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蘭 緒方洪庵 浪華の事件帳

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土曜日に見て参りました。

北翔海莉&藤山扇二郎の結婚のきっかけになった作品ですよね。

面白そうだなと思ってはいたものの、明治座を見逃してご縁がないと思っていました。

でもおかげ様で、地方公演でご縁があったということですね。

 

 お話について

タイトルが「蘭 緒方洪庵浪華の事件帳」って書いてあるけど、実際には緒方洪庵じゃなくて、若かりしころの「章」が主役です。

塾の先生が「禁書」を手に入れようと山城屋さんにお願いし、約束の場所では章が出向き、3両を取られた挙句に持ってきた人物はなぜかコロっと死んでしまい、禁書は手に入らず・・

もう一つのお話は塾の先生の息子である耕介とまじない師の娘、おあきの恋。

さらにもう一つの話は、在天と呼ばれる大阪の守り主を務める東儀左近の物語。

この3つのお話がそれはもうごちゃごちゃと詰め込まれているのですか一瞬もすっきりしないんですよね。1幕でもうちょっと盛り上げておけばよいものを、2幕で全部回収してまーーすが目に見えて・・・・

あの人の見せ場もこの人の見せ場も作らなきゃいけない・・・ということで話が膨らみ、見せ場を増やし、結果的に主役がかすんでしまった脚本でした。

 演出について

演出は錦織一清。場面展開はまあいいとしても、時々バックに流れる音楽の意味がわかりません。洋楽だったりポップスだったり。そんな事をするなら北翔海莉が歌っていた曲をBGMにして流せばいいのに。全然時代と曲があっていませんでした。

歌える人には歌を・・・ということで北翔海莉にオリジナル曲を歌わせたのでしょうけど、もう少しこの曲を生かせなかったかなと思います。

場面転換も時代劇としては多い方なんじゃないでしょうか。とにかく2幕目に広げた風呂敷を全部閉じなくてはならず、最終的な演出が北翔海莉と藤山扇二郎他出演者に結末を語らせることでした。でもそれじゃ何にもならないんじゃないか?

ここらへん、脚本家も演出家も、内容がごちゃごちゃしているとわかっているんでしょうね。もっとも滑舌がよく声が通る北翔に語らせて観客に理解させるという方法を選んだのです。

もっと、話を単純にして場面転換も減らしてじっくりと・・というわけにはいかなかったかなと。

立ち回りなどで流れる音楽も邪魔でしたしね。

 

 出演者について

藤山扇治郎・・・非常に真面目で好感が持てる青年です。とても30代に見えない幼さが功を奏している?しかし、おじいさんやおばさんが持ってるコメディセンスがこの人には決定的に不足している。稽古で何とかなるという問題なのか?それとも才能か?大阪人なのになんでこんなにボケとツッコミが下手なんだ?と思ってしまいます。

全体的に素人っぽいというか、主役として光らない。全然オーラなし。きっとわき役などでは力を発揮する人なんでしょうね。

人のよさ、育ちのよさが全面的に演技に出ていて、それはそれでいいんですけど謎解きの主役になるあたりがどうにもこうにもねえ・・・

まあ、きっとこれからの人なんでしょう。

 

 北翔海莉

この人がいなかったら、この芝居はめちゃくちゃになっていたろうなあ・・・と。それというのも出演者のほとんどがマイクをつけていないので、声が通らず滑舌の悪さを露呈してしまっているんです。北翔だけが朗々とセリフを語り、立ち回りではド迫力。さすが元男役って感じで他の追従を許しません。自分の見せ場をきっちり心得ているところはさすがに元トップスターだなあと思いました。扇治郎さんと並ぶと姉と弟にしか見えません(笑)

 

 大川良太郎

この人のファンがめちゃくちゃ多くて掛け声もかかっていましたが、いわゆるドサ回り劇団出身の人なんですね。ハンサムでいい声をしています。これでもうちょっと滑舌がよかったら聞き取りやすかったんですけど。でもこのイケメンはちゃんとボケとツッコミの間合いを知っているので安心してみることが出来ました。

 

 久本雅美

この方は塾長の奥さん役だったのですが。非常に藤山寛美風、藤山直美風とでもいいましょうか。面白い部分は全部かっさらっていきました。本当に笑わせて頂きましたよ。

この作品は松竹座に戻るようですから、また関西の人は楽しめるんですね。いいなあ。

最終的には大坂への愛が詰まった作品といえるのではないでしょうか。


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