まずは・・・・
凰稀かなめちゃん、宙組トップ就任おめでとうございます
(実際見るまで実感なかったもので・・・・こんなに遅くなりましてすみません)
黒の鍵盤ダルマ姿で踊っていたかなめちゃんがもう宙組トップで、ピラミッドの頂点に
立った・・・・と思うと、ついつい「私も歳をとったものだ」みたいな感慨に襲われますが。
ここ最近の宝塚の中では順調すぎる出世。しかも小池作品でお披露目という
事に劇団の期待度がわかります。
どうか、その期待にお応えになるべく頑張って欲しいと思います
銀河英雄伝説
すごいなあ。立見席まで一杯だし、悪い評判が聞こえてこないし・・・・いわゆる
「オリジナル」作品でここまで評判がいい作品は珍しいのではないか?
誰に聞いても「面白かった最高かっこいい」これしか言わないものね。
ゆえに、その流れに乗れなかった私はもはや時代遅れの人間なのか?
それとも偏屈で理屈っぽくて感覚がおかしい観客の一人なのか?
たとえ天下の小池先生でも、間違いは犯すし失敗もする。
常に観客動員ナンバーワンで名作揃いとはいえない場合もある。
今回の作品は観客動員は別として(っていうか人が入ったんだからいいじゃない)
質の面ではイマイチの作品だったと申せましょう。
(それともこれは小池先生のせいではなく、演出助手の児玉明子のせいにする?)
やっつけ脚本に時代錯誤なセリフ
原作を読んでいないので何とも言えませんが、かなり長い作品なんでしょう?
それを2時間半におさめるのはとうてい無理
結果的に、ストーリーを聞かせる事だけで精一杯で、処理しきれなくなり
ラストはぶつ切りで強引にフィナーレに持って行った印象
(キルヒアイスの死に方はヨン・ホゲとマーキューシオの死に方と同じ。
さすがに飽きました)
銀河帝国の皇位継承問題に、自由惑星同盟の政治的クーデターが入るので
場面がその都度切り替わり、ゆえに登場人物の描き方が薄っぺら。
ラインハルトとヤンという対照的な人物には何の関わりもなく、どこまでも「別の話」
で終わっていく。
この複雑な話を何とか観客にわからせようと、フェザーン自治領の人にあれこれ
説明させてたけど、正直、説明のしすぎ。こういう書き方ってかなり初心者がやって
叱られるパターンだよね。
何が悲しいって一番ラインハルトの描き方が軽かった事。
もっとも個性のない傍観者として描いてしまった事。
舞台は宇宙。でもそこで描かれているのは前時代的な帝国の皇位継承と
ベトナム戦争を思わせる反戦運動。
「非国民」「銃後」「賊軍」「門閥貴族」「御意」など・・・あまりの言葉の古さに
それを知っている私って何歳?みたいな感覚にとらわれてしまい。
(だって、今時の若者に「銃後」なんて言葉は・・・通用しないって)
銀河帝国=ドイツ語圏
自由惑星同盟=英語圏
ふーん・・・じゃあ、銀河帝国ってハプスブルク家みたいなもん?片方はアメリカっぽくて
ジェシカはキング牧師なの?みたいな・・・・・
振り返ってみれば戦争シーン以外は何一つ宇宙っぽさのない不可思議なお話でした。
衣装が悪すぎ
有村淳は「エリザベート」以来、出来不出来が激しいデザイナーで、「エリザベート」
や星の「ロミジュリ」みたいに、最高に素敵!と思える衣装を作るかと思えば
雪の「ロミジュリ」みたいに「ありえない!」ものも作るわけで。
今回は銀河帝国=18世紀ヨーロッパ風
自由惑星同盟=20世紀アメリカ風
の衣装だったんですけど、軍服はベレー帽以外は色使いなどが似通っていて
きちんとした区別がつきませんでした。
銀河帝国の女性達のドレスはどれも野暮ったくてデザイン性に欠けている。
特にヒデガルドのドレスはちょっと・・・・・
軍服も色味を抑えているのは理解できますが、暗すぎるかな。
フィナーレのロケットの衣装・・・なんだありゃ?
カーキ色にへんてこオレンジ?目立たせたいのかそうでないのか。
そのあとに出てくる娘役達のドレスも一斉にグレーで・・・お披露目なのよーー
めでたいのよーーと愚痴ってしまい。
男役陣群舞の軍服っぽいの?青に白のラインが入った衣装。
ガンダムみたいだなあーー 安っぽいと思いました。
凰稀&実咲のデュエットダンスのラメ衣装もちょっと古い感じがして。
今ならもうちょっとセンスのいい生地が手に入るのでは?
結果的にポスターやパンフレットの写真に使われているもの以外はいいものなし。
個人的にはラインハルト&キルヒアイスの禁断の愛にオーベルシュタインが
割り込んでくるような・・・・ そっちがみたかったし、ヤンとユリアンの「親子」とも
「カップル」とも言えないような微妙な「愛」も見てみたかったです
結局これってBL路線の話を「清く正しく美しく」しすぎたのよねーー
出演者について
凰稀かなめ・・・・まさに「金髪」「若造」のラインハルトでした感情を押し殺す
役であり、ラストはちょっと意味不明で役作りに苦労したのでは?
とりあえず無難におさめたという印象。
凰稀はわりと無機質なんだなあと実感。ゆえに人ならぬもの・・・・
ヴァンパイアとか宇宙人とかが似合うんでしょう
この路線で行けばいいけど、やたら人間っぽい熱い役が回ってきたら
どうするのかなと。
ビジュアル十分、演技も歌もダンスもそこそこ。カリスマ性もそこそこ。
何か特別なものを発揮していかないと、作家がイメージを作りにくく
結果的に「宝塚初心者向けトップ」になってしまうかも。
実咲凜音・・・髪を切ってからのヒルダの方がいいなあ。とりたてて美人でもないけど
歌は上手で演技心もある?凰稀と早く馴染んでベストカップルを目指して
頂きたい。
悠未ひろ・・・まさか2番手で階段を下りてくるとは思わず。いよいよ退団が近いのか?
上級生だし役柄は今まで演じてきた悪役のそれと同じだし、安定して
よく凰稀を支えていたと思います。でも本当は「暖かい」役の方が似合う
んだけどな
朝夏まなと・・・個人的にビジュアルは好きじゃないけどスタイルのよさはばっちり。
花組にいたころより存在感があり、凰稀との相性もいいのでは?
ただ個性があるかどうか。今が頂点だったらまずいかも。
緒月遠麻・・・発声が変ったのか、雪組にいた頃の「無理して男役声出してます」感が
なくなり、落ち着いた大人の雰囲気になってびっくりしました
もともとは演技が上手だし頑張りやだし、あとは回りを圧倒する雰囲気のみ。
怜美うらら・・・「キャパ」の時の棒読み感はなくなったけど、いいなと思ったのは1幕目のみで
2幕目からはズタズタになっていたような気がします。
蓮水ゆうや、七海ひろき、凪七瑠海はそれなり。蓮水と七海でがっちりした芝居が
見たいかも。トリューニヒトの星吹彩翔はこれからに期待。もうちょっとビジュアルが欲しい。
磯野千尋と寿つかさの2役が紛らわしかった。
何もかも順調すぎる程順調な凰稀かなめ率いる宙組。
伝統の「ビジュアル最高、背丈ばっちり、若々しくてかっこいい」は踏襲され、
観客動員も見込める。
後は組内のまとまりのみ。100周年の顔になるんでしょうから、とにかく
頑張って欲しいです。
それと・・・2階席だったから?電子音っていうか、じーーっという音がうるさくて。
とっても気になりました。