりの「二番手」に見え、ロベスピエールと対等になって来ました。
元々二人は仲良しっていうのがわかるから、掛け合いもツーカーで見ていて気持ちいいのですが、そこまで引っ張り上げたのは望海風斗だと思います。
また、朝美絢のサン・ジュストもかなり表情が豊かになりましたが、私は冒頭の国王の処刑を願うシーンはもう少し無表情でもいいんじゃないかと思います。
彩凪翔のロラン夫人はもはや専科クラス。もう男役に戻らなくてもいいんじゃないか?と。
永久輝せあだけが少々乗り遅れている感じがしました。
東京公演が始まった頃までは上級生も下級生もどこか以前の「遠慮」が見え隠れしていたけど、ここにきてようやく弾けた印象があります。
SUPER BOYAGER-キザるみんな
千秋楽だから・・・というのもあるんでしょうけど、みんなやっとキザり方を覚えました・・みたいな?オープニングからの流れが一気に走っていきつく暇がないという感じで楽しかったです。
SUPER BOYAGER-野口幸作への駄目だし
同じ言葉を使いすぎる
「ぎゅっと」「指を絡ませ」「好きだよ」等々、とにかく同じセリフっていうか、フレーズが多すぎるの。「ぎゅっ」は一回でいいのね。星組でも使ってたでしょ。
指を絡ませ・・・なんていうか、語彙が少ないの。一回限りならいいけど、宝塚はリピーターが多いので、毎回新しい胸キュンフレーズを作ってくれないと困ります。
暴風雪はいりません
はっきり言って口パクってうのは舞台上ではタブーではありませんか?
口パクにしないとダメな楽曲を選ぶ事自体が間違っていると思います。
若手を若手らしく盛り上げたいならもっと他の方法を使わないとそのうち、金返せになりますよ。
後半の一貫性のなさが欠点
その暴風雪からいきなり彩風咲奈のラテンが入って「アンダルシアにあこがれて」から「悲愴」までの一連の流れに一貫性がなく、色がばらばらでフィナーレが少しも綺麗に見えません。
せっかくオープニングから中詰めまではいい流れだったのに。何がしたかったの?
ショー2作目で早くもワンパターンに陥っている野口幸作。若手の筈なのでもっと冒険をしてほしいと思うし、娘役を大事にしてください。
さよなら沙央くらま
最初にコマを知ったのは・・・よくわからないんです。新人公演見てないので。
ただネットで「顔が麻路さきに似ている子がいる」っていうのがこまの事で、どんな子かなと探した気がします。
でも目についたのは「マリポーサの花」かなあ。意外と演技派なんだという事がわかりましたし。ただ背丈が低いのが欠点でしたよね。
勿論「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャは代表作の一つだと思いますが、邪気のない彼女にぴったりの役柄だったと思います。
雪時代も月時代も見ているにも関わらず、あまり役に恵まれた方ではないと思っていました。
雪組「ロミジュリ」の乳母は雪組の中だけみればベストだったけどやっぱり美城れんにはかなわなかったし。そういえば小柄なせいなのか女役も多かったですよね。
でも何と言っても「1789」のダントンはネット風に言うと「神がかり的なかっこよさ」があったと思ってます。髪型も衣装もあんなに似合っていたものはないし、ダンスも本当によかったですよね。
多分、遅かったけどこれが演技開眼だったのかなと思います。
宙組の「シェイクスピア」のリチャードは衣装も似合っていたし、上級生として見守る系でとてもよかったですし、「HOT EYES」でもはじけてました。
「信長ー下天の夢」の足利義昭はどこからみてもずる賢いお公家様でとてもいい味を出していました。
「ALL FOR ONE」のモンパンシェ公爵夫人は、いてもいなくてもよさそうな役柄でしたけど、自力で役を開拓し存在感を見せつけました。
そして今回のデムーラン・・・これまたあまり存在感のない役なんですが、自力で役を広げ、さよならとあいまって涙を誘いました。
下級生の時から知っているジェンヌが退団するというのはとても寂しいです。
特に沙央くらまはいるのが当たり前で、どの組にとっても名バイブレーヤーたる人物でした。惜しまれるうちが華とはいっても、出来ればずっとこのまま専科で頑張って欲しいという気持ちはありました。
でも外の世界でも十分にやっていける実力はあるし、幸せな結婚もしてほしい。
しあわせになって欲しいという思いを抱かせるに十分な素敵なタカラジェンヌでした。
ありがとう。そして頑張ってね。