久しぶりに日比谷に行きました。そしたらシャンテの大改装が始まっていたし、上から下まで堂本光一で、ゴジラまで・・・
姫ちゃんと宙組を見て参りました。「オーシャンズ11」以来。すっかりご無沙汰したなあという感じです。
イスパニアのサムライ
衣装がすごい!
パンフみて、実際に芝居を見て、一番印象に残ったのが真風涼帆の衣装でした。
いやーー刺繍のすごいことと言ったら!菊の流れている感じもいいし、竹に雀の伊達家の家紋がまたかっこいい!
そういえば伊達藩の話だったっけ。ハポンさん達って支倉常長一行の子孫なのか。
脚本について
最初の日舞のシーンなどが印象的で、中だるみで眠くなり、最後は感動したという感じです。長々と見ていると「イスパニアでサムライが何をしたことを描きたいのかしら?」って思ったんですけど。要するに侍魂の具現化というか、「剣士」について言いたかったんだなとわかりました。
鎌田治道の言うことって、ほとんど宮本武蔵というか無双巌流でしたっけ?そういうのの師匠でもあるわけだから、とっても仙台からイスパニアに行きましたーーって感じがしなかったんです。
主君の家紋を着物につけるっていうのも変わってるといえば変わっているわけで、なかなか普通は出来ないよねーーみたいな?
要するに支倉常長一行は、頑張ってイスパニアまで行ったけどずーーっと修道院に閉じ込められて、支倉常長だけがローマ教皇に会いにいき、お留守番の間にイスパニア人の未亡人やら、成金貴族の地上げ騒動に巻き込まれ、ラストは鎌田治道はカタリナの亡くなった旦那になりすまして不法滞在を逃れ、カタリナと結婚するというお話なんですね。
トップコンビの恋愛はいいとして、アレハンドロやエリアスの素性がわからなくて、何でこんなに出たり入ったりしているの?とか、エリアスって変な奴とか思っていたんですけど、鎌田治道とこの二人の共通点が「剣」であることが後半になってわかって、それからは成程ーーって見たんですが、大野先生の脚本はいつもわかりづらくて複雑。でも奥は深いよなと思いました。
もっとも、日本の刀とイスパニアの剣では使い方も流儀も違うだろうしなあと思いつつ。
ああ、それと鎌田治道が最初からやる気なしで藤九郎に命を狙われても涼しい顔をしているのが失恋した為、好きな女性を守れなかった為というのも中盤になってわかったんですが、そのシーンって必要だったかな?
とにかく中盤がだらだらしてて本当に寝そうになってしまいました。
「奴隷」として売られた女の子達はみんな色々な場所から来ていることはわかりました。でも「だっちゃ」言葉がラムちゃんにしか聞こえず。確かに仙台では「だっちゃ」を使うけどさ・・・「だっちゃ」&「ださ」かな。
でもこの女の子達が「剣士だ」と言われた時に、観客としては「そうか!そういうことが言いたかったのか」とわかるわけですね。
それと「にほんじん」って言ってるけど、当時なら「にっぽんじん」と発音すべきかと思います。あるいは「日のもと」とかね。あまりに「にほんじん」を連発されて「いやーーさすがにそれって違うんじゃない?」と思ってしまいました。
それと、ラスト。
死んだ人になりすまして・・っていうのは頂けないなあ。これっていわゆる「背乗り」でしょう?日本が韓国にやられてきたことですよ。それを日本人がやったなんて思われたくないです。そもそも鎌田治道がハポン姓で残っても他のメンバーは不法滞在にならないんですか?
カタリナとの事もちょっと無理があるっちゃあるし。
そうはいっても、メッセージ性はちゃんと伝わっているのでこれでOKにしとこうかなと思います。
今の真風涼帆に完璧な日本物をやらせるわけにはいかない。だから異国で活躍し、異国風の服装をした日本人なんだよね。どこか異世界っぽい設定じゃないとダメなのは芹香斗亜も桜木みなとも同じで、いいのか悪いのか。
出演者について
真風涼帆・・・ビジュアルがよく、歌えて踊れて演技できて。何の欠点もないのです。だけど「薄い」「軽い」は相変わらずで、未だにトップになりたて感が残っています。それでも今の宙組は真風頼りのようで、何でもかんでもトップにやらせて見せ場作ってはいおわり!的な感じがして可哀想な気も。
軽いのが真風の持ち味だとしても、演技に深みがないから観客になかなか伝わらないし、一緒に泣く事も出来ません。真逆なのが英真なおきで、彼女のとてつもなく濃い演技が芝居・ショー共に印象的でぐさぐさきて、そして宙組の中では浮いちゃうんだなあと。
星風まどかとのコンビも長いような気がするけど、あと1歩心が近づいてくれたらいいのになと思いました。
星風まどか・・・この人も何をやらせても遜色なし。悪いところがないです。けれど、そんなジェンヌだったら沢山いると思うんですね。トップならではオーラというか、キャリアに対する自信もないし、いつまでも添えもの状態なんだなと。いくら若くてもトップ娘役である以上、どんなドレスも似合わないとダメだし、大人の演技もしてくれないと困るなあ。
芹香斗亜・・・アレハンドロさんはおいしい役だと思います。真風との相性もよくて、衣装が似合っていう事なし。それでもやっぱり深みがないというか、表面的なセリフ回しに終始しているような気がします。貫禄だけはついてきたみたいですけど。
桜木みなと・・・悪役なのかただのだだっこかわからないような役ですが、芝居においてもショーにおいても桜木みなとは中途半端だなと思います。女の子顔で中性的なんだけど、神秘性まではない。そうかといってバリバリ男っぽい役が出来るかと言えばそうでもない。ショーの中で派手な衣装着せて立たせておけばそれだけで「華」になるけど、それ以上いかないというのが残念。
つまり、真風・芹香・桜木、この3人は同じようなタイプ。この中にこれまた似たようなタイプの紫藤りゅうが入ってどうするんだろうと思うんですけど、「明るく軽く」が宙組のモットーならしょうがないですよね。
和希そら・・・この人だけが内面的によい演技をし、尚且つダンスもめちゃ上手。ただ足りないのは背丈だけ・・・という感じです。宙組の中では濃い方に属しているんだろうけど。よそへ行ったら薄くなりそう。苦労知らずの上3人に比べて世間を知っている程度の濃さですけどね。
アクアヴィーテ
気が付けば英真なおきのムードと衣装が面白かった・・・となるわけにはいかないので。
藤井大介はお酒か星がテーマだとまっとうな作品が書けるという事なんでしょうか。よほど「カクテル」の成功が忘れられないのか「SANTE」そして「アクアヴィーテ」とお酒ものが続いています。
今回はお酒による国巡りになっているのですが、音楽も振付も素晴らしい。もう一工夫したらきっと名作になるかもしれないと思うのですが。
やっぱり宙組全体で見ると、与えられた課題に精一杯取り組んでいます!というのがあからさまにわかってしまうんです。余裕がないというか、観客を楽しませようという意識が弱いというか。
英真なおきは少しでもショーを面白くしようとして、変わった歌い方をしたり、振付もユニークです。本当はアドリブの一つもやりたかったろうなと思うんですけど。トップコンビも二番手もそこまで余裕がない。
気が付けば歌もダンスも真風任せになっている現実。
4場の猛獣シーンは芹香斗亜より、退団する実玲淳の見事な90度の足上げとトゥで立った時の美しさに目が釘付け。もっとこの人のダンスがみたい。え?退団?嘘でしょ?状態。だったらいっそ全面ピルエットで回って頂戴!という程、盛り上がり頂点一歩手前で消化不良。
「♪ウイスキーがお好きでしょ♪」の部分は、セリフがキザで面白くて笑えるけど、日替わりにはしないんだなあと。客をいじるっていうのもあまりしないのねーーそういうこと、すればいいわけじゃないんだけどね。
16場のタンゴは、曲がすっかり高橋大輔でインプットされちゃってるので、その幻を頭からおいやりながら真風のダンスを見ておりました。
煙草を使って・・といえば「HOTEYES」のまー様を思い出し、椅子が出て来たら「レ・コラージュ」の朝海ひかるを思い出し。比較してはいけないんだけど、色気とか神秘性みたいなものが欲しいかな。
今の宙組が非常にダンス力があるというのはわかります。だけど下級生が横並びっていうのは非常にまずくないでしょうか?
本当はもっと演技が上手、歌える、踊れる子が沢山いるはずなのに、全部トップに集約していくのは先を見るとよくないと思うんですが。まあ、宙組をあまりみていないので大きなことは言えません。
星吹彩翔くんへ
お疲れ様でした。「銀河英雄伝説」であなたを見た時からずっと注目していました。素晴らしい歌唱力を持っていて、新人とは思えない演技力を持っている。踊る時の芯がしっかりしている。
こんなに才能があふれているのにどうしてもっと大きな役に恵まれないのかなと。やっぱり童顔だから?とかね。でもショーではどんな時も笑顔で、その100%幸せな笑顔にどれだけ癒されたことでしょう。
我が家の姫ちゃんは「星吹彩翔のえがおを仕事にいかす!」とかいって頑張って口角をあげる練習をしていましたっけね。可愛いだけの男役じゃない、本当は何でも出来る素晴らしい才能に恵まれた稀有な人だと今も思っています。
そんなあなたが宝塚を卒業。残念で仕方ありません。
でも、退団するなら今しかないと思った結果なんですよね。
寂しいし、悲しいけれど我慢します。退団したことがあなたにとってよい結果になるように祈っています。そしてその笑顔にふさしい幸せをみつけて下さい。