という事で星組公演「オーシャンズ11」を見てまいりました。
映画を知らないのであしからず・・・・・
小池修一郎の力技
これは作品のよしあしがどうのという前に、小池修一郎氏の演出による力技に
ねじ伏せられたようか気がしました。
「これで文句はあるまいっ」的な印象で、観客は舞台に引っ張り込まれて色と音の
渦に巻き込まれて何がなんだかわからないうちにフィナーレになってた・・みたいな?
でも、それって「宝塚」だから出来た事ですよね。
宝塚しか出来ないとでもいいましょうか。小池氏はそこをきちんとわかった上でやってる。
マジックの数々、映像の数々、激しい舞台転換と短い1場・・・全て外部では
不可能。そこを「宝塚だから出来るんだ」という謙虚さを感じつつ見るから納得。
でも、児玉明子みたいに「私が宝塚に教えてやってる」的な傲慢さが見えると
途端に嫌悪感しか出てこないのよね。
映画の裏を読み取って
何でハリウッド映画を舞台化するのかな・・・ってちょっと不思議に思うんです。
特に今回みたいなアクション映画は舞台化しずらいんじゃないかと。
でも、「カサブランカ」の時もそうだったように、小池氏の頭の中には「映画の話の
裏のエピソード」を舞台化したいというのがあるんじゃないかと。
テスとダニーがどうやって出会ったかとか・・ね
で、舞台を見た後に映画版を見てより理解しやすくなるとか?
適材適所の人物配置
前回までの「星組は柚希礼音頼り」とは違って、今回は紅ゆずる以下全員、
個性を発揮してそれぞれの場所でものすごく頑張っていたと思います
それは恐らく大勢の組子の得意技をいかして適材適所に配置した事だと。
宙組のように「何でこの人がこの扱い?」が全くなかったのがよかった・・・・・
半ば強引でも、見せ場を作ってあげるというのは大事ですよね。
映像力の進化
真風涼帆演じるライナスが地下鉄から出てくる所には本当にびっくりしました
通常の舞台では表現し得ない事をさらりと映像でやっちゃうんだもん。
それに配管口を通って地下に降りていくシーンの映像も、私達まで降りていく
ような感覚がありました。でも全然つけたし感がなく、自然だったのがすごい。
舞台セットとの融合っていうのかな。お互いのプライドを満足させる出来だったと
思います。
また2幕目冒頭「夢魔」のシーン(いやーー「パッションブルー」のマリコさんみたい)
柚希礼音だけがぼやけて見えるような・・・照明?それとも化粧?何で夢咲は平気なの?
って、あのシーンだけはもう一度みたい。
1幕目
勢いに押されがちですが、冷静にみていくと1幕目は長すぎです。
前置きが長いというか・・・それは映画がそうなんだからしょうがないとは思うんです。
でもシーンが途切れ途切れになりセットがめまぐるしく動いている印象で、ちょっと
うるさいというか、場割りが細かすぎる感じ。
省略が許されなければまとめてしまうという手もあったのでは?例えばリビングストン
とモロイ兄弟を一つの場所に置くとか、ライナスとソールを一緒に住まわせて置くとか。
その長さを吹き飛ばそうと1幕目最後はカジノで大盛り上がり・・・このシーンこそ
「力技」ですよね。
2幕目
前置きが長かった分、実行となるとやけにあっさりしすぎて、あっという間に結末。
負け知らずのテリーがいともあっさり詐欺にひっかかり、叫んで終わり?
ここらへん「LUNA」のラストシーンを思い出しますねーー底が浅いと批評された。
それでもマジックとかダンスとか歌とかに誤魔化されて、あれよあれよと
引き込まれて行ったわけで・・・これこそ「力技」に他なりません。
全体的に振り付けが甘かった気がします。地下鉄とフィナーレの真風のダンスシーン。
彼女はすごく踊れる人なのにそういう印象がもてなかった。
振り付けに甘さがあったのかな。
さらに衣装・・・夢咲ねねの衣装はどれもあまり・・・薄い緑の衣装はしつこい気が
したし、フィナーレの短いドレスは大階段を下りてきた時の長い裾がよかっただけに
「あれ?」ってな状態 羽根しょって出てきた礼音の衣装はよくよく見ると
ズボンに斜めの模様が沢山・・・・これって太って見えませんか?
個人的には主役をほったらかしにしてラスティとポーラのいちゃいちゃぶりに
あてられて「いいなあ結婚するならラスティだよね」なんて思いながら見てて。
でも、ダニーのキザっぷりには感動を通り越して「娘に近づけたくない男NO1」
になってしまい、「ああいう男には気をつけるのよ」と指導。
大体20歳のテスを嵐の中で待ち伏せするなんて・・・ 100%ひっかかるじゃ
ないかっ 『お茶でも・・・」なんて部屋に入れたらもうアウト
こういう男にはとことん振り回されてそれでも逃げられない自分に嫌気がさすって。
離婚って言ってるのに取り合わないダニーってのも、勘に触るけど期待しちゃう
みたいな?テスはそういう様々な矛盾の中で悩んでいたのよね
負けず嫌いなテスが唯一勝利した場面が離婚届にサインさせることで、でもそれを
破り捨てるって事て勝ちを諦めて一生ダニーに振り回される覚悟が出来た?
まあ、相手が礼音程ハンサムで優しいなら振り回されてもよろしくてよ