土曜日に姫と行ってまいりました。
席に坐った時、2つ前の列がいやに騒がしいなと思ったんです。だって「きゃあー久しぶりー」とか挨拶しまくっている集団、っていうか30代とか40代の女性が多々いて、「うるさい」と思ったんですけど、よくよく顔を見てみると・・・あれ?何だか見たことある!野々すみ花?陵あきの?はっちゃん?十輝いりす?陽月華?和央ようか?大峯麻友?春風美里?美郷真也・・・・とにかくずらーーっと、名前を思い出せないけど、全部宙組の卒業生でした。しかも並びも全部学年順。
テレビであんなに活躍している野々すみ花が地味にひっそり座っているなんてね。
卒業生総見って所で、休憩時間には大急ぎで楽屋へ行こうとする和央さんと我が家の姫がぶつかりそうになる始末で。何だか関西のノリでしたし、目の保養でした。
天は赤い河のほとり
正直いって、何でこの作品を選んだかな・・・似たような話を作っちゃえばよかったのにって思いました
中身が薄っぺらい、薄っぺらすぎてもはやけなす事も出来ないよ。
だって「胸キュン」シーンだけはしっかり作ってあるんだもの。
そもそもヒロインがカイルとラムセスに愛され、取り合いされ、いつも拒否ってる図というのは見てて飽きます。カイルは王子様なのに肝心な時に活躍する場面なし。
弟が殺されても腹心の部下が殺されても、綺麗さっぱり忘れちゃったように見えるし、カイルの兄達は何を考えているのか?と・・
ここは王妃様達は全部抜いて、兄弟同士の話にすべきだったのでは?
桜木みなとが早々に舞台から消えた時にはびっくりしてしまいましたし、愛月ひかるが何を考えて寝返ったのかもわからないし・・・お姉ちゃんを愛してた?ユーリには心を開いた?ここらへんからめちゃめちゃ。
最終的に「戴冠式をやりたくてこの話を作った」と言われて納得するしかないのかも。戴冠式の衣装も、もうちょっと派手でもよかったかも。白じゃなくてキンキラキンでよかったよね。
ただ、この話をナキアとネフェルティティの「どうして二人は権力に固執したか」という視点で描き直すとそこに絡む王子達が翻弄されて行き、面白い話になったのではないかと思います。
ナキアもネフェルティティも好きではない相手と政略結婚させられて、その子供を産まされたわけです。
その結果、夫である王をないがしろにし、あるいは暗殺して自分が権力を持ち、あるいは自分の息子を王位につけようとする。ちょっと内容を忘れてしまったけど芹香斗亜がいいセリフを言ってて、私としては
「だから美智子皇后や雅子さんがその地位に固執するのか」と思ったり。ただ、日本には正常に戻そうという地からが全然働かないわけですけどね。
観客も主役の真風涼帆の話よりも王妃方の悲しい恋物語の方が共感できたと思うのです。
今回、話もめちゃくちゃだけど真風も芹香も表現力が乏しく、ト書きに書いていない部分をどう表すかという点について一切考えていない事がわかり、ある意味、がっくりです。お披露目だから、まだ初心者マークだからという点を差し引いても、ちょっとこれは問題じゃないの?
星風まどかの小柄さは回りに埋もれてしまうし、こんなに子供っぽいと映美くららの二の舞、野々すみ花の二の舞だよーーと心配になります。
シトラスの風
ミラーボールが回り始めた途端、元ジェンヌ達が「おおーーっ!」とどよめき、幕が上がった瞬間、拍手で大興奮でした。それをみている事が面白かったわ。
我が家の姫にとっては「初生シトラスの風」で感動したようです。そっか、あの時はまだ小さくてビデオでばかり見せていたんでした。
そういう私も「初生ステート・フェアー」で「ラ・カンタータ」をビデオでしか見てなかったと。
あれから20年ですか。宙組発足時には生まれていない子も観劇しているし、あの簡易的な1000DAYS劇場を知らない人も多いのですよね。
1000DAYSが狭かったせいなのか、あの頃の宙組が本当に背が高かったせいなのか、今回の宙組は全員が舞台に乗っても、どういうわけかスカスカ感あり、で何で?どうして?と考えてばかりいました。
オープニングは思い出が多く、OG達も手拍子したりして盛り上がり、でもその後は、いわゆる「岡田ロマンチックレビュー」の切り貼りが続き、そうなるとやっぱり初演はこうだったとか、あの頃はどうだったとか、そんな事ばかり頭の中で考えて、肝心の目の前にいるスター達の本質を見逃してしまいそうになります。
ほとんどパステルカラーの後に、唐突に出て来た「ダンディズム」の曲と衣装にちょっとびっくり。芹香斗亜のせいじゃないけど、あれは合わないわ。
「SOUL SPIRITS」は組長が主役みたいなものだし・・真風がどうのって話じゃないですよね。
「アマポーラ」は華やかで穏やかで好きです。
「ノスタルジア」は髪型といい衣装といい、一生懸命に花總の真似している星風まどかが気の毒ですけど、あの時、婚約者を演じていた和央ようかは芹香斗亜にどう思ったでしょうね。
「明日へのエナジー」にはOG達の興奮と盛り上がりが半端なくて、ついついこっちも見入ってしまうのですが、やっぱり人数が少なく見えたし、出雲綾のような声があまり聞こえなかった事が残念。なんで純矢ちとせにもっともっと歌わせなかったんだろうと思います。
最後の「SUNRISE」がいわゆる「20年目の宙組は新たな夜明けを迎えた」ということで、セットも衣装も美しく、真風のお披露目にふさわしい場面になって嬉しかったです。
20年経過し、宙組はまた元の寄せ集めに戻ってしまったような気がします。
宙組が発足した当時、それぞれの組カラーを強く持つ人たちが集まって、なかなか見ている方もすっきりしない部分があったんですね。
特に姿月あさとと花總まりの相性の悪さが目立って、そこに歌が和央ようか、湖月わたるという「背が高くてかっこよくてダンスも上手だし歌もそこそこ、でも表現力に欠ける3人組」の存在によって、組の雰囲気が氷のようだと思った記憶があります。
ばらばら感はずっと続いていたけど、大空祐飛と朝夏まなとによってかなりまとまったと思いました。でも真風涼帆率いる宙組は「かっこいいけど表現力がイマイチなトップコンビと2番手」による初心者マークというよりは未熟さの目立つ組で、芹香斗亜の存在がまだ馴染んでいない事もあり、初期の宙組に似ていると思った次第。
まして今回は「お客様」扱いの星条海斗もいて、なんでこの組でさよならを決めたかなと残念に思うことばかり。
ただかっこいい男役をさらにかっこよく見せるには「胸キュン」シーンを多用するしかないのかもしれないけど、それではいつまでもおこちゃまの組で、セリフの裏の気持ちを表現出来てこそ本当の男役であり、娘役であるということに早くきづいてほしいですね。