土曜日に、生まれて初めて阿佐ヶ谷にある「ザムザ阿佐ヶ谷」という劇場に
行って来ました。
阿佐ヶ谷についたのはいいけど、そこで道に迷いつつお昼を食べている間に
上演時間が近づき、はて「どこに劇場が?」って感じで、店員さんに聞いてもよくしらないと
いうし。いやー無事に着いてよかったと思いました。
巨大なオブジェのような劇場で、靴を脱いで入るのね。
小さいけど近い勝手のある劇場でいいなと思いました。
THE LAST OF SUMMER
演出・・・原田光輝
脚本・・・永峯千津子
出演・・・月岡弘一・堂脇大智・和田麻菜・小泉れいら他
脚本について
タイトルと中身の関連が・・・すみません。よくわからないっていうか
「夏の最後の薔薇」
この薔薇というのは血の色をさしているんですよね。
小さい頃に両親を殺された場面を見てしまった、愛され感のない少年が
事件によってトラウマを抱え、人格的にちょこっとゆがんでしまって
連続殺人事件の犯人になってしまった
しかも出会って一夜を共にしたのが加害者の娘。
この娘は加害者の娘という事で、母親とも疎遠になりいつも暗くて・・・でも職場では
セクハラを受けたり、幼馴染の刑事さんに愛されたり。
言いたい事はわかるし救いもあった。
だけど、キャラクターの数が多すぎて、しかも似たようなキャラが3人。
変質者や娘の父とおぼしき人、そして正真正銘の犯人。みんなすぐに叫んで笑って
ナイフ出してっていうのがワンパターンかなあと。
娘の母と犯人を慕う女たちははっきり言って不必要だったかなと。
そして犯人が最終的に自殺してしまうというのも安易だと思いました。
ここは、両親を殺したのが娘の父ではなく、少年にすべきで、ゆえに加害者は
優しくて罪を被った・・・とするほうが娘に感情移入できます。
今まで永峯さんの作品は何度か読んだり見たりした事があるけど、こんなに
リアル感を出すとは。すごいなあと・・・・・
演出について
場面転換が多すぎて。
ああいう小劇場では仕方ない事とはいえ、そこを何とかするのが技術。
場面が終わる前にさりげなく後ろでセットを整える・・・というような事が出来なかったかどうか。
また最初のバー、会社、公園、病院と、場面が多すぎるので、
集中力を保つ為にはできるだけ暗転を短くするべきと思いました。
ラブシーンの演出は自然でよかったなと思うけど、犯人が自殺するシーンが
どこなのか今一つはっきりせず。なんで刑事がどどどっと入ってくる事が出来たのか。
それから1年後の設定で、わずか1年後といってももうちょっと時間経過が欲しい。
髪型とか服装とか
個人的には好きになったら彼氏にあんな死に方されたら1年たっても立ち直れるとは
思いませんけどね。
それと最初のシーンの「壁どん」に始まる一連のギャグシーンがすべりまくって
見てる方が恥ずかしかったです。もうちょっと笑いをとっても罰はあたらないと思うけど。
出演者について
和田麻菜・・・ビジュアルは真木よう子風。ぱっとみ目立って綺麗なんだけど
「悲劇のヒロイン」としてはキャラが強すぎるような印象があります。
ラブシーンは綺麗でした。
だけどもう少し表情が豊かだといいかなと。
ラストシーンがすっきりしすぎていたような気がします。
堂脇大智・・・都賀嶋了。動物病院のドクターせもてもてでしかも連続殺人犯。
なんせ病院のナースと出来ちゃって子供が出来たって?花屋さんからも
色目でみられて、パトロンらしいおばさままでいる。モテモテさんです。
ただ、その彼が、ナースが襲われているときにその男を殺すところまではいいよ。
だけどなんでナースを殺す必要が?秘密を知ったからなの?
あのシーンは・・・吸血鬼に見えました。(首にかじりついていなかったっけ?)
ラストシーンはもう、いい人なのか悪い人なのか、同情すべきか弾劾すべきか
悩みました。
小山莉加・・・見た目は遠野あすかと愛田芽久を足して二で割ったような感じ。
滑舌がよかった事と、エプロンが可愛らしかった事。キャラとしてきっちり
はまっていた事がよかったです。
難波なう・・・この芝居、一番の演技派と認定。
一番は発声と表情が豊かである事が素晴らしい。
唯一、まっとうな芝居になっていたなと。
月岡弘一・・・報われない役を一生懸命でご苦労さま。結構イケメンなんだし
もうちょっと見せ場が欲しかったかな。かっこよくヒロインを救い出すとかね。
松田将希・・・本当に新入社員みたいなんですよ。びっくりした。
「こんな子いるいる」って感じ。あのリアルさは大事にしてほしいよね。
1年後はもうちょっと堂々としててもいいんじゃないかと。
内田裕大・・・今回の収穫はこの人。
彼の写真を見たご近所さんが「韓流スター?」とか言ってたけど
まあ、そう見えなくもない。
カフェのお客。単にお客。しかも見えない者が見えるというだけの。
背景にどんな仕事?とかどうやって生活しているんだろうとかいうのが
一切ない。「あっ」といって客席を見る・・・・そこに確かに何かいそうに見える。
目の奥に雰囲気を感じる人です。
帰りに少しお話をさせて貰いました。
彼の受け答えは優等生そのもの。うちのジュニアと同い年という事もあり
ついつい「本当はどんな役がやってみたいの?」なんて気後れさせたりしたけど
「ラブシーンを自然にきちんと演じられる俳優さんになって下さい」と言ったら
驚いた顔をしていました。
まだデビューしてそう長くないらしい。水泳部のキャプテン出身でがたいはいい。
マスクも甘い。
といったら正統派に決まってます。
映像に興味があるらしいけど、やっぱり舞台で場数を踏むのがいいのではないかと。
素人が・・・・と思われるけど、あえてアドバイスするなら
「型芝居を覚えなさい」という事。歌舞伎や狂言を学んで、徹底的に喜怒哀楽の
表現の仕方を学ぶのです。形が出来たらそこに心入れる。
ラブシーンを・・・と言ったのは、日本ではそういうシーンを
自然や優しく出来る俳優が本当に少ないから。
ラブシーンは究極の型芝居だと思うので。
韓ドラとか中国ドラマを見るのも一つの手だと思います。
会社の上司さん達やカフェのマスター、母やおばさま達が、なんとも素人っぽく見えました。