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宝塚歌劇にとって平成とは何だったのか  5

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 新専科制度スタート

平成12年6月1日、突如発表された「新専科制度」

これにより当時各組の2番手と3番手が全員「専科」に配属

花・・・匠ひびき・伊織直加

月・・・紫吹淳・初風緑

雪・・・香寿たつき・汐風幸

星・・・絵麻緒ゆう・彩輝直

宙・・・湖月わたる・樹里咲穂

一体何が起こるのか全然わからず、専科に配属された生徒自身も戸惑っている様子が手にとるように見えました。

彼らはいきなり「専科」ということでよその組に出演したかと思えば外部出演を命じられるという混乱振り。これで組内二番手の格が上がるのかと思えば、階段降りの順番は今までと変わらないので専科が2人も3人も出演すれば、当然その下が割りを食うといった始末。

例えば

・伊織直加・・・平成13年に月組「大海賊」に出演し、その後宙組「カステル・ミラージュ」に出演。でも平成14年には「傭兵ピエール」で退団。

・初風緑・・・平成13年星組「花の業平」「夢は世界をかけめぐる」に出演。その後は宙や星をいったりきたり、平成15年には外部出演「二人のライザ」に出演。平成17年、宙組「炎にくちづけを」「ネオ・ボヤージュ」で退団」

・香寿たつき・・・平成12年、月組「ゼンダ城の虜」「ジャズマニア」に出演。翌年の正月には星組「花の業平」「夢は世界をかけめぐる」に出演。そして外部で「天翔る風に」で主演。その後、星組で2番手決定の後星トップに。

・汐風幸・・・平成12年月組「いますみれ花咲く」「愛のソナタ」に出演。

       翌年正月公演星組「花の業平」「夢は世界をかけめぐる」に出演

       15年、月組「花の宝塚風土記」「シンヨール・ドンファン」で退団。割と幸せな方。

・絵麻緒ゆう・・・平成13年正月公演「花の業平」「夢は世界をかけめぐる」に出演。2番手→3番手に格落ち。翌月から雪組「猛き黄金の国」「パッサージュ」に出演。疲労骨折で東京公演は数日休演。最終的に雪組でトップスターになり「追憶のバルセロナ」「ON THE 5zTH」で退団。ジェンヌの体調を一切考えないスケジュールにファンが怒り。

・彩輝直・・・平成13年、「宙組「望郷は海を超えて」「ミレニアム・チャレンジャー」「ベルサイユのばら」に出演。このまま宙かと思いきや年末には「花の業平」「サザンクロスレビュー」「プラハの春」「ラッキースター」中国公演まで一緒。その後は月組に出演し続け最終的にトップスターに就任。2作で退団。

・湖月わたる・・・新専科移動後、5組を回ってさらに「フォーチュン・クッキー」で外部出演。最後の最後に星組でトップ就任。

・樹里咲穂・・・この人が最も専科らしい活躍をし、さよならショーもしてもらって退団。

追加で成瀬こうきも平成13年から専科入りをするも、宙組「カステル・ミラージュ」ダンシング・スピリット」の後、雪組「追憶のバルセロナ」「ON THE 5TH」で退団。

日ごろ、やたらと「宝塚らしさ」を連発していた植田理事長が、組カラーを壊すことをやるとは思いませんでした。今でも当時の舞台をビデオで見ると頭が混乱します。

特に「花の業平」「夢は世界をかけめぐる」には専科が5人も出演。匠ひびきも出演予定だったのですが病気で出られず。これぞ適材適所のよい芝居とショーではあったものの、一体何組を見ているかわからず、でも何となく香寿たつきが星のトップになるんじゃないかと思って背筋が寒くなりました。

それというのも、香寿たつきを支えるかのように安蘭けいと毬丘智美が雪組から星組みへ組替えしてきたからです。このこともファンを大きく傷つけました。

安蘭けいは元々雪の御曹司でした。ところが轟悠がトップになってから集客力を高めるためなのか、同期の朝海ひかると成瀬こうきがやってきて「3兄弟」と呼ばれ、まさかの組替え。そして雪には朝海ひかるが残ったのです。

今更雪組らしいカラーとは何かという気はありませんが、香寿たつきと安蘭けいの雰囲気はとてもよく似ていて、稔幸や絵麻緒ゆうなどとは様相を異にしていたのは事実です。

雰囲気が一番、ノリが一番の星組に歌唱力やダンス力を持ち込んで「これが本当の宝塚」的にやられるのが星ファンとしては苦しかったのは事実でしょう。

また、当時の79期以下の下級生がかなり割を食ったのも事実で、次第に専科の存在がうざいと思うようになりました。後、星組では大量退団が相次ぎ、1公演に退団するのは10人までと定められました。

ファンクラブも大変だったと思います。

なんせ、よその組にはその組なりのしきたりがあり、それに合わせていかないといけませんので。幹部さん達は苦労したろうなと思います。

 新東京宝塚劇場開場

平成13年。華々しく新東京宝塚劇場が開場しました。

以前は東京宝塚劇場といえば柱が多いのと、看板の大きさに通りかかる人から奇異の目で見られたり、狭い道路でさばき待ちをするので警備のおじさんに注意されたりと色々ありました。

先に目の前の芸術座がシアタークリエに変わり、そして東京宝塚劇場も。さらに経つと新コマ劇場もなくなり、こうやって昭和は消えていくのかと思ったものです。

私は正直、1000days劇場の方が好きでした。

有楽町の駅を降りたらすぐだったし、劇場前が広くてさばき待ちしやすかったし、2階席がなかったので、どこから見ても不公平感がなかったし。ただ、外の音が聞こえてくるとか・・・そういう部分ではかなり損でしたが、でも銀橋にセリ上がりがあったし、それはそれで面白かったです。

新しい東京宝塚劇場になった途端、ヅカファンの質が変わったなと思いました。

それまで「さばき」というのはファン同士が余ったチケットをやりとりする、しかも定価でという良心的なものだったのに、真琴つばさのさよなら公演「いますみれ花咲く」「愛のソナタ」からファンが持つチケットに付加価値をつける・・・つばり素人がダフ屋になってしまったんです。

新しい東京宝塚劇場は、一言いうと「縦長」に出来ています。

本拠地の方は横長で、ホワイエも広く、立見席は1階。

でも東京は昔の3階席がそのまま2回の10列目以降に入り、そこまでいくのに延々と階段を上らなくてはならないので、歳よりにはかなり過酷です。

東京の2階席は本拠地に比べると傾斜が激しいので見やすくなっている分、階段の段差も大きいのです。なんで15列目から入れるようにしてくれないのか・・・高齢化社会を全く考慮してません。

そして15列目というのは、大階段の上が見えないのでかなり損ですよね。

本拠地に比べてチケット代が高くS席の範囲が広いというのも、関西風の儲け主義が出ているようですごく嫌でした。

何よりも1階席は3階、2階席は4階にあることで非常に時間がかかること。外が丸見えで劇場空間にひたれないことが欠点です。もし火事が起きたら逃げるのが大変だろうなと思ってます。

東日本大震災の時はたまたま休憩時間だったから、将棋倒しになる事もなく済んだかもしれないけど、もし上演中だったらと思うとやっぱり怖い劇場だなと思います。

劇場が縦長で席と席の間も狭いなら、劇場横のキャトルレーヴの入り口なんか、狭さの極限をいく感じ。シャンテの下の方もごちゃごちゃ感がいなめず。大劇場のキャトルが本当に羨ましいと思う今日このごろです。

 

 タカラヅカ・スカイステージの誕生

平成14年。タカラヅカスカイステージが誕生しました。

ヅカファンはかなり盛り上がり、私の身近にいるいる人でも一日中スカステをつけているという人がいました。

ただ、当時は関西圏と関東一部で、私などは随分長い間、お友達にビデオで送って貰っていました。

この専門チャンネルの登場によって何が変わったかというと

・ジェンヌに余計な仕事が増えた

・スカイステージのメンバーになる事で、一種の「路線」入りかどうかわかる

・東京公演千秋楽が放送されるようになった

・WOWOWやNHKでの宝塚番組が消えた

私達にとって「スカイステージニュース」を見ることは、日々の宝塚を身近に知るという意味でとてもよいことだと思ったし、嬉しくもありましたが、その分、収録したりセリフを覚えたりという余計な仕事が増えた事は事実でしょう。

下級生にとってこれをやりながら新人公演の稽古をしたり・・というのは結構大変ではないかと思うのですが。

また、それまでWOWOW「スターの小部屋」やNHKなどで定期的に宝塚作品を提供してきたものが消えて、まさに宝塚は「ファンだけのコアな世界」に入ったと言えます。

私達が小さい頃は、テレビを付ければ落語や歌舞伎、漫才に吉本、そして宝塚に帝劇など様々な文化が自然と目に入って来たもので、そこから広がる世界もあったと思うのですが、それがなくなることで間口が狭くなったような気がしたのも事実です。

おりしも、東京宝塚劇場開場以来、チケット難は増すばかりで「一緒に見に行ってみない?」と誘いづらくなったのもあります。

東京公演千秋楽放送に関しては、実はものすごく期待していたのですが、実際はひどいものでした。全部引きの映像ばかりでジェンヌの表情が見えないという・・・

今は随分改善されたと思いますが、それでも東京公演の放送は下手だと思ってます。

もっともっとオリジナル性があって生き生きとした千秋楽放送を望みます。

少なくとも舞台が始まってカメラが迷うなんて言語道断ですって。

 

 


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