今回は一条ゆかりです。
彼女はとにかく作品が多い。初期から現在まで多いです。
大昔の作品は、どこかねちっこくて鬱っぽい作品が多く、
平静になると、突如はっちゃけて危なくてなんでもありの世界に。
今回は、重いのと軽いのをご紹介。
こいきな奴ら 1975年(りぼん)
金髪の双子、右がジュデスで左がジュディス。
上の帽子がクリームでサングラスがパイ。
こーんな非現実で危ない世界を描くなんて・・・と当時は思いました。
まずジュデスとジュディスは双子で男の子と女の子。
顔も髪型も全部同じなのに、しっかり男女の見分けがつきます。
二人は伯爵家の御曹司と令嬢。
ジュデスは超能力を持っていて、しかも天才。
ジュディスは武芸の達人だけど頭が弱い・・・二人はとても愛し合ってて
一緒のベッドで寝てます。
だけど、肉体的などうのこうのはないわけ。
両親が死んで一文無しになろうと、カジノであっさり城を買えるほど儲けたり
殺し屋やスリを友人に持ったり。
現実的にはこんなに金持ちはいないよなーーと思いつつ
そういう夢のような贅沢の中で暮らしつつ、事件を解決したり
互いの恋人に嫉妬したり、友達を助けたり
いちいちスカっとしますよね。
超金持ちが全てを解決していく話は、どこか「有閑倶楽部」に似ていますね。
一条ゆかり自身、お金持ちの娘だったけど小さい頃に破産して、貧乏を経験。
お姉さんの方は「金持ち時代」を知っている・・・
そんな経験がこんな設定を作ってしまうんだろうなあと。
とにかく、かっこよくて面白い。それでいて愛情いっぱい。
今時も十分に通用するお話です。
砂の城 1979年 りぼん
表紙の女性はナタリー、後ろの男性はフランシスです。
とにかく重いっ!
どこか「嵐が丘」と似ているような気もしますが。
要するに、お金持ちの娘だったナタリーと、ナタリーパパに拾われた捨て子の
フランシスは次第に愛し合うようになる。
二人は結婚を約束するけど、両親亡きあと、叔母の陰謀で引き離されそうになり自殺を図る。
ナタリーだけは生き残り、フランシスは記憶を失って別な女性との間に子供を作る。
その間、延々とフランシスだけを愛しているナタリー。
やがて事実を知り、追いかけるも彼は人生を取り戻せず死亡、妻も自殺。
で、残された一人息子のマルコをナタリーが引き取って「フランシス」という名前で育てる。
その子とやがて対等に愛し合う・・・けど・・・・
ここまでくると「源氏物語」も入ってますが。
いつも亡き人を思ってはうつうつするナタリー、フランシスを愛してしまうと
今度は歳の差が気になり始める。
やがてフランシスに年相応のガールフレンドが出来ると精神に変調が・・・・
悲しくもどっぷりと地獄を見るお話です。
暗くても明るくてもとことんまで描く・・・それが一条ゆかりなんでしょうね。