今年は代替わりと,それに伴う儀式が続いたほか,上皇后美智子さまの手術もありました。国民生活においては,各地で災害が発生した一方,殿下が名誉総裁を務められたラグビーワールドカップ日本大会での日本代表の活躍や日本人のノーベル賞受賞など,明るい話題もありました。殿下にとって,この1年で印象深かった出来事をお聞かせください。
殿下
「国の内外で様々なことが起こっており,いろいろ気に掛かっていることが多々あるわけですけれども,幾つかその中から印象に残っていることをお話ししますと,やはり今質問にもありましたような,自然災害,これ毎年そういう災害が起こらないといいと思ってはいるんですが,今年もこの9月以降,台風15号そしてその後に19号が来て,それからさらに21号の影響による大雨,豪雨というのがあり,河川の氾濫,それから暴風による停電ですね,停電も非常に長い期間続きました。
いまだに避難している人も2千人以上いますね。
やはりこういった災害にどのように対応するかというのは,今までも,そしてこれからも課題であると思っております。
今回,あれだけ多くの河川が決壊して浸水したということ,なかなか想像を最初はできなかったんですけれども,やはり中小河川の浸水想定区域の図ですね,そういうのをやはりできるだけ早く,そういうものができて,今まだできていないところが結構あるわけですよね。
少しでも安全に避難できるようなことを考える必要があるのではないかなと思いました。
それから,これも残念なことだったのは首里城が,正殿と北殿と南殿ですか,焼失してしまったという,そしてさらにそこにあった貴重な資料,これもかなりの数が焼失してしまったわけですね。
復元された首里城,沖縄の人々にとって心のよりどころになっていた場所であります。私自身も比較的最近,あそこの場所を訪れて,新たに公開された御内原おうちばらのエリアの方をずっと歩いて,それでそこからこう,あそこの上からずっと展望したりしたものですから,余計にあのニュースを見た時は驚き,非常に残念な気持ちになりました。
そのほかいろいろありますけれども,例えばCSFの拡大というのが今見られます。
これも養豚農家にとっては大変なダメージだと思います。
しかも,やはり猪いのししの感染も見られますので,その意味からもこれの対策というのは非常に大事なことだと思いますし,それとともに周辺の国ではあるASFですね,それについての防疫というのも気に掛かっているところです。
さらにもう一つ,これも余り明るい話ではありませんけれども,IPBESが出したもので,今地球上の100万種の動植物が絶滅の危機に瀕ひんしているというものがありました。これは,人間も地球上の生態系の一員ですけれども,人間の活動によって人間の社会を支えている環境が,土地利用が主だと思うんですけれども,失われつつあるということは,これはかなり大きな問題だと思っております。
今後,どのような対策を取っていくかというのは,私が何か言うことではありませんけれども,そのことが今年の大きいことの一つだったのではないかと思います。
明るい話題としては,今ありましたような吉野彰さんのノーベル化学賞受賞ですね。リチウムイオン二次電池ですか,これにはもう様々なところで,私たちお世話になっているわけですね。
私も携帯電話やパソコンも使ってますけれども。吉野さんとお話ししたのは,実はこの前,文化勲章のお茶会の時が初めてなんですが,私,毎年出席している読売新聞の学生科学賞がありまして,それの協賛が旭化成なんですね。
そのことから,旭化成の代表の方が話をするときは必ず吉野さんの名前が出てくる,そういうことから私自身も非常に親しみを,お名前だけだったんですけれどもあった方です。今回のノーベル化学賞の受賞は本当に良かったと思います。
もう一つ,ラグビーのワールドカップですね。
日本も8強入りして,これ初めてのことですね。日本の代表の活躍というのは本当にすばらしかったと思います。私自身はラグビーの知識が全くないところから見始めたものですから,一番最初に見た時には,何が起こっているのかは全然実は分からなかったんですね。ただ何回か見て,またテレビでも見て少しずつ知識が積み重ねて増えていって,最後は大分とまではいかないですけれども,少し理解しながら楽しみながら見ることができました。
また,日本にこれだけ多くのラグビー好きな人がいるということも今回初めて知りましたけれども,良い大会だったと思います。
そしてまた,その間,それとも関係して,釜石のラグビー場にも行き,津波で被害を受けた場所にあのような形でスタジアムが建てられて,そこに多くの人が集まったということも,非常に感動的なことでありました。いろいろありますけれども,幾つかを紹介させていただきました。
本当は殿下こそ、水の研究第一人者ではないですか?と言いたくなる一文です。こんなことは天皇は言えないと思います。なぜなら全然研究していないから。
人から話を聞くこともなければ自分で勉強することもない。
秋篠宮殿下のご発言は一つ一つ裏打ちされているものなんですよね。
殿下は,4月に立皇嗣の礼に臨まれると皇嗣として次の天皇ということを国内外に示されることになります。あと20年たちますと,今の天皇陛下は80歳近くになられて,殿下は70歳半ばということになられるわけなんですけれども,仮にその頃,皇位継承というお話になった場合,大変御高齢での即位ということで,大嘗祭ですとか即位の礼という大きな儀式に臨まれることになります。一方で,現在の皇室典範には即位を辞退するという規定はないわけなんですけれども,大変恐縮なんですけれども将来の皇位継承の在り方について今の時点で何か殿下のお考えがあれば,お聞かせ願えませんでしょうか。
殿下
「皇位継承の在り方は,そのシステムの問題になりますので,私から何か言うことはできません。
ただ,今おっしゃったように,今非常に高齢社会になってますよね。
それとともに確かに平均寿命は80幾つまで,健康寿命は70,10年くらいの差がある。いろんなその辺のばらつきなどもあります。
それはもう本当に一人間がどの段階で何ができるかというのは,これはもう個体差になりますので,随分人によって違うのではないかなと私は思います。
これはマスコミによる誘導質問です。「兄が86歳の時私は70.とても無理」と言わせたかったんでしょうけど、そうはならなかった。
素晴らしいかわしかたです。
長い記者会見、自分のお言葉でしっかり語られた。よどみのない言葉。
どんな短い文でも紙を見ないとだめな6歳年上のお兄様とは全然違います。
マスコミはどんな風にバッシングに持って行くのか。考えるだけでも嫌ですが、でもとにかく頑張って頂きたいです。