5月15日
朝からちょっとドキドキ。
点滴がつけられて、エコノミー症候群を防ぐ為の靴下を履いて・・・・それだけで
何となくドキドキ。
こういう時は、何かになりきる必要があるのね。
「可哀想な病気の少女」・・・いやいや・・・もう少女じゃないし。
仕方ないので、その時読んでいた「復活」の中に出てくるカチューシャの牢獄を
思い浮かべて。そういうひどい境遇に自分はいるんだって事にして
「耐えなくちゃ」みたいな気分にひたりつつ、時を待っていたのですが
11時頃に姫と旦那がやってきて。
そしたら気分は最高潮
12時かっきりにナースのお迎え。病衣を着て・・なんと歩いて手術室へ。
こういう時はストレッチャーに乗せられてがらがらと手術室へ向かい
ドアの前で家族と手を握り合って励ましあって別れるもんじゃないの?
なのに、点滴ぶら下げて長ったらしい病衣着てひたひたと歩いていくなんて。
「手術室」と書かれたドアの前で、姫と旦那に「バイバイ」と手を振ってお別れ。
感動的でも何でもないけど、とりあえず何度も振り返って「バイバイ」
手術室に入ったからってすぐにオペ台があるわけじゃなく、さらに長い廊下を
歩いて、いくつかの部屋の一つに入る。
この際だからしっかり観察しておこうと思って、きょろきょろしてて緊張する暇なし。
でも、さすがに手術台を見た時は・・・・・息を呑んじゃったかも。
「ああ・・命先生(BY最上の命医)」と呟きたくなりました。
ドラマではすでに麻酔をかけたれた患者の状態しか映りませんが、実際、その前は
どうなっているのかしらと興味津々。
着ている病衣は肩のボタンが外れて両腕が自由になります。
で、片方は血圧計。もう片方は点滴。十字架にかけられているみたいだなって。
「これから麻酔をします。腕がぴりぴりしますよ・・・・」
あ、ほんとうだ。腕に電気が走った・・・・と、思ったらカメラのシャッターが切れる
みたいに意識もそこで途切れました
多分、なんらかの夢は見ていたんだと思います。
その夢の途中で呼ばれて仕方なく目を覚ました感じ。
旦那さんが一生懸命に私を呼んでいました。
「ふぶちゃん。もう終わったからね」
ああ・・もう終わったんだ。随分早いんだなあみたいな?
私の手を握る旦那の手がやたら暖かい
そっかー手術室は寒いし、患者の体は冷たい。だから外の人に触れられると
暖かいって思うのね・・・とふと、天皇陛下の術後最初の言葉を思い出したり。
でも、そんな感慨にふけっている場合じゃありませんでした。
病室に戻り、次第に意識がはっきりするにつれて頭痛とか吐き気とか?
おまけに尿道カテーテルの違和感が半端なく
頭の中では常に「最悪」という言葉がぐるぐると回っている状態。
傷の痛み?そりゃあありましたって。
痛み止めの点滴及び、それでも痛ければ自分で量を増やせるというスイッチを
片手に握り締めて耐えましたとも
(でも出産の痛みと比べればましなのかな)
床頭台には真っ赤なバラが一厘、置いてありました。
何でもダディに言われて姫が買ってきたそうです。
「よく頑張りました」という意味だそうです。ナースが「綺麗ね」って言ってるのが
聞こえました。
「ママといえばやっぱり赤いバラでしょ」
なんて姫がおどけて言っておりました。
その姫は私の子宮を見たそうで、その感想は
「こんな小さなものの中に私もお兄ちゃんもヨンジュナも入ってたんだ。
ママってすごいね」だそうです ははは・・・・・
ちょっと経つと、今度は体中から汗が噴出してひっきりなしにタオルで拭かないと
駄目な状態が続きました。
とにかく暑くて暑くて。痛みよりもそっちの方が不快だったかも。
とはいえ身動きは出来ないし。意識は何となく朦朧としているし。
旦那は面会時間ぎりぎりまでずっと着いててくれて。
ずっとこのままだったらいいのにって思ってしまうくらいで。
「手術室から出てきた時は顔が蒼白で死人みたいだったけど、やっと唇に
色が戻ってきたね」
と旦那はほっとした様子。
確か、「BOSS」で、天海が術後だっていうのに点滴引っこ抜いて現場に駆けつける
シーンがあったように思います。
韓国ドラマでもそういうシーンはよくあるけど、絶対にありえないからっ
術後の点滴・・・つめり抗生剤と痛み止め、その他もろもろの薬剤が体に及ぼす
影響は多大。意識を保つ事は出来ても、どうしようもないだるさとか重さは
点滴ひっこぬく力すら奪うし、何より、傷の痛みが半端じゃないもん。動けません。
何でこういう時にそんな事を考えてしまうのか。
♪ 大丈夫・・・まだやりなおせるさ ♪
このフレーズがぐるぐる回る中、「明日になったら少しはましになるのかな」
と思いつつ、長い夜を迎えたのでした。