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初心者の為の宝塚講座 今旬のジェンヌで遊んじゃおう4

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  星組 

 

 礼真琴・・・2009年入団。95期。同期に瀬央ゆりあ

姫ちゃんが考えたキャッチフレーズと好きな役

「かっこよさの中に可愛さあり星の王子様」

・ロミオとジュリエットの愛 新人公演のロミオ

・ガイズ&ドールズのアデレイド

・鈴蘭のリュシアン

・スカーレット・ピンパーネルのショーブラン

・ANOTHER WORLDの徳三郎

 

  七海ひろき・・・2003年入団。89期生。同期に明日海りお・美弥るりか

「組子もファンも虜にする天然タラシのお兄様」

・銀河英雄伝説のミッターマイヤー

・燃ゆる風の竹中半兵衛

・オーム・シャンティ・オームのムケーシュ

・サンダーボルトファンタジーの殤不患

 

 天寿光希・・・2005年入団。91期生。同期に音波みのり

「大人の色気で魅了 星組のまとめ役にして名わき役」

・ロミオとジュリエットのマーキューシオとパリス

・かもめのトリゴーリン

・ベルリン、わが愛のライマン

・ドクトク・ジバゴのコマロフスキー

 

 麻央侑希・・・2008年入団。94期生。同期に珠城りょう。

「長身でかっこいいのに喋るとユルい」

・めぐりあいは再びのルナール

・サンダーボルトファンタジーの殺無生


 瀬央ゆりあ・・・2009年入団、95期生。

「白い役より黒い役」

・鈴蘭のヴィクトル

・オーム・シャンティ・オームのパップ―

・阿弖流為の坂の上田村麻呂

・ドクトク・ジバゴのパーシャ

 

 紫藤りゅう・・・2010年入団。96期生。同期に綺咲愛里。

「舞台の上では白馬に乗った王子様」

・ガイズ&ドールズ新人公演のネイサン

・こうもり新人公演のファルケ博士

・スカーレット・ピンパーネルのファーレイ

 

 天華えま・・・2012年入団。98期生。同期に綾鳳華

「陽の華やかさを持った柔らかい声の持ち主」

・桜華に舞え新人公演の桐野利秋

・スカーレット・ピンパーネル新人公演のパーシー

・ベルリン、わが愛のエルマー

 

 極美慎・・・2014年入団。100期生。

「星男極めます」

ホストクラブ「キラールージュ」

壁も天井も椅子も全部真っ赤に染まっていて、天井には青い星座が沢山ちりばめられている。

マネージャー・・・テンジュ

NO1ホスト・・・ベニー

NO2ホスト・・・レイ

3番手・・・ひろき

4番手・・・ユリア

5番手・・・ピースケ

ヘルプ・・・シドとキワミ

店内は祭のように賑わっており、シャンパンタワーならぬビールタワーがお目見え。ベニーがビールを注ぐと女達は叫び出す。

濡れたテーブルを一生懸命に拭いているシドとキワミ。レイはベニーと騒いでおり、ひろきは花束を受け取っている。

女1:可哀想に。私のシドちゃん。来月は絶対に通ってあげるからねっ!

シド:僕って掃除上手だからいいお婿になれるかしら。

女1:大丈夫よ。シドは料理も上手なんだもん。今度、私にケーキ焼いて。

シド:勿論。

ベニー:世の中には2種類のホストしかいないだぜ。それはベニーかそうでないかや。

女の子達:きゃーーっ!ベニー様っ!大好き!

レイ:くうっ!俺もあんなこと言って見たい!何ですぐに出てこないんだろ。

女3:レイは私を愛しているでしょ。

レイ:勿論。

女4:うそ、愛してるのは私でしょ。

レイ:勿論。

女5:一体、誰を一番愛しているのよっ!

レイ:君たちみんな。

女5;シャンパン入れて。

マオ:毎度っ!

レイ:ありがと。君の優しさに乾杯。今宵一夜、この僕は君のしもべだよ。

女5:もう悪い男

ユリア:え・・えっと、今日の・・ドレス、可愛いね。

女6;昨日も着てたわ。

ユリア:え?え?ほんと?

女6:うそーー!全く、これだからいつまでも番手があがらないのよ。

ベニー:さあ!今日はひろきのファイナルや!みんな、ひろきの門出を祝ってや!

 

そこにそっとふぶきと姫が入って来る。

テンジュ:これはオーナー。それに姫様。キワミ、ふぶきさんにブラックルシアン。姫様にはホワイトルシアンを。

キワミ;はい。ただいま(カクテルを持ってくる)どうぞ。

ふぶき:ありがと。あら、ネクタイが曲がってる(直す)そろそろネクタイくらいはちゃんとしないとね。

キワミ:ありがとうございます。あ、ふぶきさん、髪に糸くずが。(顔をぐっと近づけてとる)

ふぶき:あ・・ありがと。

テンジュ:へえ・・ふぶきさんの好みはやっぱり。

ふぶき:なによ。テンジュはいつもそうやって人のこと見透かすんだから。

テンジュ:長い付き合いですから。

姫 :私とテンジュも長い付き合いなんですけど。

テンジュ:勿論、姫様のことも何でもわかりますよ。例えば・・今日はお母さまに叱られましたね。

姫 :何でわかるの?

テンジュ:だから長い付き合いだと言っているでしょう?ピースケ、暫く姫様のお相手を。

ピースケ:はい。姫様、久しぶりですね。今日は一緒にカラオケやっちゃいますか?それともシャンパン飲みます?あ、わあ、そのドレス最高に可愛い。

姫 :えへへ・・・

ふぶき;こら、オーナーの娘をホストにはまらせるんじゃありません。

ベニー:姫様、ちょっと見ないうちにすっかり大人びて、なあ?さっすがオーナーの娘や、そのうち美人になるで。

レイ:うん、まさに。ふぶきさんが大輪のばらなら・・・えーーと、ばらなら・・

そう!ひなげし!可憐なひなげしだ!

姫 :ひなげし?

レイ:やっぱ薔薇・・ミニ薔薇・・ミニじゃなくて春の最初に咲くモッコウバラ!

姫 :もっこうばら・・・

レイ:いや、まだつぼみで・・・咲いてなくて、黄色かな?白かな?の・・

ピースケ:何を言ってるんですか。姫様は野に咲くすみれですって。

ヒロキ:(手をパンパンと叩いて)俺の妹に勝手な事を言うんじゃない。姫、あんな男達の毒牙にはかけさせないよ。

姫 ;ヒロキのお兄様、私、もっこうばら?それともミニ薔薇?

ヒロキ:胡蝶蘭に決まってる。俺の最後は姫の胡蝶蘭で飾って欲しいね。

ベニー :注目!ひろき、こっちに来い。実はひろきは今日でこのキラールージュから足を洗う。つまり気質になるってわけだ。俺としてはすごーーく寂しいし、なんで?と何度も問い詰めたけどな、ひろきは陽のあたる方が似合う男なんや。だから俺は黙って送り出すことにした。今までひろきをごひいきにしてくれたお客様達、ありがとな。ひろきのいない寂しさは俺らが埋める。そやから今度は昼間あっても、知らんふりしてやってや。

女7 ;わかってるわよ。私達、ひろきのお兄様にどんなに救われたかわからないんだもの。仕事で疲れて泣きそうなときも、うまくいかなくて落ち込んだ時もひろきのお兄様の顔を見るだけで癒されたの。だってひろきのお兄様は、私の髪型が変わったことも、ほんの些細な表情の変化も見逃さなかったから。私、お兄様の沢山の女の一人でいい、でも隣りにいる時だけ独占できたらいいって思ってたわ。

レイ:僕もアニキには沢山お世話になりました。ホストの心意気みたいなものを教わった気がします。ありがとうございました。

ユリア;えっと、ヒロキのアニキには沢山のことを教わりました。俺、絶対に忘れないっす。

マオ:俺の心のヒーローはいつもヒロキのアニキです。

ピースケ・シド・キワミ:これからのキラールージュは俺達が守っていきます。

ヒロキ:みんな、ありがとう。毎日通ってきてくれた僕の大事なお客様達、あなたたちの沢山の愛に支えられて今日まで頑張ってくることが出来ました。シトラスから移ってきた時は正直、やっていけるかなと思ったけど、ここのメンバーはみんないい人達ばかりで。俺もナンバーワン目指して頑張ることが出来ました。本当にありがとう。

ベニー:ヒロキ、カタギになっても忘れるなよ。でももう二度と戻って来るな。

ヒロキ:ああ。

 

みんな拍手、クラッカーが鳴りシャンパンがあけられ盛大なパーティが始まる。

真夜中。客が全員帰って静かになった店内。シドとピースケとキワミが掃除をしている。ふぶきは帳簿を見ながらテンジュと打ち合わせ、時々疲れたように首を動かす。姫も一緒に帳簿を見ながら電卓をたたいて、色々テンジュに聞いている。

ヒロキ:ふぶきさん。肩、痛いでしょ。(肩もみを始める)

ふぶき:ちょっとちょっとヒロキ、そんな事してくれなくていいのよ。

ヒロキ:でも今日が最後だから。

ふぶき:じゃあ、お言葉に甘えるかな。あなたをシトラスから連れて来たこと、ちょっと後悔してる。あまりにも色が違いすぎたかなと思って。でもあの時はそれが最善だと思ったの。シトラスの為にもキラールージュの為にも。あなたが起爆剤になってベニーは必死に頑張る力を得たわ。ちょっと天狗のレイも、頼りないユリアも気持ちを入れ替えた。あっちへ行ったマカゼはシトラスでナンバーワンになった。経営者的にはそれでいいと思ってた。でもヒロキ、あなた自身はどうだったのかな。やっぱりシトラスの方が居心地がよかったのかな。

ヒロキ:もう過ぎたことです。僕はキラールージュが好きでした。おかげで稼げたし、足を洗うきっかけにもなりました。

ふぶき;だったらいいけど・・・これからどうする?

ヒロキ:とりあえず田舎に帰って、それから考えます。暫くは生活できそうだし。ああ、きっと昼間の太陽ってものすごく明るくて光が強いんでしょうね。

ふぶき:そうね。多分、恐ろしく明るくて強いわよ。でもきっと大丈夫ね。ヒロキなら。こんなに優しいなら。

ベニー;ああーーふぶきさん、ヒロキ独り占めして。

ふぶき;肩をもんで貰ってたの、いいでしょ。

ベニー;そうやってると親子や。

レイ:本当だ。

テンジュ;こら、失礼なことを。

ふぶき:はいはい。何とでも言ってちょうだい。その代わり、来月は歌舞伎町のプラチナを追い抜く気で頑張らないと給料減らすからね。

ベニー:まかしとき。ヒロキ、もう帰りや。そこまで見送るから。

ヒロキ、肩もみをやめて

ヒロキ:ありがとう。みんな、本当に今日までありがとう。ふぶきさん、本当にお世話になりました・・・あ、キワミ。

キワミ:はいっ!

ヒロキ:ふぶきさんの肩はお前に任せた。

キワミ;はいっ!頑張ります。

ヒロキ:それと、姫。

姫 :(すでに泣いている)なによ・・・

ヒロキ:もっと自分に自信をもって。君はとても可愛い女の子だよ。俺がカタギになっていっぱしになったらさらっていきたいくらい・・だから・・ね。

姫 :ひ・・ヒロキ・・・(大泣きし始めてピースケに慰められる)

ピースケ:本当に姫様は泣き虫だからなあ。俺の一枚しかないレースのハンカチが台無しだ。ほら、元気をだしてヒロキさんを見送らなきゃ。

姫 :うん・・ママ、いってきていい?

ふぶき;いいわよ。

ヒロキ:それじゃ・・・諸君の幸運を祈る。あばよ!

 

ヒロキ、一礼して店から出ていき、ベニーたちもそれを追いかけて外に出る。店にはテンジュとふぶきだけになる。

テンジュ;ビールで乾杯しましょうか。

ふぶき:そうね。計算も終わったし。(ビールを受け取る)乾杯。

テンジュ:乾杯。真夜中のビールはうまいっすね。

ふぶき;ヒロキには幸せになって欲しい。でもこの先のキラールージュを考えるとそうも言ってられない。

テンジュ:若手を育てますよ。俺が責任を持って。

ふぶき:テンジュの力量は知ってる。でも私、不安になりやすいのよね。なんせこの世界って生き馬の目を抜くようなものでね。戦い続けるのがしんどくなることもあるわ。特に有望なホストが店を辞めた時はね。

テンジュ;大丈夫。ふぶきさんには姫様がいる。

ふぶき:テンジュは本気でそう思ってるの?

テンジュ:ええ。私が育てます。立派な経営者に。

ふぶき:やったあ。じゃあ、肩かして。

テンジュ、ふぶきの横に座る。テンジュの肩にもたれかかって目をつぶるふぶき

テンジュ:甘えん坊だなあ。ふぶきさんは。

ふぶき:ヒロキ、幸せになってね・・・幸せにならないと承知しないから。お日様の光を浴びて幸せに・・・

テンジュ:俺はヒロキじゃないのになあ。

ふぶき:今だけヒロキ。

 

ビールの泡が消えて夜はますます更けていく。

 

 

 

 

 

 


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