石原信雄元内閣官房副長官
① 御代替わりに伴う式典全般についての留意事項
平成の御代替わりのときは、各式典が、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものとなるよう検討を行った。
国事行為として行う行事は、憲法と矛盾することがないようにし、伝統を重んじる行事は皇室行事とした。
大嘗祭については、政教分離の観点から皇室行事とするが、費用は支出することとした。
毎回・・・といても過去1回ですが「政教分離」の視点から、「こっちからは国の行事でこっちから先は皇室行事」とわけているのですが、天皇が存在する事自体、深く考えれば矛盾しかないわけで。
創価学会を有する公明党が与党になっていr矛盾を思えば全て「国の行事でいいのではないかと思います。
②天皇陛下の御退位に伴う式典の在り方
退位の儀式は国事行為として「国の儀式」として行うべきだ。
退位の儀式と即位の儀式を同日に行うという意見もあるようだが、皇室典範特例法上、4月30日の24時に天皇陛下が退位され、皇太子殿下が5月1日の0時に即位されることが決まっているのだから、法的に同日というのは無理だ。また、皇位の継承に空白もない。
国事行為は国民のために行う儀式で、深夜に行うようなものではない。明るい時間に行うものだ。大嘗祭は深夜に挙行されたが、皇室行事だからであって、国事行為として行う以上、国事行為としてのスタイルで行うべきだ。
退位の儀式で剣璽等をどのように扱うかということが問題となっているようだが、即位礼正殿の儀では、高御座の中に剣璽等を安置した。
剣璽は皇室経済法にも規定がある「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」で、神器ではない。皇位の継承時に、皇位とともに伝わる由緒物が、天皇陛下のお側に安置されてあってもおかしなことではなく、政教分離とも関係ない。
③ 平成の御代替わりに際して行われた式典に対する評価、見直すべき事項
平成の式典は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものとなるよう十分な検討を行ったものなので、それを踏襲するということが基本となるだろう。
剣璽等承継の儀と即位後朝見の儀では、中1日を空けたが、これは、御喪儀等の準備があったからであり、今回はそのような事情にないのだから、日を空ける必要はないのかもしれない。
即位礼正殿の儀では、伝統を踏まえ高御座を使った方が良い。退位の儀式には使う必要はないだろう。
即位礼正殿の儀から大嘗祭までの日程に余裕をもたせるという意見もあるようだが、確かに饗宴の儀などは連日行われ大変だった記憶がある。
内閣総理大臣夫妻主催晩餐会では、来日いただいた外国元首、祝賀使節等に歌舞伎と能を披露したが、外国の方には歌舞伎の方が受けが良かったようだ。
④文仁親王殿下が皇嗣になられることに伴う式典の在り方
皇太子ではなくとも、皇太子と同様のお立場になられ、皇太子と同様の御活動をしていただくのだから、そのようなお立場になられたということを明らかにするための儀式は行うべきだ。
⑤その他
天皇陛下は御退位されるまでには、天皇陛下としてのお務めを果たしていただき、御退位された後は公的な御活動はなさらずに、プライベートな御活動をなされるのが良いだろう。
上皇の「プライベートな活動」とは一体なんでしょうね。
園部逸夫元最高裁判所判事
①御代替わりに伴う式典全般についての留意事項
御退位及び御即位の式典の在り方については、平成大礼の際と同様に「憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したもの」とすべきと考える。
御即位の式典は、原則として現行憲法下で行われた平成度の在り方を踏襲することがふさわしい。ただし、式典の日程については、皇室関係以外の国の諸行事の日程や大嘗祭の日程なども勘案するとともに、天皇皇后両陛下の御負担にも配慮すべき。
②天皇陛下の御退位に伴う式典の在り方
「憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重した」ものとしつつ、国事行為としての儀式を行うことがふさわしい。
憲法の趣旨に沿う観点からは、国民主権原則に沿うこと、象徴にふさわしい在り方であること、政教分離原則に反しないことなどが求められる。
皇室の伝統等という観点からは、光格天皇の例などを参考にすることが大切であると考える。
式典の名称は「退位の礼」と称し、その中心の儀式として「退位を公に宣明されるとともに、その退位にあたり国民の代表が感謝の挨拶をする儀式」として実施してはどうか。また、中心となる儀式の名称は「退位礼退位宣明の儀」「退位宣明の儀」「退位礼正殿の儀」などが考えられる。
退位の礼の中心となる儀式には、三権の長を始め国民の代表と退位前に会われる儀式を含めることは可能であり、独立して朝見の儀に相当する儀式を行う意義は大きくない。祝賀御列の儀に相当する儀式も、退位の意義に鑑みれば、あまり馴染まず、その必要性は大きくない。
○ 退位という事柄の意義や天皇皇后両陛下の御年齢を考慮すれば、御退位の中心となる国の儀式のほかに多くの行事が行われることは、あまり適切なことではない。
○ 上陛下が皇位にあられるうちに、いわば剣璽等を手放されるように見える趣旨の儀式を行う必要はなく、また、ふさわしくない。ただし、御退位という重い事柄に際して即位礼正殿の儀と同様に剣璽等を奉安されることはふさわしい。
儀式を行うに当たり、法的根拠はなくとも問題はないが、即位の礼や大喪の礼と同様に、法律上の根拠を置くべきであったとの議論はあり得る。
園部逸夫元最高裁判所判事
儀式の実施時期は、今上陛下が御退位になる平成31年4月30日がふさわしい。なお、「国民のために」行われる(憲法第7条)国事行為として「退位を公に宣明される」儀式であることに鑑みれば、深夜に行うことがあってはならないとまでは思わないが、賛同はできない。
儀式の実施場所は「正殿松の間」がふさわしく、「天皇陛下のおことば」「内閣総理大臣の感謝・挨拶」といった内容を含んだ次第が考えられる。
③ 平成の御代替わりに際して行われた式典に対する評価、見直すべき事項
基本的に平成の御代替わりに際して行われた儀式を踏襲することがふさわしいと考える。「即位礼正殿の儀」「祝賀御列の儀」「饗宴の儀」が国の儀式として行われたことについて、特段の異論はない。
ただし、平成の大礼の際は、即位礼関係の儀式と大嘗祭関係の儀式が途切れることなく続き、天皇皇后両陛下に大変厳しい日程をお願いしたところであったと見受けられ、新天皇陛下の大礼に際しては、それぞれの間に余裕がある日程にされることが望ましいのではないか。大嘗宮の儀の日程は、皇室が伝統に沿ってお決めになることであるが、即位の礼の期日については、それらのことも勘案しつつ決めることがふさわしい。
剣璽等承継の儀は、御即位当日の5月1日に行われることがふさわしい。また、即位後朝見の儀については、その後の日程も勘案し、剣璽等承継の儀と同日に行われることがふさわしいのではないか。
今回の御退位に伴う御即位の際の剣璽等承継の儀は、新天皇が御即位の当日、新天皇主宰の国の儀式として、前天皇(上皇)が御臨席されることなく行われることがふさわしい。
平成の即位礼正殿の儀における参列範囲(約2500人)は、宮殿の広さから見て、やや無理があり、2000人より少ない方が良いのではないか。また、大嘗祭との日程の間に余裕を持たせる観点から、饗宴の儀の開催期間はできるだけ短くすることが望ましいのではないか。
④ 文仁親王殿下が皇嗣になられることに伴う式典の在り方
秋篠宮殿下がなられる皇嗣は、皇室典範が定める皇嗣であることに加え、「皇太子の例による」特別な皇嗣であるから、秋篠宮殿下が皇嗣であることを公に告げられる儀式は国の儀式として行われることが望ましい。
儀式の名称については、「皇嗣」を「立てる」という意味が含まれるよう工夫することが良い。
実施時期については、御即位に伴う諸儀式が一区切りとなる時期で、ふさわしい時期とすれば良い。
儀式の内容については、現行憲法下で行われた二度の立太子の礼が参考になると思われるが、必ずしも同様に行われなければならないものとは思われず、時代や国民意識の変化なども勘案し柔軟に対応することが望ましい。
⑤その他
御在位30年の記念行事を平成31年1月7日以降に行うのであれば、御在位30年をお祝いするとともに、間近にせまる御退位に向けて国民の気持ちを反映した行事という在り方になるのではないか。
まあ・・あまり取り立てて反論する事もないけど、どうしても秋篠宮の「皇嗣」に関する部分だけがもやもや。
皇室典範には「皇嗣」なんて称号はないんだし、「皇太弟」でもいい筈です。何だか吉野に隠遁する天武天皇のイメージがあるから嫌なのか?とも。