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夏だから・・・戦争映画3

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 四国や近畿が台風でえらい目にあっているさなかに

青森で震度5弱の地震。

台風情報を見ている時の緊急地震速報に驚いてしまいました。

一体、日本はどうなってしまったんだろう

 

 男たちの大和 

 2005年 東映

出演者・・・・仲代達矢

       鈴木京香

       反町隆史

       中村獅童

       松山ケンイチ

       渡辺大

 公開されるとき、見ようかなと一瞬思ったのですが、所詮は戦後派の描く映画だから

  リアリティに欠けるだろう、そんなんでがっかりしたくないなと思ってみませんでした。

  のちにDVDで見直し、見とけばよかったーーと後悔したんですけど

  戦艦大和といえば「連合艦隊」のイメージがあるものですから、なかなか受け入れにくかった

  心情をお察しください。

 「連合艦隊」に出てくる永島敏行や金田賢一ですら、当時は「庶民」の目線から

  描いた戦争映画と言われたものですが、これはさらに下士官やら水兵さんなど

  船底にいる人達目線で描かれている所がすごいんですね。

 綺麗事がないっていうか、正直目線というか。こういう多くの乗組員がいた

  あの大和が沈んでしまったんだと思うと、涙が止まりませんでした。

  いわゆる反戦映画とは違います。

   むしろ、「鎮魂」でしょうか。老いも若きも沈んだ船への思いを一つにして作り上げた

  映画と思います。

 反町隆史は「君を忘れない」えの演技が不評で、ちょっと心配したけど随分成長したなあと。

  松山ケンイチなどもなぜか昭和を感じさせる俳優ですし、人選は間違っていなかったでしょう。

  意外にいいなと思ったのは長嶋一茂で、静かながら説得力のある演技でした。

 とにかく、思い切り泣きたい、思い切り愛国心にひたりたい方には超お勧め映画です。

 

 真夏のオリオン 

 2009年 東宝

出演者・・・玉木宏

      北川景子

      堂珍嘉邦

      平岡祐太

 「男たちの大和」以来、戦争映画の系統が変わりました。

  それまでの「戦争はいけない」「なぜ戦争を止められなかったのか」という意識ではなく

  「あの時、精一杯やるべきことをやった人達を評価しよう」に変わったんですね。

  「真夏のオリオン」もその一つですし、その後に公開された「太平洋の奇跡」(竹野内豊主演)

  もそう。

  負け戦ながら、アメリカをぎゃふんと言わせた人物がいたんだよーという・・・・

 イー77を始めとする潜水艦の艦長・倉本はどこまでも諦めない。さらにプラス思考。

  潜水艦の名前が「いろは」でつけられたことなど遠い昔の話ですし、まして特攻隊でも

  「回天」はあまり有名とはいえず。

  そんな中、アメリカの駆逐艦と対等に戦った人がいたというのがすごいです。

 結果的に勝負がつく前に終戦が来てしまうのですが、それがとても清々しいというか。

  泣くけれどもあとをひかない。

  日本人っていいなと思わせる作品です。

ではついでに。絶対に見てはいけない戦争映画のご紹介。

絶対に見てはいけないというならそんな必要もないじゃないのと

思われるかもしれませんが、「見るな」と言われると見たくなるのが人間です。

でも、後味悪い覚悟をしてねという意味。

 きけ、わだつみの声 

 1995年 東宝

出演者・・・織田裕二 → 勝村少尉。フィリピンのリンガエン湾に輸送中、潜水艦が

                攻撃され、ようやく島にたどり着くも、そこから逃げるだけの日々。

      風間守 → 相原一等兵。士官候補試験を受けなかったので学徒でありながら

              一等兵。潜水艦で負傷。その後は逃げるだけ。

      中村トオル → 芥川少尉。特攻隊に志願する。

      緒方直人 → 鶴屋勇介。赤紙が来ると逃げ出し、反戦ビラを撒くなどの行動。

               やがて憲兵に捕まって広島の獄舎で被爆死。

     的場浩司 → 大野木上等兵。学徒ではない。フィリピンで勝村らと知り合い

              一緒に逃げ惑うが、最後は従軍慰安婦と爆死。

     鶴田真由 → 津坂映子。従軍看護婦

 勝村は親族によっていきなり幼馴染と結婚させられ。「1週間の間に後継ぎを」と

   姑たちに要求される。でも勝村はそれじゃあんまりと手をつけず。

   フィリピンの島は飢えとアメリカ軍の攻撃にただただ逃げ惑うだけ。

   そこで会った日本兵は、女性をレイプしまくり、村に火をつけて強奪を繰り返し

   あげくには人肉を食べるという・・・(あれ?どこかで聞いたような話が)

   ラストの織田のセリフ「こんな戦争、誰が始めたんだよ」は一体誰に言ってるんでしょう?

 緒方直人の役などは、完全に精神病患者ですよね。

  あの時代に徴兵のがれをどうどうとやって、それを正当化するわけだから。

 さらいびっくりしたのは、従軍慰安婦が出てきた事です。日本人の名前を無理に

  名乗らされ、日本軍相手に客を取っていた彼女がラストは「アリラン」を歌いながら

  死んで行くのです。

 「きけ、わだつみの声」というのは戦没学徒の手記を集めたものです。

   しかしながら、内容がかなり左がかってて・・・四季ミュージカル「李香蘭」に引用

   されたのがいい例。戦争に批判的だった学生の手記ばかりを取り上げたという

   側面があります。

   その後も、改編され、その度に遺族と訴訟問題が起こり。素直にわだつみたちの

   思いが伝わっていない部分が多々あります。

 私も読みましたけど、当時はあまりそんな左も右もわからなかったから。

   ただ、本当の戦死が少なくて、訓練中の事故や病気で亡くなった人が多かった印象が。

   南の島でただの腹痛で脱水を起こして死んで行く様子は怖かったし、さとうきびの

   幹の汁を飲むと下痢を起こす人がいる・・・というのも知りました。

   みんな、元は大学生で活字中毒。お弁当を包んでいる新聞の切れ端をむさぼるように

   読んで・・・と書かれていた時は大いに感動し、共感を覚えました。

  でも、映画はそんな純粋な学徒たちの意思とは全く正反対の「日本の軍人はこんなひどい

   事をしたのだ」のオンパレードで、全くもって言語道断な映画になってしまいました。

 キャタピラー 

2010年

出演者・・・寺島しのぶ

       大西信満

 寺島しのぶはこの作品でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞。

   でも個人的にはなんでこんな映画に出たのか。

   一体、何をどう評価されての受賞だったのかと疑問に思います。

 兵士を「軍神」と呼び、その妻は「軍神の妻」として称えられたことをパロディにして

   妻の元に戻ってきた夫は寝たきりで声も出せない身体障害者。

   親族は見放し、介護は全て妻の手に。

   帰ってきた夫は毎夜妻に性的虐待を要求。その記憶の奥には中国で戦いのさなかに

   中国人女性をレイプしたことが。

 要は「日本の兵隊というのはこんなに倒錯した、残酷な人間で。そんな風に人を

  変えてしまう力が戦争にはあるのだ」という事が言いたいらしい。

  ここで徹底的に戦場へ行った人とその家族をばかにした映画はないなと思うんですけど。


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