久しぶりですが、頑張ります。
宝塚脚本集 昭和12年3月号
ついに昭和12年に入りました。
昭和12年の主な出来事は
7月に盧溝橋事件ぼっ発 → 日中戦争突入
イギリス ジョージ6世戴冠式 (「エドワード8世)
スペイン内戦 (「キャパ」「NEVER SAY GOODBYE]「誰が為に鐘はなる)
世界的に大戦への布石ができた年といいましょうか。
13年になると戦時体制に移行します。
今回の「脚本集」は3月号なので、まだまだのんきですが後半になっていくほど宣伝広告も
戦時体制ものになっていきますし、色々窮屈になっていく感じです。
昭和12年から13年にかけて、私の手元の資料は「楠かほる」「轟夕起子」が多いですね。
多分、この二人が花組のコンビとしてブレイクしたものの、轟による戦前最大の「退団事件」を
起こした為とみています
宝塚における「退団事件」・・・・・過去には色々あったようですが
私が知っているのは
千紘れいか劇団四季入団事件
千紘れいかが無断で劇団四季のオーディションを受け、合格。
激怒した劇団は大劇場公演で退団させ、イベントなし。
千紘がこんな事をしたのは多分に花組から「次期トップ娘役候補」として月組に移動したのに
あっさりと同期の壇れいに奪われてしまったからではないかと。
千紘が月に移動した時、壇は雪組へ移動。なのに返り咲いてしまったわけですから。
あの時はネットも大騒ぎでしたね。
千琴ひめかNHK「おかあさんといっしょ」オーディション事件
千琴ひめかの立ち位置は微妙だったと思います。子役専科みたいなところがありましたが
歌唱力が抜群でそれなりに重用されていたと思いますし。
でも、本人的には「童謡を歌いたい」と思ってのオーディション。合格してしまってまたも劇団が激怒。
朝澄けい&真飛聖の「ヴィンターガルテン」で退団するも、イベントなしとの通告を受け、それを朝澄と真飛が
必死に劇団を説得して最後のごあいさつをした・・とかいう経緯がありました
今や「はいだしょうこ」さんは超有名人。
花總まり強引退団事件
和央ようか退団と同時に花總まりも退団。
歌劇団としては「専科」待遇で残って欲しかった?
でも花總は、和央の怪我によって歌劇団不信に。
結果的に13年もトップ娘役を務めたわりには、あまりにもあっさりとした退団劇になってしまったのでした。
じゃあ、轟夕起子は何をやらかしたかというと・・・・・・ご存じの方はしーっ
そうでない方はお楽しみに。
今回は花組公演「プリマドンナ」で月組から組替えになってきた轟と星組から組替えになってきた楠かほるが
どんな風に見られていたかをご紹介しましょう。
プリマドンナ所感・・・・藤岡利子
堀正旗作「プリマドンナ」という作品を見ての感想です。
「プリマンドンナはオペレットとして」非常に優れている。このテーマの美しさ、この脚本の嬉しさは
どうだろう。私はこうした洗練されたセリフが、たとえ原作からの移植であるとしても、それが少女歌劇の中に
立派に溶解されている以上、こうした作品は存在の価値があると思う」
つまり原作があった・・多分外国文学?
宝塚はそういうのが得意ですね。
「このプリマドンナの焦燥と苦悶をあます所なく演じている轟夕起子の優秀な演技に、私は心からの
拍手を送る。全く、轟の演技は抜群だった。
花組のおっとりとした気分の中に飛び込んできて、彼女の切れるような鋭さと、うるおいのある情熱とは
舞台一杯に輝いていた。
いや、彼女がこうした役柄に成功するであろうことは、彼女の今までの足跡を知る者ならば予知し得たであろう。
だが、私の興味はどれほどの演技を見せるだろうと所にあったのではなく、どの程度の巧みさを
みせてくれるだろうかという彼女に対する信頼と予想と期待にあったのだ。
その期待は裏切られなかった。私は非常な喜びを以て彼女の演技を見た。
心憎いまでに美しい線と、動きと、セリフの楽しさ。
轟のアイレーラは「モオンブルメン」(堀正旗作)のエリザベートと共に、彼女が誇っていい
立派な宝玉だと思う」
娘役をここまで褒めるって、最近の宝塚じゃあんまりないなあ。
写真で見る限り、轟夕起子は歴代娘役の中でも1・2を争う美形。
私の中では 1位・・・有馬稲子 2位・・・轟夕起子 3位・・・八千草薫 って感じですが、轟さんは「女王様」的
雰囲気のある華やかな女優さんですね。
先日、昭和19年に発表された松竹映画「撃滅の歌」を見ました。
これは高峰三枝子、轟夕起子、月丘夢路の3人が藤原歌劇団の団員として青春を送り、結婚後の様々な
人生模様を描くという話で。当時、戦局は激しく「増産」が叫ばれていた中「プロバガンダ」音楽で国民を
奮い立たせようという映画でした。
高峰三枝子はとにかくゴージャス美人。月丘夢路は楚々とした人、そして轟夕起子は・・・少し太っていた印象ですが
高峰に匹敵するゴージャス美女&歌唱力抜群といった感じでした。
当時、宝塚でトップ娘役といえば草笛美子でしょうか?でも草笛さんはいい意味で「日本女性」的な雰囲気でしたが
轟夕起子はその目のぱっちりした所が非常にエキゾチックな印象。
当時としては珍しい「自立した女性」のように見えました。
再掲しますが、右が楠かほる。左が轟夕起子。二人はまるで夢の中に出てきた王子様と王女様みたい。
こんなに「洋風」が似合うスターは当時珍しかったでしょうね。
上は誌上でメルヘンのお話を演じる・・・という企画。
そういえば、こういう企画、最近のグラフでもやってましたよねーー
でも「宝塚の舞台にかけてみたい作品」という所があんとも前向きだなあと思いました。
とにもかくにも轟夕起子が「アイレーラ」とか「エリザベート」なんて名前の役がよく似合う娘役であった
事は確かみたいです。