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ドクトル・ジバゴ

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2月22日に姫ちゃんと一緒に見て来ました

 姫ちゃんの率直な感想

「ドクトル・ジバゴって最低の男だよね。

奥さんがいて妊娠中なのにラーラの事を好きになるんだよ?

雨の日にアパートに誘われても断るべきだったじゃん!

傘だけ借りて帰ればいいのに、泊まったら絶対そういう事になるでしょ?

私、ラーラもラーラだと思う。

最初はコマロフスキーに暴行されてパーシャにも冷たくされて可哀想と思っていたけど、ああいう風に簡単に男を自分の部屋に入れるっていうのは、ああ、元からそういうムードがある女なんだなって思っちゃうもん。

それにパーシャもさあ、そんな風に疑って別れるんだったら最初から結婚しなきゃよかったじゃん。

一度、手紙が来ただけでそこまで疑う?まるで「リラ壁」のベニーだよ・・・コマロフスキーさんはさあ、最初はすごく嫌な奴だと思ったの。

だって自分の身の回りを全部ラーラのママにやらせてさあ、しかも娘まで手にいれるってどうなの?って。でもなんで最後は嫌われているのわかっているのに救うの?なんだかトーニャが可哀想すぎて。あんな馬鹿な男に最後まで優しく出来るってどうよ」」

 ふぶきの史上最低男3人への擁護

「あのね。姫ちゃん。恋というのは理屈じゃないの。感情をコントロールできない恋もあるのよ。だって好きになる事を止められるわけじゃないからね。

ジバゴはラーラが初恋だったのよ。

トーニャとは恋愛じゃなくて・・もっと違う感情?

多分、トーニャもそういう意味ではジバゴに恋してないから優しく出来るみたいな?多分、ドクトル・ジバゴとコマロフスキーさんは男性からみた理想の男性だと思うよ。

片手に貞淑で可愛い妻、もう片手に魔性の女。正反対の女性を手に入れているし。コマロフスキーみたいな女性への扱いもやっぱり男からしたら一種の憧れ。

でもコマロフスキーさんは結果的にラーラを本当に愛していたから、命の危機が迫ったその時に損得勘定なしにラーラを救いたいと思ったんじゃないかなあ。

パーシャはね・・男ってそういう生き物なんだよね」

「ママ・・さっきからずっと庇ってばかりだけど、私、絶対にドクトル・ジバゴは許せない男だと思う。

だって不倫だよ?不倫!妊娠中の妻を置いて不倫してるんだよ?なのにトーニャは子供にユーリって名付けて・・ああ!信じられない。私には無理無理無理」

「まあ、それは・・恋愛経験ないから言える事なんじゃないの?」

姫ちゃん、黙る・・・みたいな会話を延々と続けながら帰って来たのでした。

 矛盾だらけの脚本だけど

正直いって、去年から宝塚はずーーーっと「革命」続きなのよっ!

「スカーレット・ピンパーネル」から始まって「神々の土地」「ベルリン・わが愛」「ひかるふる路」そして「ドクトル・ジバゴ」

正直いって、もういい加減にしてくれーーと思います。

おかげ様で米ソ冷戦時代に子供だった私は、あらためて共産主義、社会主義、ファシズム大嫌い!ボルシェビキもパルチザンも恐怖政治も嫌いだーー!と心に固く思ったのでありました。

いわゆる極左思想って「しかえし」思想じゃないの?

金持ちに生まれなかったから、金持ちを殺してやるみたいな?いや、原田諒のロシア革命による赤軍の描き方がそうだっただけなんだろうけど。

日露戦争が起きて、皇帝が退位して第一次世界大戦が起きて・・シベリアに臨時政府だっけ?原田君は、その時、ソ連がどんな手を使って日本の領土を奪い、大陸を侵食して結局、日本が満州の防衛に向かわなければならなかったか知らないだろうなあ。

上田久美子さんの革命の描き方は、それでも宝塚らしいロマンがあったし、ちょっと古き良きロシアを経験してみたいと思わせるものがあったけど、こっちはやたらリアルにしようとするばかりで、そんなにリアルにしたいなら宝塚でやっちゃだめだよと思ってしまいました。

一番つかめなかったのは「距離感」なんです。

モスクワからウクライナ、モスクワからジバゴママの別荘がある村、そこからラーラがいる村、そしてシベリアからラーラがいる村。

全く距離感が掴めないので「え?ロシアって広いよね?そんなに簡単にあっちこっちに行けるの?」みたいな間隔に。特にシベリアからどうやってラーラがいる村まで戻ったわけ?4日間寝てただけで復活出来るものなのか?とか。

2幕最初の列車風景は綺麗だったけど、それ以外の距離感が雑すぎて・・

そうそう、ジバゴママの別荘からウラジオストクまではすぐに行けたんだろうか?赤軍はどれくらいの時間でジバゴのいる場所についたのか?とか、どうでもいいような事が気になってしまって。

原田諒はやたらキスシーンに8章節だっけ?頭の角度、顎の引き方など、事細かに注意したようですが、それをなぜ脚本に行かせなかったのかなと思います。

1幕目はまあ、いいけど2幕目はまたぶつ切りの場が多すぎる展開になっていたし、人の描き方も浅かった・・・・トーニャに何度も「私は大丈夫よ」なんて言わせるんじゃありません。セリフの重複はやめよう。

場面転換が盆などを使えないからって舞台をぶち切ってカーテンで仕切って2場面同時進行ってちょっと素人っぽくない?それを1場面で済むような脚本を書くのが原田君のお仕事なんだよ。

観客の目が左右どっちを向いたらいいかわからない場面はなるべく作らない方がいいと思うの。集中力がそがれるから。

ジバゴとラーラのベッドシーンもあまり品がいいとはいえず。私だったら暖炉の前で二人が毛布にくるまって会話する朝を描くなあと思ったり。そっちの方がずっとロマンチックだもの。

キスシーンの長さよりシチュエーションだよ。

それと宝塚の場合は、主役や重要人物が登場する時は、1拍置くべきだと思います。さりげなくそこにいましたーーっていうのは上下関係が厳しい宝塚ではありえないです。

 宝塚の観客は女性が多い事を認識しているのか

原田諒 に言いたいのは、彼が自分が描きたいものを選ぶときに、観客層というものを認識しているのか?という。キャパもニジンスキーもアル・カポネも女性からみて魅力的かどうかって部分が欠落しているのです。

ドクトル・ジバゴはその最たるキャラクターで、こんなに共感できない役を主役にすえて、一人の女性を巡る男3人が揃いも揃って女性からバッシングを受けちゃうっていうのは問題じゃないか?

「だったらバレンシアの熱い花はどうなる?琥珀色の雨にぬれてはどうなる」と言われそうですが、いやーそれとこれとの違いをわからずしてどうする?

柴田作品には色気とロマンがあるから許せるのよ。原田諒にはそれがないからダメなのよ。キスシーンを長くする事よりシチュエーション!!!

 

 大丈夫か?轟悠

そういえば、専科になって轟さんの生を見るのは初めてなんですが、まず最初に「声」が・・どうしちゃったの?風邪でも弾いているの?ポリープでも出来た?みたいにしわがれてあの朗々としたセリフや歌が出てこない。

びっくりしちゃって、これで2時間我慢は辛いなと思っていたら徐々に治って来たのでまずまず あーでも痩せすぎで頬もこけちゃって喉の線も出ちゃって。こんなんで「凱旋門」まで体が持つのだろうか?と心配に。

病気でないなら摂食障害か?

そんなわけですっかり「主役」オーラが消えちゃってる事に驚いてしまいました。

そもそも共感できるキャラじゃないしなあ。

 主役は天寿光希

いやーー出て来た瞬間からものすごい「ワルなおじさまオーラ」が感じられて、ラーラママに「待ってて」と言われて「君がいないのに?」なんてセリフを吐く、まあ女ったらしだよなあと思っていたら、その娘を奪っちゃうんだから

ひょえーー

パーティでラーラに撃たれてからのセリフと演技は完全に轟悠を食ってました。

発音がいい、声がいい、びしばしとメリハリ効いた演技がいい、目が離せなくて彼女ばかり見てしまう。

考えてみればお遊びで娘をてごめにしてしまったけど、本当は撃たれたらラーラを警察に渡して殺してもいいくらいだけど、ここの庇い方がまたすごくて・・・だからやっぱり本当は彼女の事、本気だったんだろうなあと思います。

我が家の姫は「ラーラがコマロフスキーを殺して自分も死ぬつもりだったなら許せるけど、そうじゃないなら許せないわ」

と言ってました。

2幕目ラストの、必死にジバゴを説得する時の緊迫感が半端なく、こんなにも愛しているラーラがジバゴにすがりつくのをただ黙っているしかない男の悲哀を感じましたね。

間違いなくこの話の主役は天寿光希でしょう。

「ベルリン、わが愛」でも頑固で融通のきかないオジサン役でしたけど、原田君的には「最後に救ってくれるキャラ」として天寿はいなくてはならない存在なのでしょうね。

そうそう、天寿の「スパシーバ!」は印象的でしたよ。

 瀬央ゆりやは頑張った

それしか言いようがないパーシャでした。1幕目の優しい学生だったパーシャが赤軍の鬼将軍となり、やがて死に至る・・こんな悲劇はないし、セリフとしてラーラへのこだわりをあまり描いてくれなかったから大変だったとは思いますが。

死ぬシーンがあまりにリアルで。そこでする必要あったのか?と思う程です。

でもこれで瀬央ゆりあの一つの代表作が出来たのでは?

 有沙瞳はそこまで魅力的だったか?

タイプの違う3人の男に言い寄られて娘役冥利に尽きる彼女ですが、そこまで美人じゃないし、魅力があるかどうかわからないです。

これが白城あやか級の美女ならしょうがないかなあと思うけど。

衣装も地味だし、顔も意外と地味だよねーーと。だから尚更、男たちが狂っていく意義がわからなくなったんだと思います。

 大人の演技も出来る小桜ほのか

小桜ほのかといえばちっちゃくて可愛いし、子供っぽく見えるけど人妻になってからの彼女はしっかりとした貞淑な妻としてとても魅力的でした。もう少しトーニャのセリフや感情表現を+するような脚本だったらなあ。

こんな可愛くて優しい妻よりラーラを選ぶジバゴがわからん!という意味もわかります。

 天華えまの明るさに救われた

どうってことない、主役のお友達なんですが顔が派手で華やかでほっこりするんですよ。あの暗いストーリーの中で癒しをありがとう。

 紫りらは可愛いだけじゃなかった

ただのお針子から党の重要幹部にご出世。怖い怖い。背が低いのに2倍くらい高くなった感じで、こういう役も出来るんだーーと目からうろこ。

他には天希ほまれのワーシャが可愛らしかったです。

 

ああ・・何だか「凱旋門」が思いやられるなあ。

 

 


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