問5 殿下にお伺いします。この1年を振り返り,印象に残る出来事とご感想をお聞かせください。
秋篠宮:この1年もいろいろありました。まず先ほどと少し重なりますけれども,自然災害が非常に多い年でした。
それは地震もありましたし,台風もありましたし,それから豪雨もあったわけですね。
私自身はそれらの災害があった場所としては広島県に参りました。
まず最初に驚いたといいますか,広島の空港を出て,それから行った場所が坂町になります。
済生会病院ですけれども。高速に乗ったときにいろいろなところで土砂崩れ,大きい土砂崩れがあって,しかも道にも流されてきた木があって。こういう場所だということをですね,普段なにげなく広島の空港から街中に出るときに高速道路に乗っていますが,改めてその地形をそのときに認識しました。また,被害が大きかった小屋浦の方にも行きまして,そこで避難している人たちとも話をする機会がありました。
やはり避難している人たちにとってもこれほどの大きい災害になるとは思ってもいなかったという声が,何人かの人からありました。
確かに川の脇を歩いていると,その川の水量が上がって,しかも流木が流れてきたり,その他でもって大きい被害が出たわけですが,水の力というのがこれほどまでにすごいのかということを改めて私は認識しました。そして,今後どのようにして防災そして減災をしていくかというのを,今,日本中どこでもその可能性はあるわけですので,それを考えていかないといけないということを再度思いを新たにしました。
また,今年は日本人がハワイに移住して150年になります。
私は今までハワイはホノルルの空港しか知りません。
トランジットのため。ですから今回現地に行って,それから日系社会の人たちと話をし,その人たちが小さかった頃の話(を聞いたり),それから(日系社会の人たちは)今8世までいるわけで,8世はまだ小さいお子さんでしょうけれども,いて,その人たちが日本について思っていることであったりとか,様々なことを聞く機会になるとともに,本当にホノルルの近辺だけですけれども,かなり音楽であったりとか,歌であったりとか,それから植物利用であったりとか,様々なことを私自身知ることができて大変良い機会だったと思います。
いろいろその他ありますけれども,今年はノーベル生理学・医学賞,本庶佑(ほんじよたすく)さんの受賞が決まりました。最近は日本人で受賞する人も多くて,「今年も」ということになってくるんだと思いますが,もちろんそのいわゆる免疫チェックポイント阻害剤ですね,オプジーボ。まだまだおそらく課題はたくさんあると思いますけれども,今後の悪性新生物に対する一つの柱になっていくことが期待されるのではないかと思います。
そして後は,先ほども日本人の活躍ということをお話ししましたが,若い世代の人が非常に活躍した年だったなと思います。少しだけ例を挙げれば将棋で藤井聡太さんもそうですし,15歳でしたかね。それから,オセロゲームも大幅に記録が更新されて11歳の福地啓介さんですか,が世界タイトルを取られたという,そしてテニスの大坂なおみさんが日本人としては初めてですかね,グランドスラムの全米のシングルス優勝,その他もろもろオリンピック・パラリンピックもありましたし,いろいろな分野で若い世代の人たちの活躍が目立ち,これはほんとに明るい話題だったと思います。
関連質問1 殿下にお尋ねいたします。お代替わりに関する日程や規模について,いろいろ宮内庁の方でも発表があり,決まりつつありますが,先ほど殿下には皇嗣となられる公務の在り方についてのお考えをお聞きしましたが,即位の行事や儀式についてもお考えがあればお聞かせいただきたく思います。 秋篠宮:行事,そういう代替わりに伴う行事で,いわゆる国事行為で行われる行事,それから皇室の行事として行われるものがあります。国事行為で行われるものについて,私が何かを言うことができるかというと,なかなかそういうものではないと思います。そういうものではないんですね。一方,皇室の行事として行われるものについてはどうか。これは,幾つかのものがあるわけですけれども,それについては,ある程度,例えば私の考えというものもあっても良いのではないかなと思っています。 記者 具体的に。 秋篠宮:具体的にもし言うのであれば,例えば,即位の礼は,これは国事行為で行われるわけです,その一連のものは。ただ,大嘗祭については,これは皇室の行事として行われるものですし,ある意味の宗教色が強いものになります。私はその宗教色が強いものについて,それを国費で賄うことが適当かどうか,これは平成のときの大嘗祭のときにもそうするべきではないという立場だったわけですけれども,その頃はうんと若かったですし,多少意見を言ったぐらいですけれども。今回も結局,そのときを踏襲することになったわけですね。もうそれは決まっているわけです。ただ,私として,やはりこのすっきりしない感じというのは,今でも持っています。整理の仕方としては,一つの代で一度きりのものであり,大切な儀式ということから,もちろん国もそれについての関心があり,公的性格が強い,ゆえに国の国費で賄うということだと。平成のときの整理はそうだったわけですね。ただ,今回もそうなわけですけれども,宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに,それは,私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。今でも。ただ,それをするためには相当な費用が掛かりますけれども。大嘗祭自体は私は絶対にすべきものだと思います。ただ,そのできる範囲で,言ってみれば身の丈にあった儀式にすれば。少なくとも皇室の行事と言っていますし。そういう形で行うのが本来の姿ではないかなと思いますし,そのことは宮内庁長官などにはかなり私も言っているんですね。ただ,残念ながらそこを考えること,言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています。まず、「大嘗祭」に関しては皆さまがそれぞれ調べておいでなので細かく書く必要性はないかなと。
元々日本は米作りを始め農耕民族ですから「五穀豊穣」を祈る大王の儀式はとても重要。毎年「新嘗祭」をやっているし、天皇は稲を植えて収穫までしているわけだし。
そして即位と同時に行う新嘗祭を大嘗祭と呼ぶわけです。
悠紀や主基田というのは新嘗祭に米を献上する特別な田のことで秋篠宮両殿下は何度もこれらの田を視察されています。
だから殿下もおっしゃっているように「大嘗祭は絶対に行うべきもの」であるお考えに変わりはないのです。
大昔の大嘗祭の絵です。
昭和の時のもので、このような黒木で作った建物を作り、大嘗祭が終わると壊すのです。なぜなら神道には「常若」という思想があり、古いものを壊して新しくする事で(でも儀式や手法は変えない)永遠に続くということです。
大嘗祭に舞われる「五節の舞姫」・・・「日出処天子」で厩戸皇子が踊っていましたよねーー
で、いわゆる「国家行事」と「皇室の行事」の違いですが、即位の大礼に関しては国家行事だけど、「大嘗祭」は皇室の「公」の行事だから国家予算に組み込んだというのが平成の言い分なのです。
私は秋篠宮殿下の「憲法」の兼ね合いを問題にした理由を色々考えてみたのですが、多分昭和の時代から当時の東宮夫妻のお金の使い方について疑問を持っていたんじゃないでしょうか?
ティアラを新調、衣装もゴージャス、昭和天皇がお文庫にいらっしゃる時から考えるとものすごいお金の使い方ですが、それすら「皇太子殿下だから、美智子さまなんだから」で許されて来たんじゃないですか?
皇后批判が始まった時に散々「吹上御所」を使わずに新御所を作ったことなどが言われていましたが、それを許していたのが当時の宮内庁であり、政府でしょ?
小泉首相が皇室に理解があったかと言えばそんなことはなく、あの世代などからすでに皇室の「こ」に字にも関心がなく、ゆえに「どうぞどうぞ」的だったんじゃないでしょうか?
一方で秋篠宮殿下の新婚の家は職員宿舎だったりしたわけで。
何でも「両陛下」の言いなりになる政府の「図」はここからきています。秋篠宮が宮内庁に言い続けたのは「皇室行事の神秘性や伝統」を守る為に、余計な人を入れないようにすること、ゆえに「皇室の行事」として内廷費で賄うべきではないかとおっしゃったのではないでしょうか?
この2枚は今上と皇后の「大嘗祭」の装束なんですけど、明治以降、天皇と皇后がこのような装束で撮影した写真はありません。大嘗祭は天皇が行う儀式なんです。
こんな写真まで撮らせて。
秋篠宮殿下は伊勢の遷宮にも2度お出ましですから、宮中祭祀の重要性を誰よりも感じている筈で、だからこその意見と思います。
「政治的発言だ」という向きがあるのは知っていますが、じゃあ、憲法違反して退位をする天皇は政治的発言をしてないと言えますか?
毎年の誕生日文書で政治的発言だらけの皇后は?皇太子は?
「原点に帰れ」というだけで「政治的発言」にはならないでしょう。
また、新天皇と新皇后がこのように宮中祭祀を大事にするとは思えず、それなのに予算だけは大きく持たせて素晴らしい衣装を着て写真を撮ってはい、終わり・・・それだけに莫大な費用を使うことは多くの国民が納得できないと思います。
今回、もし皇后陛下や皇太子が怒るとすれば「身の丈」という部分だろうと思います。平成もそして新しい時代も「身の丈」にあった大嘗祭ではない。それはつまり身の丈にあった生活をしてない皇室ということです。
退位し、高輪で1年すごす為に仙洞御所もどきを作り、さらに東宮御所に住みたいなんて、香淳皇后には許されなかったことでしょう?でも国民は関心がないし「皇室に何億も使われる事より、消費税が上がる事の方が重要」と言い切る主婦さんも多いですから、気が付けば湯水のごとく国家予算が皇室に流れ込む事も考えられ、最終的には国民から総スカンを食う恐れもあるのではないかと・・・殿下は本当はそうおっしゃりたいのではありませんか。
高円宮家の振舞に関しても、正直、一々カチンと来てる筈で、でもそれが言えない現状で「大嘗祭」を引き合いに出したと考えられます。
とはいえ、殿下の真意を曲げて伝えるマスコミにはいいエサを与えてしまったかもしれないと思うと心配で。