メイクドラマのひと
さて、無事に生え抜きトップスターに就任した紅ゆずる。
最初はそんなに興味はなかったんだけど、御披露目が『スカーレットピンパーネル』だとわかった瞬間、わが家の姫が『大劇場まで行く』といいだしたのです。
東京でみればいいんじゃない?と個人的には思いました。パーシーといえば安蘭けいに決まってるし、どんなに頑張っても叶わないと、思っていたし。
だけど姫的には、東京ではチケットがとれないと思ったようで、さっさと旅行の準備。
半ば引きずられるようにしてむらにいきました。
何十年ぶりの本拠地に興奮しつつ大劇場へ。
たしか、初日に熱を出した紅ゆずる。やっぱり身体、大丈夫かなあなんて心配してました。
で、観劇の前にキャトル寄って写真をみたら。あら大変。財布から万札が飛んでいくわ、ひらひらと。なぜって、紅のメイクも衣装も完璧にステキだったから。
近年、こんなに綺麗な写真は見たことないなあと。特に綺崎愛里とのツーショットがあまりにも美しく。
そんなこんなで劇場の椅子についたら、そこからは、見事に生まれ変わったスカピンがそこにありました。
歌のうまさでは初演には及ばないものの、それぞれの人物像がよりはっきりし、さらに星組の団結力が客席を引き入れていく。
これに驚きました。
レジェンド柚希の時も星組の団結力は凄かったけど、柚希の場合、本人が何でもできるタイプだから、ある意味、トップに任せきりになってしまってました。
夢咲ねねとのコンビも、上級生と家給人足が透けて見えてましたし。
それに比べると、紅は優等生ではないだけに、できることに限界があると、本人がわかったんでしょうね。自分は真ん中でトップ然とし、あとはできる人に任せる。
スタツフ、キャストがみなそういう方向性へ向かって行った事が良かったのだと思いました。
また、紅ゆずる時代においてあらためて感じたのは、相手役の重要性と相性です。
ただ可愛ければいいとか、若ければいいとかいうものではなく、トップをトップたらしめる雰囲気を持った娘役でないと本当に男役は光らないのです。
そういう意味では綺咲愛里は星奈優里以来のトップ娘役ではないでしょうか。
プレお披露目の「オーム・シャンティ・オーム」を見た時に、あまりにインドの観光が似合い、しかも紅と息がぴったりで驚いたこと、生では見ることが出来なかったものの、「うたかたの恋」のマリーは秀逸であるがゆえに、紅のルドルフも近年まれにみるかっこいいルドルフで原作のよさが引き出されていたということに間違いはないでしょう。
話を紅に戻しますが、紅ゆずるはメイクドラマの人であると私は思っています。
「スカピン初日」に熱があると発表された・・・初日を見守るファンは彼女が倒れてしまうのではないかと心配しながらの観劇だったに違いありません。
そういう不安がより一層、舞台に立つ紅を引き立たせるというか、無事に笑顔で終わった時のほっとした感、おめでとう感にきっと涙したことでしょう。
私などは中日以降に見に行きましたけど、それでもやっぱり心配でした。なんせ「風と共に去りぬ」の休演がありましたしね。
でも紅の感情豊かで正義感が強く、優しいパーシーを見ることが出来て、久しぶりに舞台を見て心から幸せになりました。
またデュエットダンスなどは、下手なんですけど、紅のあまりにも嬉しそうに愛しそうに綺咲愛里を見る視線に「これが宝塚」なんだと確信しました。