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Channel: ふぶきの部屋
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星組 千秋楽ライブビューイング

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 久しぶりにはらはらした舞台でした。

 

 霧深きエルベのほとり 

何度もいいますけど東京のカメラマンはどうしてこうも下手なのか。何が問題なのか。映画館の値段としては結構なお金をとるくせに、撮り方が下手過ぎて、毎回失望しますよ。いい加減にしてほしい。

っていうか、今回はDVDの方も「礼真琴仕様」でーすという感じで、主役より目立つ始末。まして脇の人なんかいないみたいで、ちょっとひどすぎるなと思いました。

さて。

千秋楽であり七海ひろきらの退団でもあって、かなり力が入っている風でした。

カメラも七海を一生懸命に映しているんだろうけど、やっぱり出番は少ないし、見せ場もないしという感じですね。

古臭い、ありえない、信じられないという感想が多い中、私はこの脚本は本当に素晴らしいと思いました。私もこんな風に書けたら幸せだなと思います。

なぜなら登場人物が「こういうセリフを言って見たい」というセリフがちりばめられているからです。もっとも平坦な場面の多いフロリアンだって、脇のアンゼリカだって、出ててほかったーーっていう風にセリフがちりばめられているので、役者だったら演じてみたい役が沢山あるんですよね。

確かに21世紀、パパ活だの援助交際だのって女の子の方が肉食で、実際にマルギットみたいな女の子はいないし、カールのように悪ぶっても決して本当の悪ではない男もまたいない。だけど、だから宝塚なんですよ。

ありえない夢を見る、ありえないストーリーをさも実際にあるかのように演じるのが宝塚なんですものね。

この話を知るには昔の「身分制」というものについて理解しないといけないでしょう。単なるお金持ちと船乗りの一夜の恋というだけでなく、家や家族をとりまく階級、同じ人種だけを大事にする心情なども理解しないといけないでしょう。

家柄のよい家の娘はやはり家柄のよい家の息子と繋がる。これによって互いの家が利益を得るということです。

じゃあ、なぜアンゼリカはいいのか?女の子にだけゆるされるシンデレラストーリーがあるからです。つまり、身分制の中では女より男の方が身分もお金も上でないといけないという形があるんです。

女性は美しさと社交性でのし上がることが出来ます。貧乏な家の出であるアンゼリカもあっさりと上流階級に溶け込んでいたということです。

ただ、21世紀の今、そういう考えは通用しません。ヨーロッパでも「家柄」より本人の意志と思っている人が多いですし、王室ですらそうだし、かのハプスブルク家なんてのも率先して貴賤結婚した口ですしね。

王族や皇族には人権がなく、「国民に祝福される」結婚をすべきというのは、それをやってのけた身近な人がいえこそ成立するもので、祖父母の代から恋愛優先で育った人に「税金で暮らしているくせに」というのはあまりに意地悪です。

ただ、この「エルベ」の世界観の中では「最近では自由恋愛という考え方があるけどそれは私達の世界ではありえない」と回り全部が言っているわけ。「私達は無産階級の模範となるべき」とも言っているわけで、好きとか嫌いで結婚が成立するわけではないという道徳観があるのです。

それを今時の日本人にわかれと言われても、確かに無理かな。

それにしても紅ゆずるは頑張った。本当に幕開きからテンションが高くて、私などはマルギットとの出会いから思わずほろりとする始末で。だから後半の失恋してからの勢いはもうすさまじく、こちらも多いに泣かせて頂きました。

カールの悲しみは、永遠にマルギットが属する世界観と相いれないということです。決してフロリアンと対等になれない、同じ世界にいることが出来ない悲しみなんですよね。

とにもかくにもカールはヴェロニカの膝の上で号泣し、号泣しすぎちゃったのかな。

 

 ESTRELLAS 

幕開きから紅ゆずるの顔が真っ赤でどうしたんだ?と思ったら声が出てない。

え?え?という間にまるで囁くような声で歌い続けるベニーに茫然としてしまいました。

ベニーといえばいつも声を張り上げて人一倍明るく歌って踊って喋ってみたいなイメージがあるけど、人が変わったみたいに静かな声で・・・僅か30分の間に何が起こった?とびっくりです。

特に「今夜はエンジェル」で全く声が出なくなった時はこちらが蒼白になるところ。

それでも組子はいつもと変わりなく歌って踊って笑って・・・ここらへんがすごいなあと思いました。

ただ姫に言わせると「みんなベニーを見てたよ。食い入るように笑いながらでも見つめていた」そうです。

こっちはひたすら「中詰め大丈夫か?歌えるのか?」と・・・でも歌った・・っていうか、囁くような声で何とか乗り切り「この声ごめんなさい」と謝り続けていました。それでも礼真琴・綺咲愛里以下笑って笑ってお客を盛り上げて。こういう所のチームワークはすごいなあ宝塚って感じでした。

見ている方としてはひたすら「あと少しだから頑張れ」です。だって倒れそうなんだもの。単に声が出るの出ないのって感じじゃなくて、一気に疲れがどどーーっと来た印象でした。ご挨拶で「プロとしては失格です」と何度も言ってましたが、確かにそうかも。これが井上芳雄だったら怒るよね。金返せーーってなる。でもどういうわけか宝塚の場合はそうならないの。

何だかわからないけどトップを助けようと必死になってる組子を見ることが出来るからだよね。最後はもうやけになって踊っていたベニー。顔色一つ変えることなく相手役を努めた綺咲愛里。一人ひとり、自分が出来ることをやって助けようとしていたのだと・・・まあ、ファン心理でいいように解釈してます。

七海ひろきのご挨拶は素晴らしかったです。彼女は天然の男役であるし、また文学者でもあります。「宝塚に恋してみなさまから愛を頂いた」こんなセリフが言えるのはカイちゃんだけだなあ。この特技、何とか生かせないかなとそればかり。

本当はもっと退団者4名についてのベニーの言葉を聞きたかったけど、なんせ当の本人が自分の状態にパニクってしまって、泣きながら謝るのと「袖に引くと組子がみんな会いに来てくれるんですよ。温かいなと。でも舞台に出ればお客様が・・・」とまた涙。退団者も笑いながら内心はベニーの心配をしているんだろうなと思うと、もういいから早く休んで頂戴的な気持ちになりました。

カイちゃんに限らず、それぞれのファンからしたらちょっと消化不良のさよならだったかもしれないですよね。これで私の友人の七海ファンが怒りモードで「何で千秋楽に喉を傷めて自分に注目を集めるのよっ!」とか「やっぱりベニーはカイちゃんが嫌いだったんだ」とかぐちぐち言いそうなのはわかります。

週末、十分に愚痴を聞いてあげることにいたします。

ものすごく大切にお見送りされる人もいれば、こんなアクシデントに会う人もいる。さよならも人の運です。でもカイちゃんの真っ白な薔薇、本当に綺麗でしたよ。それだけでもすごいと思います。

(ねったんの時なんかあまりのみすぼらしさに怒りまくった記憶が)

カイちゃんにとって最後に帰りたかったのはやっぱり宙組だったんですよね。色々自分の思い通りにならない事が多かった宝塚人生だったかもしれないけど、その分、外の世界に出た時に活躍出来るのかもしれません。男役・七海ひろきは卒業って言っていたけど卒業しないでーーいつまでも「ひろきのお兄様」でいて下さい。

とにかく、星組はメイクドラマの組なんだって本当に実感した一日でした。

 

 

 

 


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