姫ちゃんいわく「今年の運を使い切った」そうでございます。
今回はとにかくチケットがとれなくて、「ついに・・落ちたか」くらいな気分でライブビューイングに期待をかけていたところ、姫ちゃんが貸し切りで最前列の右端ゲット!
いやーー最前列なんて雪の「ロミジュリ」以来のことでございました。最前列に文句を言ってはバチが当たりますが、真ん中が見えません。銀橋にずらりとならぶとトップが見えません。舞台全体を見渡したわけじゃないので、感想は期待しないでね。
凱旋門
私、初演を見ております 好きな作品でセリフをいくつも覚えています。
当時の雪組で私のごひいきは立樹遥でしたので、東京で番手アップして嬉しかったです。
さて、初演の「凱旋門」は先に「デパートメント・ストア」という短いショーがあって芝居はその後、当然フィナーレもついておりました。
香寿たつきに助けられていたものの、轟悠は発展途上の男役で完璧にラヴィックを理解していたとは思えなかったし、無論、月影瞳のジョアンも同様だったと思います。あの頃の轟悠は「恋に溺れる」役なんて絶対に合わなかったし、クールで「黙って俺についてこい」タイプに見えましたので、ジョアンに翻弄されるというのが今一つピンと来なくて、ただただ暗くて考えさせられる作品という印象でした。
じゃあ、何で好きになったかって。やっぱり寺田メロディというか、主題歌もそうですけど「いのち」も「金色の雨」も好きで、その音楽とパリの雨、そしてカルヴァドスが私達を当時のフランスに導いてくれたからだと思います。
でも専門家的にはこの作品は、今一つで謝先生への演出がちょっと・・・という意見が多かったんです。その理由は
ラヴィックが収容所へ行って終わるのではなく、その後のパリ解放まで描いて何とラヴィックは生きていたから
フィナーレの白い鳩をイメージする衣装は「平和の象徴」だけど、「凱旋門」はこれから平和でなくなる世界を描いているんじゃないのか?
とまあ、そういう意見で、でも私はこの評の意味があまり理解できなくて「いいじゃない?ラヴィックが生きていたんだし」とか「白い鳩」のシーンは大好きだなと思っていたんです。
今回、この二つのシーンがカットされた事で、よりリアリティがあり、ラヴィックの自己犠牲と正義感を見せつけられたような気がして「なるほど」と思いました。
また、ボリスの望海風斗がストーリーテラーになった事でより話がわかりやすくなったと思います。さらにいうなら当時あった「もう一人のラヴィック」や黒い羽根を持ったゲシュタポなどが登場しない分、ストーリーが単純化されてよかったと。
ただ、マルクス・マイヤー・ローゼンフェルト・ボリスの3人が暮らすホテルの中の人間模様があっさりしすぎて見えました。特に上記3人は生き方が全く違うし、あまり接点もないんですが、初演では昔からの知り合いって感じでしたし、マルクス・マイヤーもそんなに悪役には見えなかったんですが。
そういえば、この作品は博多座で絶賛されてて、そっちを見たかったなあ。フィナーレがよかったんですって。
轟悠 → 初演に比べると本当に優しい表情をするようになりましたし、ジョアンにメロメロなんだなという事がよくわかります。初演の轟悠は一体何だったんだ?と言う程で、恋愛下手な男が中年になってやっと愛し方を覚えた?って感じです。
それにラヴィックってこんなに人がよかったっけ?同じように演じているのに初演の時はこんなにお人よしには見えなかったなあ。今のラヴィックなら簡単に悪い女に騙されて400万くらい簡単に取られそうです
特にジョアンに堂々と浮気されているのに、不機嫌な顔は一瞬だけで後は回りがいくら言っても聞かないんだろうなというくらいおぼれている雰囲気が・・・それゆえに、復讐シーンは要らなかったんじゃないかと思います。
だって、彼女に浮気されても自分勝手な事を言われても耐え、病人とみれば敵でも助けるような彼がシュナイダーを撲殺するというのが信じられなくて。今のラヴィックなら許すんじゃないかと。知らん顔して人生を別に生きるんじゃないかと。
初演で「もう一人のラヴィック」がいたからこそ成立した撲殺シーン。よけいだったよなあ。
演技は完璧だったけど、その分歌が・・・ 高い音になるともう駄目で見ていられない程でした。
真綾希帆 → 初演の月影瞳のジョアンはそんなに悪い女性には見えなかったんです。多少なりとも理性を持った女性に見えたし、何となく憎めなかったんですが、今回、彼女のジョアンを見て本当に嫌な女だなと思ってしまいました
考えてみれば出会いのシーンから他力本願で、相手の立場を一切考えず自分の寂しさと喜びだけ主張するんですよ。多分初演のラヴィックが結構冷たい人だったから、ジョアンに同情出来たのかもしれませんが、今回のラヴィックは本当にいい人だしジョアンの為に必死なので、そんな彼が国外追放になって数か月帰ってこないだけでもう他の男かいと・・・特に電話で「あなたがいなくなったらあたしはどうしたらいいの」と不安げな顔をするんですが、それが本当に自然で・・・ああ・・いるなあ。こういう女と。女性からは嫌われる女性ですね。おまけに真綾希帆はめちゃくちゃ可愛いのでアンリに愛されるのもやむなしですから。
真綾希帆のジョアンはどこまでも天然で人の気持ちがわからない娘なんですね。
望海風斗 → 初演で香寿たつきが演じたボリスはここまで大きな役ではなかったんですね。しかもボリスと対等というか、どこか冷めているというか、特に「女は行きずりに決めている」というセリフを香寿たつきが言うと、心底許せなくなるというか「女を馬鹿にするなよ」と思うのですが、望海風斗がいうと「まあ、癒しが必要だよね」と思ってしまう。二人のキャラの違いでしょうか。
望海風斗のボリスはどこまでもラヴィックを助ける人、友人、親友でした。歌声も素晴らしくトップらしかったです。
彩風咲奈 → 初演では3番手が演じる役ではなかったんですよ。開戦の知らせに新聞持って登場することもなかったですし。華やかさという面では立樹遥のような持って生まれた華はないし、貴城けいのような品格もない。ただ、彩風咲奈個人としては好感が持てる人物ですよね。
ただ、ジョアンを撃ってしまう程彼女に執着しているようには見えなかったし、「助けて下さい」というシーンも遠かったせいか言い訳めいたというか。
朝美絢 → 初演は安蘭けいで東京では朝海ひかるが演じていたんですね。東京の印象がないっ 当時のだんご3兄弟の中では突出した役柄ではありますが、セリフが少ないですし、アーサーだとあまり亡命者という感じもしませんでした。ただ二人のラブラブ感は伝わって来たので。
煌羽レオ → 初演は成瀬こうきが演じたスパイですよね。あまり怖さは感じなかったんですけど。成瀬は演技力があって、まさに「死の鳥」に見えたんですけどね。
Gato Bonito!!
一言でいうと伝統的な宝塚ラテンショーで安心したという感じです。なんせ前回がめちゃくちゃな「キラールージュ」でしたので。音楽、振付、衣装、全てに統一感があるというのは好きです。
最前列で見ていると、しかも端っこの席でしたので下級生が一杯出てくるでしょ?可愛い子が何人もいて、でも名前がわからないなーなどと思ってプロローグ。
何でいきなり組長が歌う?どうして?今更組長が歌うの?もっと綺麗で歌える上級生がいるんじゃないでしょうか?悪いけど組長は・・・・
それにロケットの時に延々と彩風咲奈がいるので、最近のロケットの振付じゃなく今までの「普通」なロケットでした。振付に若央りさを多用するのはやめてね。
どのシーンも力一杯で楽しかったけど「猫」って言われてもそういう「しなやかさ」とか「こずるさ」とか「かわいらしさ」は感じなかったけどな。
期待してたヤン先生の振付も大したことなかったですしね。猫祭なんて完璧に下手から上手に抜けていくだけーーそれでも楽しいのが宝塚ですけど。男役のレオタード姿にはまいりました。特に朝美絢の背中が丸見えでそれがまた妙にセクシーで、汗が光っててドキドキしちゃいました。彩凪翔も女装は似合う方ですがやはりアーサーには叶わないでしょう。他は論外。
どこのシーンかなあ。「激しい猫」かな。彩風咲奈が着ていた衣装と髪型が「CONGA」の壮一帆そっくりで笑ってしまいました。藤井先生、しつこいけど自分の作品をパクるのはやめなさいって。
ショーの最初の方で、暗闇の中でぱあっとスポットライトが客席を照らし、それが目に入って一瞬見えなくなったんですが、そこに笑顔の望海風斗が登場して「かっこいい」と思っていたら、降りてきてもろ目があってしまい・・・その時の私は「乙女」の顔をしていたらしく、隣の姫ちゃんに笑われていたんですって。
どういうんだろ、乙女の顔って。
姫ちゃんはフィナーレで綾鳳華が目の前に来てくれたのでご機嫌でした。
とにかく全体的にとっても面白いし、お勧めだし、見てよかったです。