二度めのメイクドラマは台湾公演
順調に滑り出した紅ゆずる時代。
2作目は原田諒の「ベルリン、わが愛」「ブーケ・ド・カタラヅカ」で、正直、こういう硬い作品の中では演技の下手な部分が浮き上がるかなと思ってしまいました。
酒井先生のいかにも「宝塚のレビュー」はあまり面白いとは思えなかったし。
でも、その次に来たのが「Another World」「Killer Rouge」でこれが奇跡でしたね。
まず谷先生は長年落語を舞台化してきたけど、なかなか適材適所にキャスティングが出来なかった・・・それが紅ゆずるを得たことで、作品にぴったりのキャラを得たのです。
元々関西人の紅ゆずると綺咲愛里の放つ「関西オーラ」は本当に面白くて、話のよさも手伝って代表作の一つになりました。
今後、これは紅ゆずる以外の人は演じることが出来ないのではないかと思います。
併演のショー「キラールージュ」は大劇場版ではまとまりのない、ぐだぐだしたうるさいショーでしたが、梅田・青年館・台湾と行くに連なってとてもよいショーに代わってゆき、紅の「赤」をメインにした楽曲の数々はとても印象的でした。
2度めの台湾公演では「サンダーボルトファンタジー」を上演。これは布袋劇を具現化するという、まさに宝塚が2・5次元に挑戦したようなものですが、これまた再現率の高さで、宝塚のレベルが国際的になったと思います。
台湾公演では台北と高雄の千秋楽でファンからのペンライトのサプライズがあり、台湾と日本が一つになったかのような一体感が生まれ、感動を与えました。
そして2度目のメイクドラマは高雄で起きました。
芝居の後、機材の故障でショーの上演時間が大幅にずれ込み、お客を2時間以上待たせるというようなことが起きたのです。
通常は怒りMAXになりお客はみんな帰ってしまうところ、ありがたい事にお客は残ってくれて、それだけに幕が開いた時の割れんばかりの拍手が星組性を包み込み、より力を与えました。
アクシデントをプラスに変えていく、そういう力もまた紅ゆずるにはああったのではないでしょうか。